「ロシアの仏教国」―カルムイク自治共和国― [2012年07月25日(Wed)]
「ロシアの仏教国」 ―カルムイク自治共和国― カルムイク自治共和国はロシア連邦内唯一の仏教国である。カスピ海の北西に位置し、人口は約30万人。地名の「カルムイク」はモンゴル系民族の名称で、ロシア連邦内に約16万人がおり、そのうち14万6000人がここに住む。 首都エリスタはカルムイク語で「砂のある土地」を意味するそうだ。ヴォルガ河がカスピ海に注ぐアストラハンからエリスタまでは車で約5時間の距離。目的地ゲオルギエフスクのテルスキ・ハンセン病療養所を訪問する途中、ここで昼食をとることになった。 チベット仏教ということで大いに期待していたが、ロシア風の建物が並ぶ街を行きかう人々の服装はロシア人と変わりはなく、仏教国の雰囲気はまったくなかった。唯一ひときわ目立ったのは釈迦牟尼寺で、いつ建設されたかは不明だが、比較的新しい寺のように見えた。敷地も広く、垣根には朝顔の蔓がしっかりと巻きつき、可憐な花を咲かせていた。 明らかにモンゴル系の顔立ちの老若男女が厳かに手を合わせて祈っている姿は、日本の寺院での参拝客の態度とは異なり、信心の深さを強く印象付けるものであった。 本堂の大きな釈迦牟尼像の脇には活仏ダライ・ラマ師が訪問された時の大きな写真が飾られていた。師とは今年の8月、インドでお目にかかる予定であり、大いに楽しみにしている。いつも私の手を握りながら話される師は、次回も同じように接してくださるのだろうか。恐縮なことである。 |