「禁煙記事と広告主との関係」 [2013年04月05日(Fri)]
「禁煙記事と広告主との関係」 ニューヨーク共同電では、ニューヨーク市のブルームバーク市長が、たばこ1000円と陳列販売を禁止すると表明したと伝えている。しかし、私の知るところ日本の全国紙は、一社を除いてほとんど無視したので、共同電をここに全文掲載させていただく。 【ニューヨーク=共同】 『ニューヨーク市のブルームバーグ市長は18日、若者の喫煙率を下げるため、店頭でのたばこの陳列販売を禁止する方針を表明した。20日に市議会に条例案が提出される。欧州などで導入済みだが、米国内では初という。たばこ1箱の「最低価格」を10・5ドル(約千円)と定めることも盛り込む。 販売に当たってはカーテンで覆ったり、カウンターの下など、客の目につかない場所に置いたりすることを求める。ブルームバーグ市長は「若者が喫煙によって健康を害し、寿命を縮めることを防いでくれるだろう」とコメントした。 ニューヨーク市によると、たばこの陳列販売はカナダやオーストラリア、ノルウェー、英国の一部などで既に禁止されている。 市は、陳列されたたばこを頻繁に目にする若者が喫煙を始める確率は、あまり目にしない若者に比べ2・5倍も高いとしている。私財を禁煙促進活動に投じ、たばこ嫌いで知られるブルームバーグ市長は、たばこ税の安い他州からニューヨークに持ち込んだたばこを安く販売する行為などへの罰則強化も合わせて提案するとしている。』 ************** 読者におかれては、最近、メディアでの禁煙に関する報道が激減していることに気づいておられるだろうか。 JT(日本たばこ産業)は巧妙な広報活動を展開している。 下記の全国紙の一面広告をご覧あれ!! この広告が何を読者に伝えたいのか、意味不明である。JTがあらゆる広告媒体にこの種の広告を掲載しているのは、読者向けなどではなく、多額の広告料を支払う広告主として、マスメディアに禁煙問題の記事を自主規制させる高等戦術なのである。 ある宗教団体は、多量の広告によりマスメディアの自主規制に大きな成果を上げており、この宗教団体の会長の健康問題と団体の今後のあり方は日本の政治、社会にとって多大な影響があるにもかかわらず、ほとんど沈黙している前例がある。JTの不思議な広告はこれを参考にしたのであろう。 この原稿を書き終えた直後、厚労省では、過去、たばこの有害性について体系的に議論することはなかったので、この度「たばこの害検証委員会」を設置することにしたという。煙草の害は世界の常識で、たばこの宣伝も厳格に規制されている。日本はとっくの昔に「たばこ枠組み条約」を批准しているのに、最近、禁煙やたばこ値上げが話題として報道されないのは、この種の広告の絶大な効果ではとうがった見方になってしまうのは、私の偏見だろうか。 3月19日の世界日報には、「たばこを吸わないと賞与3万円上積み」なるカラオケチェーン店「カラオケ本舗まねきねこ」の記事が掲載されていた。国民の健康を守るこのような取組について報道するのは、天下の公器を自任するマスメディアの役割ではないだろうか。 ******************* *「たばこ枠組み条約」は、正式には「たばこの規制に関する世界保健機関枠組み条約」といい、下記の目的のために各国で批准されたものである。 「たばこの使用及びたばこの煙に晒されることの広がりを継続的かつ実質的に減少させるため、締約国が自国において並びに地域的及び国際的に実施するたばこの規制のための措置についての枠組みを提供することにより、たばこの消費及びたばこの煙に晒されることが健康、社会、環境及び経済に及ぼす破壊的な影響から現在及び将来の世代を保護することを目的とした条約である。」 日本では2004年4月22日に衆議院、5月19日に参議院で承認されている。 |