ハヴェル大統領とフォーラム2000 [2007年10月22日(Mon)]
「ハヴェル大統領とフォーラム2000」 国際会議「フォーラム2000」を、チェコのプラハでヴァーツラフ・ハヴェル大統領(当時)と共同開催して、今年で11年目となる。 2001年9月11日のアメリカでの同時多発テロ発生の時は、全ての国際会議が中止されたなかで、フォーラム2000は開催された。思い出の一つである。 残念ながら今回は出席できないので、下記のメッセージを送付した。 参考までに掲載します。 ◆ ◆ ◆ ◆ 昨年、10周年を迎えた「フォーラム2000」 「フォーラム2000メッセージ」 1996年、ハヴェル大統領から、やがて迎えるミレニアムに向けて、世界の英知をヨーロッパの中心に位置する非覇権国チェコに結集させ、これからの人類社会のあり方について議論しようではないか、という構想を伺い、私は、「1年限りの会議では意味あるものとならない。できるだけ長く継続することといたしましょう」とお返事し、フォーラム2000会議が開催される運びとなりました。 以来、毎年1回プラハに政治家、知識人、学者、芸術家など様々な背景をもつ人々が世界中から集まり、地球規模での人類共存のための新しい思想を打ち出すための議論を重ねてきました。 この会議は、他の国際会議と異なり、ハヴェル大統領の提唱されるmoral minimumという言葉に体現されているように、人類社会を導く精神的・文化的・宗教的価値に特に焦点を当てたことにその特徴があります。 毎回会議に出席されるダライ・ラマ14世と(昨年のフォーラム2000で) 昨年その10周年を迎えたフォーラム2000会議が、11年目の2007年にそのオリジナルなスピリットを失うことなく、このように多くの人々を集め、「自由と責任」という、誠に時機を得たテーマで開催されることは嬉しい限りです。これは、10年を機にフォーラム2000の第二フェーズが始まったといってもよろしいのではないでしょうか。 10年にわたる会議での共通の問題は「グローバル化」の問題でありました。そして、この問題は今も色あせることなく私達の面前にあります。しかし、今ここで、その問題からより進化する形で、「自由と責任」というテーマを取り上げられたハヴェル大統領の先見性に深い敬意を表します。 自由は、民主主義の根幹にかかわる問題であり、そして、人間のもつ基本的人権の行使という意味をもちます。しかし、その自由という概念は、国により、政治により、文化により、その定義が異なるのも事実です。 自由を享受するものは、他人の基本的人権を侵さないという責任をもたなければなりません。異なる人々の共存には、自由という概念が重要であると同時にそれに伴う責任、つまり他の人々にも自分が享受する自由と同じものが与えられることが必要です。 そしてそれはたやすいことではありません。今の世界でどれだけこの原則が理解され、行使されているのか、私達は深く考察する必要があります。 このたびのフォーラム2000が、共生社会の原理原則を考え、成熟した社会形成の指針となる成果を示されることを心から期待いたします。 笹川陽平 |