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平成29年度の指定難病について [2016年12月14日(Wed)]
JPAからのお知らせを転載します。

第18回指定難病検討委員会にて、平成29年度から追加される
指定難病が了承されました。
当日の資料は、厚生労働省ホームページに掲載されています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000145666.html


GLOBAL HEALTH CONSULTING メディ・ウォッチ
2016年12月12日|医療・介護行政をウォッチ
2017年度から先天異常症候群や先天性肺静脈狭窄症など24疾病を指定難病に追加へ―指定難病検討委員会

http://www.medwatch.jp/?p=11522

 先天異常症候群や先天性肺静脈狭窄症、遺伝性自己炎症疾患、無虹彩症など24疾病を2017年度から指定難病に追加し、一定の重症度基準などを満たした患者について医療費助成を行う―。
 12日に開催された厚生科学審議会・疾病対策部会の「指定難病検討委員会」で、こういった内容を親組織である厚生科学審議会・疾病対策部会に報告する方針を固めました。
 疾病対策部会(年明け1月開催予定)での了承を経て、3月の2017年度予算成立後に24疾病などについて告示を行い、4月から医療費助成が開始される見込みです。

12月12日に開催された、「第18回 厚生科学審議会 疾病対策部会 指定難病検討委員会」
ここがポイント!
1 222疾病のうち38疾病が要件を満たす、重複など排除し24疾病を指定難病に追加
2 新たな医学的知見を踏まえ、診断基準や重症度分類などを適宜見直し
3 医療費助成を受けている指定難病患者、2015年度末時点で延べ94万3460名


222疾病のうち38疾病が要件を満たす、重複など排除し24疾病を指定難病に追加

 疾病対策部会では、今年3月から指定難病の追加について検討。指定難病の要件に関する情報が新たに得られた222疾病を対象に、「要件を満たすか」「既存の指定難病に含まれる疾患ではないか」といった点を審査し、次の24疾病が指定難病に追加する方針が固められました(38疾病について要件を満たすと判断され、うち14疾病については既存の指定難病に含まれることや、他の追加疾病に包含されることも確認した)。なお、検討委員会ではすでに9月30日の前回会合で24疾病を追加する考えを示しており、その後に行われたパブリックコメント結果なども踏まえて、正式な方針決定となったものです。
(1)カナバン病(関連記事はこちら)
(2)進行性白質脳症(関連記事はこちら)
(3)進行性ミオクローヌスてんかん(関連記事はこちら)
(4)先天異常症候群(関連記事はこちら)
(5)先天性三尖弁狭窄症(関連記事はこちら)
(6)先天性僧帽弁狭窄症(関連記事はこちら)
(7)先天性肺静脈狭窄症(関連記事はこちら)
(8)左肺動脈右肺動脈起始症(関連記事はこちら)
(9)爪膝蓋骨症候群(ネイルパテラ症候群)/LMX1B関連腎症(関連記事はこちら)
(10)カルニチン回路異常症(関連記事はこちら)
(11)三頭酵素欠損症(関連記事はこちら)
(12)シトリン欠損症(関連記事はこちら)
(13)セピアプテリン還元酵素(SR)欠損症(関連記事はこちら)
(14)先天性グルコシルホスファチジルイノシトール(GPI)欠損症(既存の指定難病との整合性を図るため、先天性GPI欠損症から名称変更)(関連記事はこちら)
(15)非ケトーシス型高グリシン血症(関連記事はこちら)
(16)β−ケトチオラーゼ欠損症(関連記事はこちら)
(17)芳香族Lアミノ酸脱炭酸酵素欠損症(小児慢性特定疾患の疾病名との整合性を図るため、芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)欠損症から名称変更)(関連記事はこちら)
(18)メチルグルタコン酸尿症(関連記事はこちら)
(19)遺伝性自己炎症疾患(関連記事はこちら)
(20)大理石骨病(関連記事はこちら)
(21)特発性血栓症(遺伝性血栓素因による)(関連記事はこちら)
(22)前眼部形成異常(関連記事はこちら)
(23)無虹彩症(関連記事はこちら)
(24)先天性気管狭窄症(関連記事はこちら)
 
 年明け1月に開催予定の疾病対策部会での了承を経て、3月に追加24疾病名を告示し(2017年度予算成立後)、4月から医療費助成開始となる運びです。
 また3月の告示では、既存の指定難病のうち「原発性胆汁性肝硬変」の疾病名を「原発性胆汁性胆管炎」に、同じく「自己免疫性出血病XIII」の疾病名を「自己免疫性後天性凝固因子欠乏症」に変更する予定です。今般のパブコメにおける関係学会などからの指摘を踏まえたもので、後者については名称変更に合わせて「後天性血友病A(自己免疫性第VIII/8因子欠乏症)と「自己免疫性von Willebrand病」が包含されることになります。
 今般の追加によって、医療費助成の対象となる指定難病は330疾病(既存の306疾病と今回の24疾病の合計)となります。

新たな医学的知見を踏まえ、診断基準や重症度分類などを適宜見直し

 ところで指定難病患者のうち、医療費助成の対象となるのは、各学会・研究班が設定した▼診断基準▼重症度分類―に照らして、一定の要件を満たす患者に限定されます。例えば、「臨床症状や検査所見、遺伝子検査などによってDefinite(明確)と判断され、NYHA分類などの重症度分類でII度以上と判定された患者」といった具合に、疾患ごとに要件が設定されます。
 こうした要件は、疾病名の告示に合わせて、厚労省健康局長通知の中で示されますが、医学は日々進歩しており、「より正確に診断を下すことが可能になった」というような新たな知見が得られることも少なくありません。
 厚労省健康局難病対策課は、今般の24疾病の追加に合わせて、既存の306疾病の診断基準などを一部明確化することも提案。12日の検討委員会で了承されました。
 例えば、「もやもや病」(告示番号22番)について、診断基準をより明確にするため、「もやもや血管」の画像などを参照項目として追加するほか、スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)について、診断ガイドラインに沿って、必須となる主要初見に「病理診断」や「鑑別診断」(多形紅斑重症型およびブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群を除く)を追加するなどしています。
 さらに、今般追加される24疾病のうちの(1)カナバン病、(4)先天異常症候群、(5)先天性三尖弁狭窄症、(6)先天性僧帽弁狭窄症、(8)左肺動脈右肺動脈起始症、(9)爪膝蓋骨症候群(ネイルパテラ症候群)/LMX1B関連腎症、(21)特発性血栓症(遺伝性血栓素因による)、(22)前眼部形成異常、さらに「自己免疫性後天性凝固因子欠乏症」(前述のように、他疾病を包含し名称変更する)についも、これまでに検討委員会に示された診断基準・重症度分類について調整を行っています。
 こうした診断基準などの見直しについて、宮坂信之委員(東京医科歯科大学名誉教授)は「学会と研究班、国際的基準との整合性が必要ではないか。指定難病の診断基準が確定した以上、学会のホームページの内容なども、これに合わせて修正しなければ混乱してしまう」と指摘。この点、水澤英洋委員長(国立精神・神経医療研究センター理事長・総長)は「学会と研究班でしっかり連携してほしい」と要望しています。
 またこれに関連して厚労省健康局難病対策課の担当者は、「指定難病の追加について研究班からの申請ルール・手続きなどを整理する必要があろう。例えば『申請までに研究班が学会の了承を得ている』ことを要件化するなど、今後、検討委員会で議論してもらう。厚生科学研究においてこの点の研究を進めている」との考えを述べています。この点、水澤委員長は、「これまでは難病で苦しむ患者について、経済的な支援・救済をスピーディに行うことを主眼に検討してきた。これからの研究に期待したい」とコメントしています。
   
 なお、宮坂委員は「既存の指定難病であるIgG4関連疾患(告示番号300番)について、今般の診断基準などの見直しで『Possible』(可能性あり)が追加されたようだが、異なる疾患が入ってしまう恐れがないか」として、厚労省から学会に確認するよう求めています。この点について厚労省健康局難病対策課の担当者は「Possibleの該当患者がどの程度いるのかをまず把握する必要がある。仮にPossibleの患者がすでに医療費を助成されているとして、Possibleを削除して、助成を停止できるのかという問題も生じる」と述べ、慎重な検討を行う考えを述べています。

医療費助成を受けている指定難病患者、2015年度末時点で延べ94万3460名

 ちなみに厚労省が公表している衛生行政報告例(2015年度)によれば、306の指定難病に罹患し、医療費助成を受けている患者は94万3460名にのぼります(重複あり)が、想定よりも助成を受けている患者が少ない疾病もあり(例えばアイカルディ症候群などはゼロ名)、その理由など(担当医が指定難病であることを知らない可能性や、書類申請に戸惑っている可能性)を調べ、適切な対策の検討も必要になるかもしれません(政府統計における2015年度衛生行政報告例はこちら)。

【情報提供】平成27年度特定医療(指定難病)受給者数等統計表 [2016年12月03日(Sat)]
JPAの事務局より情報提供がありました。以下に転載します。

【情報提供】平成27年度特定医療(指定難病)受給者数等統計表

JPA加盟・準加盟団体
患者団体・関係者のみなさま

政府統計のホームページに、
平成27年度末時点での特定医療(指定難病)受給者数の統計表
公開になりました。


この表のままでは非常に読みづらいので、罫線を入れて書式を整えたり、
疾病ごとの告示番号をいれて、一つのファイル(シートごとに8つの表を入れたも
の)
にして、JPAホームページにて公表しました。JPA統計27年度.png


表の内容は次のとおりです。
第10章 特定医療(指定難病)・特定疾患
第1表 特定医療費(指定難病)受給者証所持者数,年齢階級・対象疾患別
第2表 特定疾患医療受給者証所持者数,年齢階級・対象疾患別
第3表 特定疾患医療受給者証所持者数,対象疾患・都道府県別
第4表 特定医療(医療給付)の支払決定件数・支払決定金額・レセプト件数,
    入院−食事療養費−入院外−訪問看護・都道府県別
第5表 特定医療(介護給付)の支払決定件数・支払決定金額,
    サービス種類・都道府県別
第6表 特定医療における支給認定件数,所得区分・医療区分別
第7表 特定医療における支給認定件数,医療区分・所得区分・都道府県別
閲覧第1表 特定医療費(指定難病)受給者証所持者数,対象疾患・都道府県別

過去の特定疾患受給者証所持者数については、厚生労働省ホームページの
次のサイトに掲載されています。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/36-19a.html
この報告例では、平成27年度は特定医療については公開されていません。

疾患別、都道府県別、年齢別、所得階層別などの受給者数一覧表、
特定医療費のレセプト件数と医療費の都道府県別一覧など、
興味深い一覧表になっています。

平成26年末(難病法施行前日)での受給者証所持者は92万5,646人(56疾患)
だったのに対して、施行後1年3か月経った平成27年度末(2016年3月30日)
現在の特定医療(指定難病)受給者数は94万3,460人(306疾病)。
平成25年末が85万5,061人ですから、平成26年1月から12月までの間に、
約7万人の新規受給者がいたのに対して、施行後に疾患数は56疾患から306疾患に
大幅に増えたにもかかわらず、平成27年1月から平成28年3月末までには、
1万8千人程度しか受給者数は増えていない
ということになります。
施行前日までに受給者証が交付されている92万5千人の人たちは、
難病療養継続者ということで経過措置にて平成29年12月までは、新しい重症度
による臨床調査個人票を提出しても制度から外されることはないはずなのに、
この数字はあまりにも少ないと思います。せっかく指定されたのに、交付数ゼロ
という疾病が24疾病、一桁台の疾病も数多くあります。
申請者数に対する交付数や、審査請求(異議申立)件数などがわかると、
もう少し実情がわかってきますが、それがないのが残念です。
まだまだ医師や医療機関、患者自身にも制度が浸透していないと言えばそれまでです
が、
研究に役立てることを目的にしている制度なのにデータが集まらないというのは、
制度の根幹にも関わる問題だと思います。
指定医の書く臨床調査個人票に記載漏れがあるなど手続き上に不備があり、
注意喚起をする自治体もあったと聞いています。
今後の対策を立てるうえでは、国でも都道府県でも、この数字をしっかり分析して
今後の見直しに役立てることはもちろん、患者団体の側でもよく分析してみる
ことが必要です。

この統計資料を、各方面でご活用くださることを願っています。
また、分析、評価などお気づきのことについて、細かいことでも構いません。
ぜひJPAにも教えてください。今後の運動の参考にしたいと思います。
来年度の指定難病に関するパブリックコメント募集 [2016年10月19日(Wed)]
一般社団法人 日本難病・疾病団体協議会 Japan Patients Association(略称JPA)からのお知らせを転載します。

まだ指定されていない難病の方もたくさんおられます。患者の声を行政に伝えてましょう。
今度の世界希少難治性疾患の日RDD2017のテーマは、ふみだそう〜Left no one behind 〜(誰一人置き去りにしない)です。

指定難病および小児慢性特定疾病の平成28年度の追加疾病(案)が
まとまり、本日付けで、パブリックコメントの募集が始まりました。
期間は10月17日日から11月15日まで。

パブリックコメントのページ
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public
*10月17日の公示日で探すか、
 「指定難病」「小児慢性特定疾病」などのキーワードで検索

念のために、該当する文書を添付しました。ご覧ください。
20161017パブコメ募集(指定難病).pdf
20161017パブコメ募集(小児慢性特定疾病).pdf
パブリックコメントへの意見は、関心度を表すことにもなります。
今回、候補に挙がりながらも指定されなかった疾病や、
まだ候補にも挙がっていない疾病の患者、家族、関係者のみなさんから、
期日までに、たくさんの意見を出しましょう。
第16回指定難病検討委員会/第44回難病対策委員会の傍聴について [2016年08月19日(Fri)]
第16回指定難病検討委員会は8月29日(月)15時〜17時です。
傍聴申込の締切りは、24日(水)17時まで。申し込みはこちら
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000133378.html

第44回難病対策委員会は8月31日(水)15時〜17時です。
傍聴申込の締切りは、26日(金)17時まで。申し込みはこちら
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000133604.html

国会請願署名活動が始まりました [2015年10月07日(Wed)]
JPA 事務局ニュース207号にも掲載されましたように、今年も難病、長期慢性疾病、小児特定慢性疾病、疾患の総合対策を求める国会請願署名活動が始まりました。以下にJPA 事務局ニュース207号から抜粋します。
 来年(2016年)の通常国会提出にむけて、日本難病・疾病団体協議会(JPA)は10月3日、国会請願署名行動をスタートしました。難病法や法に基づく基本方針ができて、いよいよ、難病対策の具体化はこれからです。国民の幅広い支持があってこそ、難病対策は予算を確保でき、総合的な対策に足を踏み出せるでしょう。
 東京・中野駅前では、森幸子代表理事、斉藤幸枝理事会参与をはじめ、8団体20人が街頭に立ち、署名の協力を呼びかけました。
 「難病はいつ誰が患ってもおかしくありません。治療法の開発はみんなの問題です」「お金のある方もない方も、命は平等。お金が足りなくて、病院でいい治療できないのはおかしなことです」と話すと、高齢者を中心に、一瞬立ち止まって、一呼吸置いてから、署名する姿が目立ちました。なかには、「私も難病で大変です」といって署名する方や、「難病とはなんですか」と質問される方もいました。
「患者申出療養」が来年4月からスタートします。この日のためJPAでは、独自にポスターを作成し、「金の切れ目が命の切れ目」「薬に保険が効かない『混合診療』を増やすよりも、安心・安全の『医療保険』適応を早く」と訴えました。1か月分の医療費が百数十万円という抗がん剤の事例を引きながら、医療保険を適応してこそ、治療が可能になると訴えました。
 来年(2016年)の通常国会提出にむけて、日本難病・疾病団体協議会(JPA)は10月3日、国会請願署名行動をスタートしました。難病法や法に基づく基本方針ができて、いよいよ、難病対策の具体化はこれからです。国民の幅広い支持があってこそ、難病対策は予算を確保でき、総合的な対策に足を踏み出せるでしょう。
 東京・中野駅前では、森幸子代表理事、斉藤幸枝理事会参与をはじめ、8団体20人が街頭に立ち、署名の協力を呼びかけました。国会請願署名2015.10.3−2.png
 「難病はいつ誰が患ってもおかしくありません。治療法の開発はみんなの問題です」「お金のある方もない方も、命は平等。お金が足りなくて、病院でいい治療できないのはおかしなことです」と話すと、高齢者を中心に、一瞬立ち止まって、一呼吸置いてから、署名する姿が目立ちました。なかには、「私も難病で大変です」といって署名する方や、「難病とはなんですか」と質問される方もいました。国会請願署名2015.10.3−1.png
 今年度の署名の請願項目は、難病法の基本方針が策定されたことを受けて、この基本方針を軸に、早期に総合的対策を実現することを第一の項目に据えています。そして、医療費助成ではすべての患者が安心して治療を受けられるよう、医療保険制度、高額療養費制度の改善を求めています。さらに小児期からの慢性疾患の成人期支援(トランジション問題)、医療体制の整備・拡充、都道府県難病相談支援センターの充実とその中心となる「全国難病センター」(仮称)の開設を訴えています。(全文は署名用紙をごらんください)

山口県内でも、10月25日(海峡メッセ下関)、11月28日(山口県健康づくりセンター)の難病交流会の会場や、12月13日福祉フェスタ、2月28日RDD2016in 山口の会場(いずれも海峡メッセ下関)で署名活動を予定しています。ご協力をお願いします。
患者申し出療養に関する声明 [2015年10月03日(Sat)]
9月30日に施行された患者申し出療養制度。新薬や海外で承認されているのに日本で認可されていない治療などに関して、患者側から申し出があればスピーディーに審査して個別に許可する(ただし全額自己負担)ため、時間がない!という差し迫った病状にある患者にとっては一筋の光明である一面はあります。しかし、多くの問題点を抱えていることも、考えなければなりません。以下に、JPA事務局ニュースから転載いたします。参考にしてください。

患者申出療養制度に関する共同アピール
一般社団法人日本難病・疾病団体協議会
一般社団法人全国がん患者団体連合会          平成27年9月28日

                   記

1. 混合診療の全面解禁は今後も行わず、日本の国民皆保険制度を堅持すること
 患者申出療養制度の導入により混合診療が一般化し、有効性と安全性が示された治療薬の薬事承認と保険適用が進まなくなることを懸念します。患者や家族の経済力によって受けられる治療に大きな格差が生まれ、国民皆保険制度が空洞化しかねません。患者申出療養制度は混合診療を例外的に認める制度であること、有効性と安全性が示された治療薬については、患者申出療養制度による混合診療に留めずに薬事承認と保険適用を速やかに認めること、そして混合診療の全面解禁は今後も行わないことを求めます。

2. 患者申出療養制度における患者の安全性の確保と負担軽減に努めること
 患者申出療養制度では、申請から6週間で有効性と安全性を審査するとしています。安全性を確保するためには期間にとらわれず、必要に応じて十分な審査を行うとともに、有害事象が発生した場合の対策と補償の仕組みを明確にしてください。臨床研究中核病院等における患者の相談体制についても、患者が科学的根拠の明らかでない治療を受けたり、治療のリスクを十分に理解しないままに治療を受けたりすることがないよう、患者への制度の周知を図り、人員配置や予算措置を明確にするとともに、患者や実施医療機関に費用負担を強いることがないように求めます。

3. 患者申出療養制度を含む医療政策の策定プロセスへの患者参画を進めること
 有効性、安全性、実施計画等を審査する患者申出療養制度に関する会議は、患者等の当事者を委員に含めるとともに、申請や審査の状況のみならず、申請に係る相談内容や件数の報告を義務づけるなど、制度が適正かつ安全に運用するための措置を講じてください。また、患者申出療養制度に関する検討の場に、患者等の当事者が早期から意見を述べる機会がなかったことをふまえ、今後は患者申出療養制度を含む医療政策の策定プロセスにおいて、患者等の当事者が早期から参画できるよう求めます。