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「ハンセン病制圧活動記」その51―フィリピンでのハンセン病制圧活動記― [2019年12月11日(Wed)]
「ハンセン病制圧活動記」その51
―フィリピンでのハンセン病制圧活動記―

栗生楽泉園機関誌『高原』
2019年9・10月号

WHOハンセン病制圧特別大使
笹川陽平

2019年9月8日から11日の4日間でフィリピンの首都マニラを訪問した。今回の訪問目的は、日本財団と笹川保健財団で共同開催したハンセン病回復者組織世界会議および3年に一度開催される第20回国際ハンセン病学会への出席、それにアテネオ大学名誉博士号の授与式に出席することであった。

フィリピンは東南アジアに位置し大小7,000以上の島々から構成される島国であり、日本から飛行機に乗れば約4時間で到着できる国である。我々日本人の先祖はシベリア半島から北海道に上陸した人々、朝鮮半島を通じて移動した人々、そしてフィリピンから海を渡った人々がルーツであると言われている。それほど身近な国でありながら、ハンセン病に目を向けると状況は全く異なる。2018年の報告では新規患者数2,176人に上り、東南アジアではインドネシアに次ぎ患者数が2番目に多い国となっている。

世界には、フィリピンをはじめハンセン病回復者によって設立された回復者組織がある。ハンセン病を克服した人々が集まり、当事者自らの力でハンセン病に関する問題解決を目的とし結成している。当事者の意見を政策に反映させる社会活動やハンセン病の正しい知識を知ってもらう啓発活動、回復者の生活向上のための就労支援や患者の早期発見活動も実施している。日本財団と笹川保健財団は約25年前からこのような世界中の回復者組織の支援を継続しており、回復者組織がハンセン病の制圧活動において重要な役割の一角を担うようになっている中で、今回の回復者組織世界会議を開催するに至ったのである。

1世界ハンセン病回復者会議の出席者全員との記念写真!.JPG
世界中から集まった回復者の代表者たちと


9月7日から10日まで4日間開催されたハンセン病回復者組織世界会議には23か国から回復者団体代表が集まり、総参加者数は80人を超えた。これほど大規模な回復者会議は珍しく、通訳が必要なため私はゆっくりと代表者たちにむかって「人間1人1人は弱いかもしれない。しかし、1本の糸は弱いが、糸が10本になり、100本になり、1,000本になることで強いロープとなり、大きな力を生み出すことができる。ここに集まる代表者が各国で弱い糸を集め、ロープを作り出した結果、こうして世界中から代表者が集まることができた」と語りかけた。

午前中の会議を終えて、フランシスコ・デュケ保健大臣との面談のために保健省へ移動した。保健大臣に会うのは3回目である。世界会議を開催していることを説明するとともに、フィリピンには深刻な病気が多数ある中、比較的患者数の少ないハンセン病対策を継続して行っていることに感謝した。その他、国民皆保険制度についてなど様々な健康に関する話題について意見を交わした。

2デュケ保健大臣.JPG
デュケ保健大臣


夜は回復者組織世界会議の夕食会に参加した。そこでは、フィリピンのハンセン病回復者組織より嬉しいサプライズが待っていた。回復者の1人であるアルバート・ロペス氏が私の肖像画を描いてプレゼントしてくれ、さらに、彼が作詞作曲したハンセン病の歌のプレゼントも頂いた。多彩な才能を持ち、たくましく生きる彼のように、回復者は社会を変える力がある。私はロペス氏に感謝を述べ、会場にいる回復者の皆さんに「回復者の方々はお医者さんなのです。社会にあるスティグマや差別を治療するために闘いましょう」と激励すると、会場全員が高々と拳を上げ一体となった。そして、「私も闘いの仲間に入れてもらえますか」と問うと会場全員から拍手を頂けたのである。彼らと一緒に仕事ができることが大きな誇りであり、ハンセン病によるスティグマや差別の無い世界を達成するための仲間がいることに感謝しながら会場を後にした。

翌日はマニラ市内のアテネオ・デ・マニラ大学を訪問した。フィリピンにおけるハンセン病制圧と差別撤廃活動への貢献が評価されて、名誉博士号が授与されることになったからである。アテネオ大学は2007年にハンセン病のスティグマと差別撤廃を訴えるイベントに協力してくれた縁があり、その時にハンセン病から回復した11歳の少女が「差別は決して正当化されない」と力強く声を上げてくれたことを鮮明に覚えている。大学が制作した私の紹介ビデオの中で、フィリピンのハンセン病専門のクナナン医師とWHO西太平洋事務局の葛西健事務局長から応援と感謝の言葉をいただけたことは光栄であった。ハンセン病に馴染みのない出席者に興味を持ってもらうことは難しいことだが、大学が工夫してビデオを作成してくれたことで、多くの出席者がハンセン病について理解するきっかけとなっていれば嬉しい。

3ヴィラリン学長から学位を受け取る.JPG
学長から名誉博士号が授与される


最終日には世界中のハンセン病関係者が一堂に会する第20回国際ハンセン病学会に出席した。基調講演の時間をいただき、ハンセン病を顧みられない熱帯病と呼んでいることへの反対の意見を表明し、世界中のハンセン病回復者組織が、ハンセン病の無い世界を達成するための重要な役割を担っていることを強調した。ハンセン病は顧みられない熱帯病の一つとしてWHOに登録されているが、 “顧みられない”を英語に訳すと“ネグレクト”である。日本では子供に対して愛情を注がず、食事を与えないなどの虐待を“ネグレクト”と表現する。これは無関心・無視という意味で使用されている。ハンセン病は無関心でも、無視されている病気でもない。政府や医療関係者、研究者をはじめとして多くの人が関心を持ち続けており、撲滅に向けて協働している病気の一つである。そのように力を尽くし努力されている方々がいる中で“ネグレクト”を使用することは大変失礼なことであり、私はこれをやめるべきだと表明したのである。ハンセン病は“ネグレクト”される病気の一つではなく、この病気を通して人権について学び、人とは何かを考えることができる唯一無二の病気であると私は思っている。

4第20回国際ハンセン病学会で基調講演.JPG
第20回国際ハンセン病学会で基調講演


そして、私はあらゆる病気の中で回復者がこれほど活躍している病気はないと考えている。前述もしたが、世界各地の回復者組織が重要な役割を達成するために日々活動をしていることを称賛したい。その活動は各国に残る差別法の撤廃など社会的制約の解消、回復者の生活レベルの向上、ハンセン病が治る病気で無料の薬があるといった社会へ訴える啓発活動である。ハンセン病を経験した回復者ゆえの視点を持ち、ハンセン病を取り巻く社会の問題点に対し努力を惜しまず活動を継続できたこその賜物である。学会に参加するハンセン病の専門家や研究者だけでなく、世界中の人々が回復者の声に耳を傾け、ハンセン病とその差別のない世界“ゼロ・レプロシー”実現のために更なる協力を推し進めていくことを期待したい。

今回フィリピンでハンセン病回復者組織の代表が一堂に会する会議を開催できたことは、1本の糸が大きく太いロープへと成長していることを肌で感じることができ、心の底から嬉しく思った。この会議を通してそのロープが繋がり、強力なネットワークが形成され、世界からハンセン病のスティグマと差別を無くすための活動が拡大されると信じている。そのために回復者組織の支援を継続していきたいと考えている。ハンセン病とその差別のない世界“ゼロ・レプロシー”が達成されるまで私と回復者の闘いは終わらない。



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笹川陽平会長殿
 はじめまして、神戸三宮HATでボート普及活動をしております、兵庫県ボート協会事業部の橋研志郎と申します。4年前にHAT神戸ボートの件で補助金申請をさせていただき、ご担当者との東京事務所での面談までしていただいたのですが、神戸の海関連の他の団体申請の方が子供達への貢献大との理由により最終却下になりました。以来個別メールをいただくも開封しませんでしたが、あれからも続けているHATでのボート普及活動において、「感動漕艇エッセイ」と自分なりに名付けて、知人、漕友に発信しだしてから、会長の日記、エッセイを勉強させていただくことにいたしました。継続は完全なる力のとおり、会長の日記、エッセイの継続はすごい事だと思います。また文章量も多く関心いたしております。また「今日の仕事」も公開されておられ、これまた関心しております。我々の漕艇普及活動においても、メンバーの各活動の情報共有が解決困難な課題の一つなのですが、自らの行動を開示することもグループ内の情報共有には有効かもしれないとヒントをいただきました。
これから時間があれば、感想文を送らせていただきます。
宜しくお願い申し上げます。
Posted by: Kenshiro Takahashi  at 2019年12月11日(Wed) 10:20

笹川陽平会長殿
 はじめまして、神戸三宮HATでボート普及活動をしております、兵庫県ボート協会事業部の橋研志郎と申します。4年前にHAT神戸ボートの件で補助金申請をさせていただき、ご担当者との東京事務所での面談までしていただいたのですが、神戸の海関連の他の団体申請の方が子供達への貢献大との理由により最終却下になりました。以来個別メールをいただくも開封しませんでしたが、あれからも続けているHATでのボート普及活動において、「感動漕艇エッセイ」と自分なりに名付けて、知人、漕友に発信しだしてから、会長の日記、エッセイを勉強させていただくことにいたしました。継続は完全なる力のとおり、会長の日記、エッセイの継続はすごい事だと思います。また文章量も多く関心いたしております。また「今日の仕事」も公開されておられ、これまた関心しております。我々の漕艇普及活動においても、メンバーの各活動の情報共有が解決困難な課題の一つなのですが、自らの行動を開示することもグループ内の情報共有には有効かもしれないとヒントをいただきました。
これから時間があれば、感想文を送らせていただきます。
宜しくお願い申し上げます。
Posted by: 橋研志郎  at 2019年12月11日(Wed) 10:18