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産経新聞【正論】養子縁組を社会的擁護の柱に [2017年04月07日(Fri)]

養子縁組を社会的養護の柱に


産経新聞【正論】
2017年3月21日


 欧米各国の社会的養護の柱の一つに、生みの親と暮らせない子供たちを引き取り、法的に実の子として育てる特別養子縁組がある。対するわが国は、社会的養護を必要とする子供約4万6千人(2014年)のうち約84%が乳児院や児童養護施設で、約16%が里親家庭やファミリーホームで暮らし、特別養子縁組はわずかに500件前後にとどまる。

 ≪まずは施設から里親委託へ≫
 日本も採択する国連の「児童の代替的養護に関する指針」を見るまでもなく、子供は家庭的な環境で育つのが望ましく、特別養子縁組こそ最善の福祉と言っていい。その普及に向け、わが国も社会的養護の在り方を抜本的に見直していく必要がある。

 政府は15年春に閣議決定された少子化社会対策大綱で19年度末の里親委託率を22%に設定するとともに、昨年の児童福祉法改正では養子縁組に対する相談・支援を児童相談所の主要業務に位置付け、議員立法による養子縁組あっせん法の成立で民間の養子縁組あっせん団体も届け出制から許可制に変わった。

 里親委託を増やす一方、民間あっせん団体の透明性を高め、官民一体で特別養子縁組を増やす狙いと理解する。ただし養子縁組は双方のマッチングなど難問も多く、短期間の大幅増は難しい。

 当面は乳児院、児童養護施設から里親への移行が政策目標となる。現に年間4500件の特別養子縁組が成立する英国、同5万件の米国も現時点では社会的養護の71〜77%を里親に頼っている。

 しかし両国とも最終的な目標はあくまで特別養子縁組だ。里親委託は恒久的な家族が見つかるまでの経過措置と位置付けている。

 それでは、わが国で養子縁組を普及させるには何が必要か。ポイントの一つは、子供の措置(委託)先を決める権限を持つ児童相談所の機能強化である。現在、全国の都道府県、政令指定市に計207カ所設置され全体の職員数は1万人を超える。

 しかし里親・特別養子縁組に対応する常勤専任職員を配置しているのは86カ所、14年に児童相談所の関与で特別養子縁組に進んだ件数も82件にとどまる。

 ≪児童相談所機能の分割強化を≫
 一方で同年に児童相談所が相談対応した児童虐待や非行は15年前の7.6倍に当たる約8万9千件、対応能力は限界に来ている。虐待・非行も里親・養子縁組も避けて通れぬ重要テーマである。

 人事異動の多い一般行政職ではなく、約3千人の児童福祉司や社会福祉士、臨床心理士など専門職員を増やすと同時に双方の機能を分け、総合力をアップする必要がある。

 施設や里親のもとで暮らす子供たちと養子縁組希望者の情報を全国的に集約し、双方のマッチングを広く調べることを可能にするネットワークの整備も欠かせない。情報が増えればその分、養子縁組が成り立つ可能性も上昇する。

 厚生労働省の資料によると、不妊治療を受ける夫婦は全国で40万組を超え、一方で年間の人工妊娠中絶件数は新生児数の約20%に相当する18万6千件(13年度)に上っている。養子縁組を希望する夫婦は多く、妊娠中絶の中にも子供の将来を確実に託せる養親希望者が早い段階で確保できれば助かる命も多いはずだ。

 もう一点、養子縁組を困難にしているのが養子縁組を望まない保護者の意向だ。わが国では伝統的な家制度の影響か、親権に対するこだわりが強い。厚労省調査では養子縁組に同意しない保護者が多く、その分、養子縁組が進まない一因となっている。

 ≪優先されるべきは子供の幸せ≫
 一方で乳児院の子供3千人のうち610人は親の面会が一切なく、親の責任が放棄された状態にある。こうしたケースに関しては親権を制約できるような法的枠組みも必要と考える。何よりも子供の幸せが優先されるべきは言うまでもない。

 仮に施設から里親、さらに特別養子縁組への移行が進み、全国136カ所の乳児院や603カ所の児童養護施設で働く約2万人の職員に余力が出れば、子供の反発や問題行動に悩む里親家庭に対する支援組織や「子育て世代包括支援センター」といった総合的な相談組織の整備も前進しよう。

 日本の家族関係社会支出を国内総生産(GDP)比で見ると、年金など高齢者関連の社会支出が10.4%と経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均7.4%を大きく上回るのに対し、子供関係は1.35%と各国の半分以下となっている。世界のトップを切って高齢化が進む日本の現状を反映しているともいえるが、次世代を担う子供の育成の重要性を考えるとバランスを欠く気もする。

 要する費用は半端ではないが、数字の上では施設より里親委託、養子縁組の方がコストは低い。子供が健全に育てば次の時代を支える宝にもなる。

 必要なのは社会全体の覚悟と決意である。4月4日の養子の日を前に改めて思いを強くする。
(ささかわ ようへい)


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コメント
不運な子供たちをもっと幸福にしてあげたいと思う一心で35年くらいこの問題に機会あるごとにかかわってきました。法治国家ですから、致し方ないと思いますが、法律が整備されるたびに、何やらおかしな現象が出没するように思えてなりません。もっと子供を大切にする風土を作らないと、子供の自殺率世界1の汚名も返上できません。親に代わる人の深い愛で子供たちは、本当にすくすく育ちこれはお金のあるなしではないのです。これからの日本子供をもっと大切にするためには、成人男女の縁組も応援してゆかねばならないでしょう。手遅れになって不妊治療となる前に、今は成長期の子供たちの体を冷えからま盛る、予防接種禍からも守るというような
複雑な時代に私たちは生きております。もっと自然にを声を大にして叫び続けていますが、なかなか社会は変わる様子がありません。
名木純子
Posted by: mei ki junko  at 2017年04月07日(Fri) 08:05