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産経新聞【正論】「M・ウェーバー没後百年に思う」 [2020年09月14日(Mon)]
「M・ウェーバー没後百年に思う」

産経新聞【正論】
2020年8月31日

 今年は20世紀を代表するドイツの社会学者マックス・ウェーバーの没後100年に当たる。ウェーバーが死の前年の1919年1月、ミュンヘンで学生団体を前に行った講演をまとめた「職業としての政治」は今も政治を志す人の必読書≠ニなっていると聞く。

 情熱、責任感、判断力が重要
 そんな訳でこの夏、ウェーバー関連の書籍に何冊か目を通した。この中でウェーバーは政治家に特に重要な資質として「情熱」「責任感」「判断力」の3つを挙げ、政治家という職業の厳しさについて「自分の行為の責任を自分一人で負うところにあり、この責任を拒否したり転嫁したりすることはできないし許されない」と指摘している。

 講演が行われた当時、ドイツは第一次世界大戦の敗戦直後。帝政廃止など時代の激動期にあり、世界で4千万〜5千万人、日本で38万人が死亡したとされるスペイン風邪の真っただ中にあった。翌年のウェーバーの死も、この風邪が原因だったとされている。

 一読者にすぎない筆者には難解な言葉が多いが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で日本を含め世界が大きな変革期に直面する現在との相似点も多く、自分なりの解釈でウェーバーの言葉と日本の政治を比較してみた。やや乱暴な言い方になるが、日本にウェーバーが言うような情熱、責任感、判断力を備えた政治家は稀(まれ)だというのが結論だ。

 その一因として、平成8年の衆議院議員選挙から導入された小選挙区制を挙げたい。それ以前の中選挙区制では1選挙区の定数が3〜5人だったのに対し小選挙区は1人。中選挙区では自民党を中心に同じ党の候補者が複数立ち、ライバルとして競い合うことでたくましさを身につけた。

 これに対し、小選挙区で主に争われるのは党の政策。地域に根ざしたテーマは少なく、選挙区によっては、最初から当選者が見通せる無風区も多い。その分、選挙は盛り上がりを欠き、地域・有権者に対し強い責任感や情熱を持つ政治家は育ちにくい気がする。ウェーバーの言に従えば、「政治のために生きる」政治家より、政治を収入源とし「政治によって生きる」政治屋が増える結果ともなる。

 辞職して高額歳費を返上せよ
 同じ意味で、昨年7月の参議院選挙をめぐる大規模な買収事件で公職選挙法違反に問われた河井克行衆院議員と妻の案里参院議員、さらにカジノを含む統合型リゾート(IR)事業をめぐる汚職事件で、収賄罪で起訴された秋元司衆院議員に対する与野党の対応には不満を感じる。

 河井夫妻は8月25日に東京地裁で開かれた初公判で買収の意図などを否定し、ともに無罪を主張した。秋元議員は起訴後の保釈中に裁判で虚偽の証言をするよう依頼、報酬提供を持ち掛けたとして組織犯罪処罰法違反(証人等買収)容疑で逮捕された。

 刑事裁判には、有罪判決を受けるまでは被告を無罪として扱わなければならない「無罪推定」の原則がある。しかし、一般の国民ならともかく、有権者に広く支持を訴え当選した政治家には、もっと高度の倫理観が求められ、裁判で争うのは当然として、ここはまず自ら身を引き、高額な歳費を返上するのが筋である。ウェーバーが言うように、自分の行為の責任は自分一人で負うしかないのだ。

 併せて言えば、国会も3人の議員辞職勧告を決議すべきである。「議員本人が判断する問題」、「選挙で選ばれた議員の進退を議会が議決する法的明文規定がない」との意見もあるようだが、そのような説明で国民の理解が得られるとは思えない。逆に国民の政治不信が一層膨らむことになる。

 ポストコロナの世界は、激しさを増す米中対立の中での安全保障・外交問題、借金が1100兆円を超え危険水域にある国の財政再建、いつ起きてもおかしくない巨大地震や常態化する豪雨災害対策など国の根幹にかかわる重要課題が山積する。

 政治屋ではなく政治家に
 ウェーバーは政治に身を投ずる者が備えるべき資質として「常に戦い、その責任を自ら負う覚悟」「重大決定できる気概を持つ必要性」などを指摘し、「政治家にとって大切なのは将来と将来に対する責任である」と説いた。数々の言葉は100年を経た現在も色あせていない。

 有権者、特に若者の政治離れを指摘する声も多い。国政選挙の投票率も前回衆議院議員選挙が53.68%、昨年の参議院議員選挙が48.8%と低迷している。国づくりは国民の納得と協力なくして進まない。そのためにも国民の不安を解消し、政治に対する国民の期待と信頼を高めるのが喫緊の課題だ。

 戦後75年、社会は大きな転機を迎えている。国民が求めているのは「政治屋」ではなく「政治家」である。政治に携わる人たちが真の政治家として日本および国民に夢と希望を与える存在になられるよう切に願ってやまない。
(ささかわ ようへい)

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