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「日本財団 暗黒酸素に挑戦」 ―光合成以外に酸素は発生するのか― [2026年05月11日(Mon)]

「日本財団 暗黒酸素に挑戦」
―光合成以外に酸素は発生するのか―


私たちは学校で、酸素は光合成によって生成されるものと学んできた。しかし、海底5000メートルの無酸素状態と考えられてきた暗黒の世界において、なぜ生物の存在が可能なのか大いなる疑問であった。

深海の熱水孔が噴出するところでは、エビのような生物が集まっている映像を目にしたこともあり、何らかの化学反応で酸素が生成されているのではないかとの疑問を抱いている。先般訪問した世界的な海洋研究機関のウッズホール海洋研究所の専門家も、確かにそのように考えられるが、科学的に解明されたわけではないとの見解であった。

今回の話は、日本近海の深海底に数多く存在する、ソフトボール大でレアメタルを多く含む「マンガンノジュール」から酸素が発生している可能性があるとの、スコットランド海洋科学協会のスウィートマン教授の研究発表を受けたものである。これを踏まえ、日本財団はこの研究を成果あるものにするため、支援を行うこととした。

以下、1月20日付海洋ニュース&テクノロジーの記事(原文英語)を掲載します。

*******************
深海の「暗黒酸素」の謎に迫る世界初の着底装置を公開


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地表の約1,200倍の圧力に耐えることができる世界初の着底装置(ランダー)2基が、海洋の最も深い謎の一つ――「暗黒酸素はどこから生まれるのか」――の解明に貢献することが期待されている。


スコットランド海洋科学協会(SAMS)のアンドリュー・スウィートマン教授は、2024年に、深海に存在する金属団塊が酸素を生成している可能性があることを発見し、大きな注目を集めた。これらの団塊は希少金属を含み、数千メートルの深海における生物分布の理解を深める可能性がある。太陽光が届かない環境であるにもかかわらず酸素が生成されている可能性は、光合成など太陽光に依存した酸素生成という従来の科学的理解に疑問を投げかけるものである。

しかし、この酸素が深海の暗闇の中でどのように生成されているのかは、いまだ明らかになっていない。日本財団はこの課題の解明に向け、3年間の研究プロジェクトに資金提供を行っている。本プロジェクトには、スウィートマン教授に加え、ボストン大学の地球生物学者で火星探査ローバーにも関わったジェフリー・マーロウ教授、そしてノースウェスタン大学の著名な化学者フランツ・M・ガイガー教授が参加している。

研究チーム(日本財団「暗黒酸素研究イニシアティブ(DORI)」)は、この謎の解明のため、宇宙探査機器を思わせる高度に専門化された2基のランダーを設計した。スウィートマン教授の娘にちなんで「アリサ」「カイア」と名付けられたこれらの装置は、団塊が海水と自発的に反応して電気を生み出すのか、あるいは生化学的プロセスが関与しているのか、もしくは未知の要因が存在するのかを検証する。

スウィートマン教授は次のように述べている。
「これらのランダーは非常にユニークであり、英国で最も深い海域に到達できる唯一の装置です。深海における生命がどのように酸素を得て生存しているのかという、根本的な問いに答えるためには、極めて高い圧力に耐える必要があります。」

日本財団の支援には、この世界初のランダーの建造が含まれている。ランダーは今春、太平洋中央部のクラリオン・クリッパートン帯(CCZ)に投入され、初期結果は年内に得られる見込みである。本プロジェクトは、IOCユネスコにより国連「海洋の10年」の活動として認定されている。

日本財団の海野光行常務理事は次のように述べている。
「3名の第一線の研究者と連携し、暗黒酸素の謎の解明に向けた研究に着手しました。本研究を通じて、すべての国に資する具体的な科学的知見を提供することを目指しています。日本財団としては、深海の保全と持続可能な利用のバランスを図るための政策判断や行動を後押しすることを目的としています。」

DORIの重要性について、マーロウ教授は次のように述べている。
「私たちの惑星の仕組みについては、まだ分かっていないことが非常に多くあります。こうした大きな問いは、通常は他の惑星を探査する際に扱われるものであり、私たち自身の地球についてのものではありません。微生物が進化の過程で獲得してきた驚くべき能力を踏まえると、多金属団塊の内部で実際に何が起きているのかを解明できることを大いに期待しています。」

研究チームは、ランダーに加え、「水中渦共分散法(Aquatic Eddy Covariance:AEC)」と呼ばれる装置も投入する予定である。これにより、対象海域における酸素のフラックス(移動量)を測定し、酸素生成のパターンや、他の環境要因が関与しているかどうかを明らかにする。アリサとカイアは、水サンプルの採取、団塊の精密測定、化学トレーサーの導入などを行い、水の酸化に関連するプロトンの存在を検出する。これは、電気分解による酸素生成か、その他のメカニズムかを区別する上で重要な指標となる。

ガイガー教授は次のように述べている。
「暗黒酸素とその発生源については依然として不明な点が多いものの、これまでに回収された団塊の一部を用いた実験室での研究では、顕著な電圧が発生することを確認しています。しかし、こうした電位がどのように形成されるのか、また深海底の極めて高い圧力環境下でどのように酸素が生成されるのかについては、まだ解明されていません。」

さらに、
「本研究は、これらの団塊がどのような仕組みで酸素を生成しているのか、その正確なメカニズムを特定することを目的としています。また、海洋環境がその機能に影響を与えているのか、あるいは全く別の要因によるものなのかについても明らかにしていきます。」

スウィートマン教授は次のように締めくくっている。
「これはまさにグローバルな研究プロジェクトであり、その成果も世界的な影響を持つものです。暗黒酸素が確認されている可能性のある海域は複数存在しています。本研究の結果は、地球上の生命に関する最も大きな謎のいくつかを解明する手がかりとなる可能性があり、大変興味深いものです。」

暗黒酸素に関する詳細は、dark-oxygen.netをご参照ください。
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