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「社会貢献者表彰」―社会貢献支援財団での挨拶― [2020年10月16日(Fri)]

「社会貢献者表彰」
―社会貢献支援財団での挨拶―

2020年8月24日
於:帝国ホテル

長年にわたります皆様方の地に足の着いたご活動が、受益者にとりましてどれほど大きな励みになっていることかと、改めて深い感動を受けるとともに、皆様方のご活動に心から感謝と尊敬を申し上げます。

社会貢献支援財団の安倍昭恵会長は、単にお名前だけではなく実際に現場をご覧になられ、皆様のご苦労話に耳を傾けておられます。ミャンマーでの小学校建設をはじめ、恵まれない方々に対するご支援をされてきたという経験をお持ちで、今回は海外でご活動の皆さんの表彰も多くあり、大変素晴らしい社会貢献支援財団の発展だと思っております。

私も年の4割は海外でハンセン病を無くす活動に費やし、122か国、約3,300日、10年間ぐらい刑務所に入れられたような生活をして参っておりますのでよく理解できるのですが、日本人の方々が世界各地の環境の悪い僻地で素晴らしい活動をされおり、私はこういう活動が日本でもっと報道されることを願っております。何故かと申しますと、この日本人の物の考え方や行動様式は西洋人と違います。どうしても西洋の方々は、率直に申し上げて上からの目線で、こうしなさい、ああしなさい、という指導、監督、教育するという目線に立ってしまうわけです。それはそれでまた秀れた活動ではあるわけですが、日本人の活動というのは腕を組んで命令指導するのではなく、相手と共に同じ目線に立ち、ともに汗をかき、そして喜びを分かち合います。こういうスタイルをとっている援助の仕方は、実は日本独特のもので、もっともっと広く世界に知られなければならないと思います。世界の様々な僻地で、よくぞこういう場所で頑張っておられるなあという方々にお目にかかる機会がありますが、寄り添うという基本的な姿勢が相手を納得させ、人間として信頼され、尊敬されているのではないでしょうか。日本人として本当に誇らしく思いますし、素晴らしい具体的な成果をあげる基本的な姿勢ではないかと思っています。

近年の日本社会は、ともすれば自分自身がよければいい、私の家族がよければいいという考えに陥りがちですが、ハンティントンの「文明の衝突」によれば、日本という国は世界の八大文明の一つになっているのですね。キリスト教文明やイスラム文明、中華文明などもありますが、この広い世界の中でこの小さな島国の日本が「日本文明」として学問の世界でも位置付けられているのです。2000年の長きにわたって、ともすれば中国の影響を受けたのではないかという方もいらっしゃいますが、確かに一時期はそういう時期もありましたが、日本独特の文明を発達させてきました。明確な四季があり、美しい水があり、森があり、永年わたり培われてきたこだわりの文化は、各地にある城を中心に、「道(どう)」といわれる剣道、柔道、茶道、華道、香道をはじめ、盆栽、工芸品、菓子やその他食べ物など、さまざまな物があります。そういう国は世界を回ってみても稀な国です。昨今のように災害の多い国ではありますが、そのたびに力強く復興して今日を創ったのも日本国ですし、日本国民です。

そういう中で私たちが育んできたお互いが助け合って生きていく、決して人間は一人では生きていけないのだということを、私たちは先輩方から教わってきました。先ほど申し上げましたように、昨今はともすれば私が良ければいい、あるいは私の権利はどうなったという権利の主張ばかりで、国がやってくれない、あるいは地方行政がやってくれないという不満を述べるばかりになってきているきらいがあります。そういう中でも皆様方は困った人々に寄り添って多くの方々に勇気と希望を与えていただき、彼らに生きる、そして未来への希望を実現させるお手伝いされている。これは本当に誇るべき人間の良識であると同時に、私は日本人の独特の物の考え方であり、長い間培ってきた先祖からのDNAを正に具体的に示していらっしゃるのが今日表彰された方々ではないでしょうか。

それぞれの地域で身を粉にして人様のために尽くす。そして、少しでも世の中のために協力をしていきたいという崇高なお考えというものがもっともっと広がることを願っております。ともに同じ人間として日本に生まれたからには、気がついたらお手伝いをする。また日本のみならず、世界の貧しい地域に行ってお手伝いするということも、これは人様をお助けするというと何か言葉が過ぎるかもわかりませんが、私たち自身の人生をも豊かにしてくれる仕事ではないでしょうか。

おそらく皆様方、毎日毎日困難に直面しながらお仕事をなさっているわけですが、私は決してこれは人様のためだけにやるということではなくて、結果的にはご自身のたった一回、この世に生を受けた人間として満足した人生を歩むための一つの方法ではないでしょうか。私は素晴らしい皆さん方の慈愛に満ちたそのような活動が、結果的には自分自身のためにもなっているのではないかと、大変僭越な言い方で恐縮ですけれども、私は生きがいというのはそういうことではないかと思います。

どうぞ皆様方これを機会に、さらに多くの同志を集めていただき、助け合いの精神、貧しい人に、困っている人に寄り添う、そういう暖かい心が自然の発露として出てくる人々が一人でも増えることを願っております。

この社会貢献支援財団は来年は50周年になるそうです。今日表彰された皆様方が核となり、さらに活動の輪が広がることによって素晴らしい相互扶助の精神を持った日本の社会をつくっていこうではありませんか。

皆様方のご活動に改めて感謝と深い敬意を表しまして、心からおめでとうを申し上げます。

日本財団
会長 笹川陽平


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