「ろう者留学へ」―日本財団奨学生― [2020年07月27日(Mon)]
「ろう者留学へ」 ―日本財団奨学生― 日本財団では、各国におけるろう者の社会参画と指導者養成のため、長期間努力を続けてきた。 今回は、大西啓人君が世界の名門・アメリカのギャロデット大学院に見事合格、奨学生となった。彼は全日本ろう学生懇談会の会長を2年間勤めており、留学の目的は「ろう児のための英語教育、英語教材の研究」である。この大学には私自身何回も訪問しているが、世界中から優秀な学生が集まっており、1988年から現在に至るまで、四代続けてろう者が学長を務めている。 日本財団では1993年から支援を開始し、「笹川国際奨学基金」は現在223名の卒業を輩出。アルゼンチン、中国、モンゴル、インド、スリランカ、イラン、ナイジェリア、ガーナ、ベトナム、フィリピン、マレ−シア、ネパール、フィジー、エジプト、ケニア、マリ、ジャマイカ、チリ、日本などの卒業生が各地で大活躍している。 又、ニューヨーク州の「国立ろう工科大学」は工学系の大学で、ここでもミャンマー、タイ、マレーシア、フィリピン、中国、香港、インド、ネパール、ガーナ、ケニア、エチオピア、ナイジェリア、南アフリカ、ウガンダ、タンザニア、ソマリア、ザンビア、ジンバブエ、ジョージア、ハンガリー、ブルガリア、カナダ、グァテマラ、ホンジュラス、トリニダード・トバゴ、ジャマイカなど、178名の奨学生が卒業している。 今回は二人の卒業生も財団を訪ねてくれた。 一人は山本綾乃(あやの)さんで、ギャロデット大学で修士号を取得し、現在は群馬大学で日本財団と協力して「学術手話通訳に対応した専門支援者の養成」プログラムで活動されている。 もう一人の福島愛味(めぐみ)さんは、ろう者のための建築家になりたいと希望しているが、コロナで修士論文の現地調査が出来ないので、現在は建築系の会社で働いているという。 お二人はいづれ、世界中の笹川奨学生がネットでつながり、世界的な「ろう者ネットワーク」を構築したいと、夢を語ってくれた。 短い時間ではあったが嬉しい訪問で、心癒されるひと時であった。 |