18歳意識調査「教育格差」―過半数がコロナ禍で学習環境の差広がったと回答― [2021年01月18日(Mon)]
18歳意識調査「教育格差」 ―過半数がコロナ禍で学習環境の差広がったと回答― 出口の見えない新型コロナ禍が社会のあらゆる分野に深刻な影響を与えている。全国の小中高校で臨時休校措置がとられた教育関係では家庭環境や都市と地方による対応の差が、影響を一層、深刻化させているといった指摘も見られる。次代を担う若者にこうした現実がどう映っているかー。33回目となる18歳意識調査のテーマに「教育格差」を取り上げ、昨年12月初旬に実施した。 幅広い質問項目のうち、まず学習環境。回答を寄せた1000人のうち過半数は他の人に比べ「差があると感じたことはない」としているものの、43.4%は「集中して勉強できる環境が家庭になかった」、「経済的な理由で塾や習い事に行けなかった」、「オンライン授業が未導入」などを理由に「差があると感じたことがある」と答えている。 その上で、コロナ禍により学習環境の差が広がったと感じるか尋ねたところ、「感じる」が52.9%、「感じない」が47.1%と大きな差はなかった。しかし前問で学習環境に差があると感じたことがあるとした回答者に限ると、約3分の2(68%)が「差が広がったと感じる」としており、勉強できる家庭環境が乏しく経済的理由で塾などに行けなかった層にコロナ禍の影響がより重く圧し掛かっている現実をうかがわせている。 これを受け全体の31.5%、教育環境の差が広がったと感じている回答者だけでみると45%が「コロナ禍で自身の進路に影響があった」と回答。この結果、3人に1人が「就職希望業種の範囲を広げた」としているほか、中には「部活の試合が開催されず進学に必要な成績が残せなかった」といった声(8.6%)もあった。学習意欲への影響に関しては約60%が「変わらない」とする中、10%弱が「上がった」、約30%が「下がった」としている。 このほか近年、拡大傾向が指摘される教育格差については、約半数(48.9%)が「感じる」と回答。その原因として、家庭の経済力や学校の指導力、教育環境の地域差、家庭や学校のデジタル環境の差などを挙げ、「本人の努力」を指摘する声も12.1%あった。さらに過半数(51.2%)は「格差はさらに広がる」と答え、54.6%は「是正する必要がある」としている。 自由回答を見ると、学校が休校になった時、「インターネットやタブレットなどインターネット環境がない家庭がありオンライン教育に支障があった」、「都会と地方では学校教育の内容が全く違う」といった声が多数寄せられ、高等教育の無償化など制度整備やオンライン教育の強化などを求める声が高い数字となっている。 これを受け2020年度当初予算の5.4%、5兆5000億円に上る文教および科学振興予算に関しても全体の62.4%が「少ない」と指摘している。国と地方を合わせた借金が1100兆円を突破し、ただでさえ逼迫する国の財政はコロナ禍対策で一段と悪化している。コロナ禍の影響の大きさが、教育面に絞っても一目で分かる調査結果となった気がする。 |