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leprosy.jp
resize.png日本財団はハンセン病の差別撤廃を訴える応援メッセージサイト「THINK NOW ハンセン病」を開設。皆様からのメッセージを随時募集・配信しています。
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「世界的な医学雑誌 ランセット」―拙書が書評欄に― [2020年06月01日(Mon)]
「世界的な医学雑誌 ランセット」
―拙書が書評欄に―


1869年にイギリスで創刊され、世界的に権威ある学術雑誌「ネイチャー」に私の著作の書評が掲載されたことは、昨年の3月18日のブログで紹介済みですが、今回は、世界的な医学雑誌である「ランセット」に私の著作「残心」の英文翻訳版の書評が掲載されたことは望外のことで、恥ずかしながら紹介させていただきます。

―書 評―

その情熱はモーターボートからハンセン病制圧へとつながる

 インドの村で育った幼少期から、人々の生気を奪うハンセン病によって手足の一部を失った人々が寺院の外で物乞いをする光景を目にしました。インドは2005年にハンセン病の制圧を宣言しましたが、身体に深刻な障害をもたらすこの感染症は2009年になっても依然活発化したままの状況にあります。

 WHOによる公衆衛生上の問題としての制圧は人口比1万人あたりの登録患者数が1人未満と定義されますが、2018年の世界全体の新規患者数は208,619人でした。そして、2015年の時点では、新規患者の約6割がインドで見つかっています。ハンセン病が今も蔓延している主な原因は、病気に対する認識の低さと、ハンセン病に苦しむ人々に対する社会からのスティグマと差別が挙げられます。

 こうした状況は、世界各地のハンセン病の歴史と照らし合わせてみれば、さして珍しいことではありません。現在らい菌という細菌が原因で発症することが判明しているハンセン病が、古くから聖書や仏教の経典で言及されてきた事実からも、ハンセン病対するスティグマがいかに長きにわたって社会の共通認識として根付いてきたかということを思い知らされます。

 病気を持つ人々はしばしば社会から隔離されました。1940年代の日本で、笹川良一氏は知り合いの少女がハンセン病を患ったらしいと知った時、初めて自分の身近な問題としてハンセン病を知ることになりました。少女は笹川良一氏の日常から突然姿を消し、良一氏は虚無感に襲われました。「その出来事をきっかけに良一氏は、ハンセン病患者の治療とそれに付随する社会的なスティグマの解消を生涯の使命とした」と息子である笹川陽平氏が自身の著書「No Matter Where the Journey Takes:A One Man's Quest for a Leprosy-Free World」(2014年に日本語で出版された『残心』の英訳本)で述べています。

 陽平氏は同著の中で、父親と世界各地のハンセン病療養施設を訪問した事に加え、WHOハンセン病制圧親善大使としての経験についても詳しく語っています。

 著者はまた、ボートレースの収益金を活用して慈善活動を始めた彼の父親の社会的イメージを払拭にも努めています。日本でボートレースを公営競技として合法化し、1962年には慈善事業の実施母体として(財)日本船舶振興会(2011年に日本財団に名称変更)の設立に携わった父を、慕うというよりは心から尊敬する著者の心情には胸を打たれます。

 日本財団は、国内外でさまざまな慈善活動を行ってきました。その中で、常に重視されてきたことは、ハンセン病の制圧でした。「人々は父の少年時代の小さな出来事[彼の前から少女がいなくなった]がこの組織創設の原動力となったことを聞くと驚くかもしれません。この父が体験した昔の出来事から、私は父にとってのハンセン病との闘いは差別との闘いであり、また差別に対する彼の憤りでもあったと感じています。」と著者は述べています。幼少の頃から、若い陽平氏は父親がハンセン病を患った人々に触れ、抱きしめている姿を見届けてきたのです。父のハンセン病患者の人々との触れ合いは、ハンセン病を患う人々が人道的に扱われるべきであり、ハンセン病は接触を通じて簡単に感染することはないという社会的および科学的なメッセージでもありました。陽平氏は著書を通じこうした情景を鮮明に語っています。

 日本財団の成り立ちと世界各地でのハンセン病制圧活動についての説明とともに、著者は自分と父親が国内外の著名な人物とどのように協力しながらハンセン病の制圧に取り組んできたのかについても、詳細に伝えています。例えば、初期のハンセン病治療薬であるプロミンやダプソンを初めて日本にもたらすきっかけを作った石館守三氏(「日本のハンセン病化学療法の父」と呼ばれる)を始めとする人々の助けを借りたことは、その後日本の差別的な「らい予防法」の廃止につながったと考えられます。

 日本財団は、陽平氏の90カ国以上におよぶハンセン病蔓延国訪問や、政治家・WHOなどの組織との連携を通じて目覚ましい成果をあげました。著者は父親の偉業を誇りとし、慈善家としての自分の仕事へ自負を持つ一方で、父だけではなく、ローマ教皇、ダライラマ14世らとの出会いを通じて様々なインスピレーションを得たことも謙虚に語っています。

 回顧録とも伝記とも位置づけられる著者のハンセン病制圧の歴史は、読者に対し多くの考える材料を提供するとともに、彼が父親の足跡を成功裏に踏襲してきたことを確信させることになるでしょう。時には、「グローバル・アピール」というイニシアティブを通じて、ハンセン病を公衆衛生問題としてだけでなく人権問題として捉え、スティグマや差別と闘うべきであると呼びかけることで、政治家や国連の高官の意識を変えることによって、また日本財団からの資金供与を通じてさまざまな発展途上国でハンセン病を制圧するための治療薬(MDT)を無償で提供することによって、さらには3つのメッセージ、すなわち「ハンセン病は治る病気、薬は無料、差別は間違っている」を繰り返し訴えることによって、彼は父親の遺志を継承してきました。

 笹川陽平氏の軌跡やメッセージは現在も明確で重要なものです。それが多くの人々の心に響き、今もハンセン病に伴うスティグマに苦しむ人々が様々な国に存在するという事実を彼らが重く受け止める機会になることを期待しています。

Vijay Shankar Balakrishnan


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コメント
ご著書未読につき、内容については申し上げようのないことですが、ご活動にはさまざまなご苦労、ご葛藤があることはお察しいたします。長らくの事業には心より敬意を表するものです。
それでも、僭越ではありますが、どうぞご勇退なさってください。責任をとられてください。わたしはあなたに怒っています。
Posted by: NONAME  at 2020年06月03日(Wed) 01:49

インド、アフリカ諸国の衛生状況の改善が進みません。地方農村は水不足で、そのようなところでは、水洗トイレは非現実的です。代わって私ども、京都の国際NPO(NICCO)は、ドライトイレの建設を実行しています。マラウイで約1000戸、ケニア100戸、ミヤンマー数10戸実績、インド・ブッダガヤ郊外の学校でで建設をしています。 野外排泄を止めて、乾式トイレ(し尿分離)を建設し、アルカリ発酵した糞は、優れた堆肥になり、尿は液肥になります。 この衛生の基本の実行で、ハンセン病はじめ種々の感染病対策になります。貴財団と一緒に、この根本課題を進めたいです。
Posted by: 松井三郎  at 2020年06月01日(Mon) 16:58

じつに心を打たれる暖かい書評と思いました。笹川先生の長い長いハンセン病との闘いを知り尽くしているようにも思いました。
私は生涯に一人だけハンセン氏病の新患患者を診ましたが、彼女は目がクリクリとしてとても可愛い女性でした。本当に良い時期に生まれたものと笹川先生に感謝を捧げます。
Posted by: 作田 学  at 2020年06月01日(Mon) 12:10

現在のコロナ禍におきましても インドという国が抱えている多様な問題・側面が浮き彫りになっています。御著のお考えを拝読しながら 引き続きインドそして新興国をwatchしたいと思います。
Posted by: 板垣  at 2020年06月01日(Mon) 10:33

ブロブを拝見しています。
私のような薄学ものにとっては楽しみなブログです。
ハンセン病の件も私もまったく知らない世界の事と思っていましたが、世界中には苦しんでいる人がいる事、ハンセン病で迫害を受けた方々などなど勉強になりました。
いつもいつも雑学含めありがとうございます。
Posted by: 宮本 洋一  at 2020年06月01日(Mon) 10:28

ご無沙汰しております。
ご尊父様からご遺志を引き継がれ発展してこられたご活動の正当な評価有難く拝見いたしました。
今後も世界は一家大精神でご活躍祈り上げます。
Posted by: 松浦四郎  at 2020年06月01日(Mon) 10:03