「アメリカ大統領とゴルフ」 [2014年04月30日(Wed)]
「アメリカ大統領とゴルフ」 アメリカの歴代大統領にはゴルフ好きが多いが、中でもオバマ大統領は別格。月平均3回、年末年始を過ごしたハワイでは15日間のうち9日間プレーしたと朝日新聞が報じていた。 もちろんアメリカの大統領全てがゴルフをするわけではない。ゴルフをしないレーガン大統領に、日本の高官がゴルフクラブをプレゼントし失笑を買ったこともあった。心のこもったプレゼントをするには、あらかじめ相手の好みや奥方の趣味を調べておくことが不可欠。高官には「大統領はゴルフをする」との思い込みが強かったのであろう。 安倍首相もゴルフ好き。健康管理の上からも時間が許せば大いにゴルフを楽しんだらいいと思うが、なかなか日程が取れないようだ。昨年の夏休みは15日間で9日プレーし、「9日も」と報道された。鳥インフルエンザが発生した4月13日には、そのままゴルフを続け、官房長官が弁明のコメントを出す事態となった。メディアの反応は異常な気がする。 小渕首相が倒れた時、メディアはそろって首相の健康管理を問題にし、立派な体格の森首相が後を継ぐと、首相の健康問題は議論から消えた。それどころかハワイで潜水艦による水産高校実習船沈没事故が起きた際には、残り2ホールほどのプレーを続行したことで大きな批判を浴びた。 一般的なサラリーマンの休日を2013年度で見ると、土・日に17日間の祝日を合わせ計121日、これに年末年始や夏季休暇を加えれば休みは3日に1日以上になる。これに対し、日本の首相のスケジュールは、毎日、新聞に掲載されている首相の「動静欄」を見るまでもなく、筆者の知る限り世界で最も過密である。 ほぼ毎週のように習志野カントリーに出掛けながら、何ら批判も出なかった鈴木善幸元首相のようなケースもあるが、心身のリフレッシュがあってこそ大きな政治ができる。われわれは、もう少し首相の休養に寛容であるべきではないかー。 田中角栄元首相は、ある時、筆者とのゴルフ談議の中で、大学ノートのゴルフ記録を見せ、「陽平くん! 私にとってゴルフは政治と同じ闘いだよ」と楽しげに語った。 そこには日付、天気、同伴者、スタート、終了時間がハーフごとに記入され、スコアーはもちろん、昼食のメニューも几帳面に記入されていた。ある年の8月の記録は、何と! 1ヶ月間に67ラウンド。「わたしゃあ、天下国家をやりながら8月は1日2ラウンド以上やったんだよ」と例のダミ声でしゃべりながら、好物のオールドパーを喉に流し込んだ。 多弁な角さんだが、ゴルフではひたすら黙々と歩き、人一倍汗かきのためハーフごとにシャツや靴下を履き替えていた。時間が許せば1日4ラウンドもプレーするという。一度、4ラウンドやろうと一緒にプレーを始めたことがあるが、宮沢喜一氏が急用で軽井沢に来たとのことで中断、「角さんのゴルフは楽しみというより修行だ」とあらためて実感したものである。 筆者は近年、海外出張が多く、ゴルフの機会もめっきり減った。昨年の海外出張は21回、148日であった。たまの休日も雑用が多い。この4月は珍しく1ヶ月を日本で過ごし、2週続けて土・日、各々1.5ラウンドのプレーをした。筆者はカート使用のコース以外は歩くことにしている。春のそよ風の中、桜花が舞い、新緑が日の光を浴び、緑に色づいた芝の上を歩くのは何とも清々しく、心身ともに充実する思いがする。 首相には時間が許せば週一度は、ゴルフ場で心身共にリフレッシュするささやかな贅沢を差し上げようではないか。過密スケジュールの中でのストレス解放こそ首相の健康管理に重要である。 |