CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る
« 2010年07月 | Main | 2010年09月»
<< 2010年08月 >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
最新記事
カテゴリアーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
プロフィール

s-tajimaさんの画像
リンク集
https://blog.canpan.info/s-tajima/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/s-tajima/index2_0.xml
スカイツリー発見 [2010年08月11日(Wed)]

財団事務所前から建設中のスカイツリーの「てっぺん」だけが
ちょっと見えてきました

北へ100メートルほど歩いた道路が、スカイツリーにまっすぐ向かっていて
写真のように400メートルの高さになった姿を見ることができました。
月刊「WAM」(6) [2010年08月09日(Mon)]
月刊WAM(福祉医療機構)の連載が終了です。
最後は、福祉の原点を大切にした経営を訴えました。
なお、紙数の関係もあり「月刊WAM」誌上とブログの文章は若干異なります。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

社会福祉法人をめぐる課題(6)
 公益性・非営利性を高く掲げる〜福祉の原点を大切にした経営を〜
 1.社会福祉理念や対象者の変化
社会福祉法人制度は、1951年制定の社会福祉事業法(現社会福祉法)により創設されました。制定時の法律は、社会福祉の対象を「援護、育成又は更生の措置を要する者等」と規定し、このような人々を生活困窮度により選別し公的な(救貧的)福祉の対象とする考えに立っていました。その後、福祉の考え方は、国民の基本的権利として誰でもが福祉サービスを利用できるものへ変わってきました。
 1990年の社会福祉事業法(当時)改正では、福祉の対象者は「福祉サービスを必要とする者」と改められました。福祉の理念が選別から普遍へと変化したのでした。同時に、それまで「独立心をそこなうことなく、正常な社会人として生活することができるよう援助すること」となっていた社会福祉の目的が、以下のような福祉理念として改められ、ノーマライゼーション理念の実現、地域福祉の重視、広範な生活課題への対応へと変化したのでした。
   @心身ともに健やかに育成され、又は社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に
     参加する機会を与えられる
   A環境、年齢、及び心身の状況に応じ、地域において必要なサービスを総合的に
     提供されるよう援助する
 半世紀以上前の法制定時に比べ今日の社会は一見「豊か」に変貌したとはいえ、長寿・少子化や格差社会の進行の中で、認知症高齢者やホームレス、ネット難民、乳幼児への虐待などといった新たな福祉課題が生まれています。また、経済的課題も引き続き存在しています。このような対象や理念の変化への対応が社会福祉法人に望まれていると言えます。

2.公益・非営利とは何か
 社会福祉法人は、公益法人(財団・社団)から発展して誕生しました。法制定以前、民間福祉事業を担っていた「社団法人、財団法人には・・・社会的信用や事業の健全性を維持する上において遺憾な点があり・・・純粋性を確立するために、特別法人としての社会福祉法人の制度を設けることとした」(法制定時の厚生省社会局長木村忠二郎氏の著書「社会福祉事業法の解説」時事通信社、1951年)状況があったことから、従来の社団・財団に比べより公益性の高い法人として社会福祉法人制度が創設されたのでした。
 また、法制定の前年、社会保障制度審議会は、社会福祉事業を行う特別な法人制度について、「(民間社会事業の)自主性を重んじ、特性を活かすとともに、特別法人制度の確立等によりその組織的発展を図り、公共性を高めることによって国及び地方公共団体が行う事業と一体となって活動しうるよう適当な措置をとる必要」を勧告していました。(社会保障制度審議会「社会保障制度に関する勧告」第4編、昭和25年10月16日)
 このように社会福祉法人は、当時の社会的要請のもと、公益法人以上に「公益性」、「非営利性」を求められる存在として誕生したのでした。この原則は、今日でも全く変わっていません。
 公益とは、不特定多数の人々の幸福(利益)を目指す働きのことであり、非営利とは事業の利益を私(配当)しないことです。非営利を「利益をあげてはいけない」「利益を上げることを目的としない」と解すのは間違いです。「利益を、法人の構成員(社員=出資者)に分配しない」のが非営利の意味です。社会福祉法人の使命は、利益の極大化ではなく、法人の使命(社会的に意味ある目的)の達成になるのです。

3.新たな課題に積極的に取り組もう
 憲法第25条も措置費制度も存在しなかった時代、社会福祉の先覚者達はニーズに依拠し、開拓的・先駆的な事業を展開していました。
 岡山孤児院の石井十次や家庭学校の留岡幸助は有名ですが、ここでは綱脇龍妙を紹介しておきます。
 綱脇は明治39年に身延山に民間ハンセン病療養施設を開設した日蓮宗の僧侶です。この年、身延山に参拝した綱脇はハンセン病の少年患者に出会いその場を立ち去ることができない経験をし、数ヵ月後には富士川の河原に小屋を建て患者の収容を開始しました。この施設(身延深敬院)は、以後86年間民間の寄附金を集めながら運営を続け1993年に国立施設に引き継がれるまで続いたのです(現在は社会福祉法人深敬院身体障害者療護施設「かじか寮」)。
全国各地にこのような例を見ることができます。
 そもそも、制度が先にあって福祉ニーズが生まれ、サービスが提供されるのではありません。ニーズがあって、ニーズに対応してサービスが提供され、制度はあとから整備されることが多いのです。また、法律や制度が整備されても、制度の谷間にあって苦しむ人々が存在することもしばしばあります。
 経済・社会の変化によって福祉サービスのあり方も新たに変わらなければならないでしょう。社会福祉法人には、新たに生じる福祉課題に対し果敢に立ち向かうことが求められています。例えば、子育て支援やホームレス問題は、行政による対策が始まる以前から社会的課題であり、支援を必要とする人々が存在していました。社会福祉法人はこうした課題にどのように関わってきたのでしょうか。先進的に取り組んだ法人・施設も存在しますが、多くは制度が出来てから取り組みを始めたのではないでしょうか。社会福祉法人は民間らしく、もっと機敏な対応を行い、社会的課題に積極果敢に対応する必要があることを強調しておきたいと思います。
 新しい課題に挑戦するために注目すべき考え方があります。「貧困と障害」というこれまでの枠組みではなく「社会的な排除や孤立」の視点で捉え、社会的に弱い立場にある人々を社会の一員として包み支えあっていこうという考え方=「ソーシャル・インクルージョン」です。児童虐待や中国残留孤児などの新しい課題は福祉ニーズを「貧困と障害」で捉えてきたこれまでの福祉の枠組みではとらえきれない課題です。このような課題に応えていくためには、問題を「社会的な排除や孤立」という視点からとらえ、福祉の基本をソーシャル・インクルージョンにおこうというもので、今後の取り組むべき方向を考えるうえで示唆に富む考え方です。
 2000年12月に発表された、厚生省(当時)の「社会的な援護を要する人々に対する社会福祉のあり方に関する検討会報告書」は、上記の観点からの鋭い指摘がされています。

4.公益性・非営利性を自ら捨てないようにしよう
 社会福祉法人は、その公益性・非営利性のゆえに、公的な助成を得ています。社会福祉法人が、公益性を発揮することなく優遇だけを受け続けていたのでは、社会に受け入れられなくなってしまいます。
 社会福祉法人の多くは、設立時の財産を特定の個人や法人からの寄附によっています。法人を設立する場合、施設用地が新設法人に寄附され建築整備費用の自己資金も寄附されることが一般的です。自明のことですが、この寄附は営利法人における出資とは全く性格が異なります。営利法人では、出資割合に応じて「持分」が生じ、法人が解散した場合には持分に応じて残余財産が配分されますが、社会福祉法人には配当はありませんし、そもそも「持分」という概念がありません。
  @ 寄附された財産は法人の所有となり、持分が認められない
  A 社会福祉事業から生じた剰余金の分配・配当は認められない
  B 解散時の残余財産は、他の社会福祉法人又は国庫に帰属する
これが社会福祉法人の原則です。
 ところが、社会福祉法人の側から自ら公益性を捨てるような動きが過去にありました。
     「社会福祉法人の設立者は、(施設)開設に際し多額の出資(寄附等)をしており…
     創業者(設立者・寄附者)の権限を位置づけるべきである。収支者の議決権、持分等
     の定めを明確にする(必要があり)…社会福祉法人制度の中で、法制度化できるかど
     うかという問題はあるが、1つの議論としてぜひしていただきたい。」

という主張が福祉関係者から表明されたことがあったのです。(2004年2月17日「第8回社会保障審議会福祉部会」) 
 寄附を出資と言い換え、持分を要求する主張は、社会福祉法人自らが非営利性を棄て去ることになります。社会福祉法人には公益目的を積極的に達成することと同時に、財産や利益を「私しない」(非営利性を貫徹すること)が求められていることを忘れてはなりません。
 最後に、社会福祉法人をめぐる課題はこの連載で述べた以外にも多々ありますが、課題解決の根底には、公益性と非営利性を高く掲げなければならないことを強調しておきます。