「中国の小話」その33―地下に眠っている英雄からの電話― [2014年06月13日(Fri)]
「中国の小話」その33 ―地下に眠っている英雄からの電話― 中国では清明節になり、地下に眠っている烈士(英雄)から「現代中国はどうなっているのか?」と、次々に心配の電話がかかってきた。 【江竹筠】 1949年秋、人民解放軍が破竹の勢いで重慶を攻め落とす直前に国民党の特務機関に処刑された。29歳の共産党女性諜報員・江竹筠は、残酷な拷問に屈せず、最後まで共産党の機密を守りきった「共産党員の模範」「烈士」(英雄)である。 江竹筠の質問:国民党が打倒されましたか? 回答:台湾の陳水扁大統領に打倒されました。 【董存瑞】 中国当局が建国の英雄として宣伝する人物。1948年、共産党軍の兵士として国民党軍と河北省隆化県での戦闘中、自分を犠牲にしてトーチカを爆破した。 董存瑞の質問:労働人民はまだ牛や馬のような厳しい暮らしをしているのか? 回答:もう労働はしていません。不景気で全員失業しました。 【呉琼花】 現代バレー舞踊劇の主人公。海南島の貧農の娘として極悪非道の地主の元から脱走を試み半殺しにされる。後に共産党に入隊し、革命に参加する。 呉琼花の質問:姉妹たちはみんな解放されたのか? 回答:思想を捨てて、みんな水商売を始めました。 【楊子栄】 現代京劇模範劇の主人公。東北地方における解放軍と匪賊の闘いを描き、英雄・楊子栄が匪賊に変装し、敵の隠れ家に潜入して匪賊の頭目の信頼を得、その後解放軍を引きいれて一気に殲滅するという物語。 楊子栄の質問:山賊はみんな殲滅されたのか? 回答:みんな現在は公安や都市管理の保安要員に変身して人民を取り締まっています。 【楊白労】 歌劇「白毛女」の主人公喜児の父親。後に中国語のスラングで「白労働(いくら働いても貧乏)」の元になったほど貧しい農民。 楊白労の質問:地主はみんな打倒されたのか? 回答:みんな共産党員になり、格が上がりました。 【雷 鋒】 人民解放軍の模範兵士とされた人物。 1962年、電柱を輸送中のトラックを立て直す作業中頭を強打して死亡。22歳であった。死後毛沢東が「雷鋒に学ぼう」と言ったことで一躍有名になった。 雷 鋒の質問:資本家たちは今どうしている? 回答:みんな全人代と政治協商会議に入り、共産党に認められました。 【劉胡蘭】 山西省文水県の周村で成長。悪辣なボス地主は農民から残酷な搾取をしていたため、劉胡蘭の精神内には小さいときから恨みの種がまかれた。1945年、13歳で共産党予備党員となり、1946年村長の暗殺任務中に逮捕され、投降拒否により14歳で死刑された。彼の死後、毛沢東は「偉大なる生、栄ある死」と称賛した。 劉胡蘭の質問:同志はみんなちゃんと隠れたのか? 回答:みんなネットの世界に体を隠しました。 毛択東主席の質問:人民は今、何をしているか? 回答:主席の指導を忠実に守って、みんな地主叩きをやっています。 毛択東主席の回答:それなら安心した。 (注)「地主叩き」とは、実はトランプゲームの一種です。 |