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旧日本橋区立浜町小学校 [2009年11月18日(Wed)]
今日、明日と行われる財団中堅職員研修の会場は、中央区立浜町会館です。
隅田川に沿い、公民館、敬老会館、保育所が入る建物です。戦前は、日本橋区立浜町小学校でした。
1945年3月10日の東京大空襲で、東京下町一帯は一面の焼け野原になり、浜町小学校でも多くの市民が亡くなりました。
浜町会館の入り口に次のような銘があります。
  昭和20年3月10日 東京大空襲の夜
  浜町小学校と運命をともにされた
  宮田清 土岐達子 両先生 用務員の栗田さん 多くの都民の皆様
  皆様の御最後は此の浜町小学校で人生の大事な時を過した
  私たちにとって忘れる事のできない痛恨の出来事です
  殉職せられた両先生、用務員、殉難せられた都民の皆様
  天国からあなたの子供達に話しかけ子供達をお守りください
  私たちの脳裏に刻み込まれた おやさしかった皆様の
  生前のお姿をしのび霊安かれと御冥福をお祈り申し上げます

私の生まれ育ったのは、ここの対岸両国、両国生まれの母の級友は半数以上が空襲で亡くなっています。
研修会で訪れた会館で、平和の大切さをしみじみとおもいました。
戦後生まれの私が還暦をすぎる現実の中で、どのように戦争の悲惨が伝えられていくのか考えさせられました。

戦争は福祉と相いれません。
日本ソーシャルワーカー協会倫理綱領派以下のように高らかに宣言しています。
  われわれソーシャルワーカーは、すべての人が人間としての尊厳を有し、
  価値ある存在であり、平等であることを深く認識する。
  われわれは平和を擁護し、人権と社会正義の原理に則り、
  サービス利用者本位の質の高い福祉サービスの開発と提供に努めることによって、
  社会福祉の推進とサービス利用者の自己実現をめざす専門職であることを言明する。


写真は、東京大空襲直後の下町、右上に見える橋は新大橋、浜町小学校は新大橋の下流(右側)
〈ゆうゆうの里〉のケアと実践研究 [2009年11月17日(Tue)]
1.老人福祉財団の理念とケア・スピリット〜実践報告シリーズ発刊にあたって〜
 日本老人福祉財団は、高齢者の新しい住まい方を提案し、介護付き有料老人ホーム〈ゆうゆうの里〉を設置運営する目的で1973年に設立されました。1976年に浜松〈ゆうゆうの里〉を開設して以来、人が人として生きるための尊厳を大切にし、しかも自分らしく生きがいのある人生最後のステージを悠々とお過ごしいただくための居住空間・日常生活サービス・介護サービスを提供し、ご入居された皆様に大きな安心感に裏付けられた“充実した自分らしい人生”を送っていただくことを大きな目標としてきました。
 1979年伊豆高原〈ゆうゆうの里〉、1983年神戸〈ゆうゆうの里〉湯河原〈ゆうゆうの里〉、1985年大阪〈ゆうゆうの里〉、1988年佐倉〈ゆうゆうの里〉、1997年に京都〈ゆうゆうの里〉を開設し,現在では約2,200戸の居室におよそ2,450名のご入居者が生活されています。
 〈ゆうゆうの里〉では、常にご入居者の心身の状態にあわせ、お一人おひとりに最適と思われるサービスを提供することを目標にしてきました。ご入居者の皆様が〈ゆうゆうの里〉でますます充実した人生を送られることをスタッフ一同心より願い、その基本精神を2005年に以下のようにまとめました。
  ケア・スピリット
      「私にとってあなたはとても大切な人です」

 このケア・スピリットに基づき、日々の仕事のすべての場面でより良いサービスを提供するためには、職員による研究活動が大きな力を発揮するものと、私は考えています。仕事の中から問題点や課題を見つけ出し、実践の場で研究し業務を改善していく積み重ねがあって、サービスの質は高まっていくものと信じるからです。
 このような考えに基づき、〈ゆうゆうの里〉では、事故ゼロ運動、相談対応活動などと並んで職員による研究活動に積極的に取り組んできました。現在では、〈ゆうゆうの里〉のすべての部門・職場で、現場発想に基づく研究活動が展開されるようになっています。2008年度を例にあげると財団全体で60題の職員研究が行われ(7施設55題+本部5題)、施設ごとの発表会を経て2008年12月に〈ゆうゆうの里〉全国研究発表会(第8回)を開催しました。
 職員研究のテーマは、狭義の介護に限ることなく、厨房・施設維持管理・事務・入居者募集などすべてのサービスに関わることに広がっています。私達の提供するサービスは狭義の介護にとどまらず、すべての職員がすべての場面で行うものと考えているからです。
 12月に第1冊目を発売予定のブックレット「〈ゆうゆうの里〉ケア実践シリーズ」は、〈ゆうゆうの里〉における実践研究活動の成果を多くの皆様にお伝えしたいと考え、発行をけ隠してきたものです。研究者ではない現場の職員が、日々の業務に追われ、苦労しながらまとめた様々な研究成果について、今後順次発行していきたいと考えています。忌憚のないご意見ご批判をいただければ幸いです。

2.神戸〈ゆうゆうの里〉ソフト食の取組みについて
 シリーズの最初となる「食べる楽しみをいつまでも〜ソフト食レシピ30」は、神戸〈ゆうゆうの里〉食事サービス課が取り組んだ研究の報告です。嚥下困難を抱える方々へ、ソフト食(「ゲル食」とも言うようですが、当法人では「ソフト食」と呼称しています)を提供しようと奮闘した3年間にわたる研究の成果をまとめたものです。取り組みを開始して3年目の2009年度には、目標に掲げたソフト食提供100%の目標をほぼ達成するところまで到達しました。
 本書の副題に「レシピ30」とあるように、最終的にはソフト食のレシピを作成し、何時でも提供できる体制を作りあげました。このことは、たいへん素晴らしい成果と思っていますが、理事長という立場で私は、この研究のプロセスに注目していただきたいと考えています。
この研究のプロセスについて振り返ってみたいと思います。

@研究のきっかけ〜関係性の大切さ〜
 この研究が開始された「きっかけ」は介護居室で生活されている嚥下困難な入居者が、食事の際に隣の方のお寿司に手を出してしまったことです。当時、嚥下困難な方にはすり潰した流動食を提供していました。すべての料理がドロドロの状態で、陰では「ドロ」と呼んでいた職員もいたようです。〈ゆうゆうの里〉の出来事ではありませんが、黄色い流動食が小鉢に入っていたのでデザートのパイナップルだと思い込んでいたら沢庵をすり潰したものだったという笑えない体験を聞いたことがあります。
 誤嚥事故を恐れるあまり、「すぐむせてしまうのだから、流動食でもしょうがない」「嚥下困難な方には流動食で当たり前」と、職員の多くも現状を受け止めていたのかも知れません。
この研究の発端になったのは、隣の方のお寿司に手を出してしまった利用者を眼の前にした介護職員が、「ドロドロではなくお寿司が食べたいんだなぁ」と心から受け止めたことでした。私だったら「何をするの!」と叱ってしまったかも知れません。この研究が、介護職員の本当の意味で利用者の「傍ら」にいる姿勢から始まったことに、私は心からの感動を覚えています。
 とことん傍らにいようとする姿勢、サービスを受ける側と提供する側との良い関係が、この研究の出発点であったことを確認しておきたいと思います。利用者の行動に心から共感した職員は「何とかならないのか?」と厨房職員に真剣に訴え、厨房の職員も介護職からの投げかけを真正面から受け止めて、研究が始まったのでした。

Aマネジメントプロセスの大切さ
 第2の点は、マネジメントプロセスを理解し、PDCAを意識的にしっかり回したことです。嚥下困難な入居者の食事の改善について取り組み始めた研究チームは、まず現状を踏まえ「目的=あるべき姿」を探すことにしました。検討の結果、目的を「要介護状態になっても食べる喜びを(提供する)」としました。そして「目標」をソフト食の100%提供とし、1年目はトライアル、2年目は提供率50%、3年目に100%と「工程」を定めたのです。いきなり「ソフト食」作りに取り組んだのではなく。利用者中心の視点で目標を定めるところことから取り組んだのです。このことは、たいへん重要なことであったと考えています。
 仕事に取り組む上で「手前主義」に陥ることがしばしばあります。「手前主義」とは、仕事の意義や目的を理解することなく、何かに追われるように、とにかく何かを作ってしまおうという仕事のスタイルです。〈ゆうゆうの里〉では、すべての取り組みにおいて、次のような手順でスタートを切ることを何度も確認してきていました。
 つかむ:現状を掴んで、目標との差を測る
 つける:目標を定め、狙いをつける
 つくる:ここまで来たら、計画を作る

この研究においても、法人の理念、施設の目標、ケア・スピリットなどを基に、食事サービスのそもそもの目的から考えました。一見「まわり道」をしているように見えますが、目的を明確にする作業を通じて、はっきりした目標が立ちました。この結果、具体的な行動計画(工程)が一つひとつクリアでき、成果につながりました。

3.おわりに
 ミッション(理念)に沿って取り組む姿勢が基礎となることが良い仕事をしていくうえでたいへん重要です。入居者を大切にし、傍らにいるケアを目指す姿勢。接遇スピリットを具体化することとは何かを考えることを基礎にする姿勢。こうした姿勢が改善の基礎となっています。
また、私は常々「ケアを幅広くとらえる」ことの重要さを訴えてきました。狭義のケアを提供することだけがケアではない、ケアは施設の職員全体で提供していると強調してきました。
この研究においても、入居者を中心に置き、職種を横断して全体で取り組みました。ケア全体を幅広く見渡した結果、調理技術にとどまらないで食事提供・食事ケアの大きな改善につながる成果を上げることができたのだと確信しています。
 食事に必要とされる要素は、味、形状、盛り付け、栄養、温度など様々あります。これらの要素はどれが最も重要かなどと順位をつけることはできません。栄養が充足していても不味くては食べていただけません。美味しくても栄養がきちんと摂取できなければ困ります。
神戸〈ゆうゆうの里〉では、ソフト食を提供してから、残食が少なくなり、美味しそうに食べている光景が見られるようになりました。面会にみえたご家族から驚嘆の声が寄せられ、元気な入居者からも「もし重い介護状態になったとしても、こういうものを食べさせてくれるのね、安心したわ」などの声が寄せられています。
 今後も、ケアの全場面つまりご入居者と関わるすべての場面で「もっと良い方法はないのか」と考え続けていきたいと念じています。
                                                           (以上)

*「食べる楽しみをいつまでも〜ソフト食レシピ30」のご注文方法については、ひとつ前の記事をご覧ください。
〈ゆうゆうの里〉ケア実践ブックレットの発刊 [2009年11月17日(Tue)]
〈ゆうゆうの里〉のケア実践から生まれた「〈ゆうゆうの里〉ケア実践報告シリーズ」の1冊目が、12月5日発売になります。
日本老人福祉財団では、すべての職員が入居者との日々のふれあいの中から問題点や課題を見つけ出し、改善を目指して研究活動を展開しています。

今後、実践研究の成果をシリーズとして順次刊行していく計画です。
シリーズの1冊目となるのは、「食べる楽しみをいつまでも」。
神戸〈ゆうゆうの里〉食事サービス課職員の3年間の取り組みをまとめたものです。

研究は、ケアセンター食堂で、嚥下困難で流動食を「食べさせられていた」入居者が隣の方の食べていたお寿司に手を伸ばしてしまったことがら始まりました。
「要介護状態になっても、食べる喜びを!」と研究の目的を定め研究が始まりました。

本書には、この研究の過程と、研究の成果として生まれた「ソフト食」レシピ30が掲載されています。
ぜひ、多くの皆さんに読んでいただき、ご意見等お寄せいただきたいと思います。
〈ゆうゆうの里〉ケア実践シリーズbP「食べる楽しみをいつまでも」は、
1冊800円(税込)、12月5日発売です。
ご希望の方は、メールまたはハガキに、郵便番号・住所・指名・希望冊数を明記し、
財団本部「ブックレット係」までお申し込みください、送料無料でお送りします。
代金は、ブックレット到着後、同封の振込用紙でお支払いいただくことになります。
日本老人福祉財団:103‐0012東京都中央区日本橋堀留町1-7-7
メール:book@yuyunosato.or.jp



ブックレットの内容の一部です⇒

img-y19141208.pdf


実践研究の狙いと意義については、次の記事『〈ゆうゆうの里〉のケアと実践研究』をご覧くいださい
青森へ [2009年11月13日(Fri)]
11日青森県福祉人材センターのセミナーに行ってきました
「人材の確保と定着の課題」について講演し、続くシンポジウムにコメンテーターとして参加しました。

青森はもう冬でした
翌12日朝の気温は5度
寒さの中、特急「スーパー白鳥」に乗って、昼過ぎ財団事務所に出勤しました



新幹線青森開業のあとは、東北本線青森−八戸間の特急はなくなるのでしょうね
「白鳥」は、現在の八戸―函館から、青森−函館
「つがる」は、青森−弘前になるのでしょうか
秋の記念祭(富士霊園) [2009年11月13日(Fri)]

11月10日は〈ゆうゆうの里〉墓前記念祭でした
富士霊園で佐倉、湯河原、伊豆高原、浜松の各施設から、ご入居者と職員が集まり
〈ゆうゆうの里〉のお墓の前で、ピアノとフルートの調べが流れる中、献花をしました



富士の裾野は初冬の気配でした、桜の並木はすっかり葉が落ち、モミジは真っ赤に色づいていました
景気が悪くなっても、なぜ福祉人材の確保に苦しむのか? [2009年11月09日(Mon)]
不況下における介護・福祉人材確保の課題
景気が悪くなっても、なぜ人材確保に苦しむのか?

不況と福祉人材確保との関係
 現在のような不況に陥るまで、「介護人材が確保できないのは、好景気で「福祉なら働ける人」がいなくなったからだといわれていた。しかし、不況下でも人材確保の状況は一向に好転していない。社会福祉士、介護福祉士、保母などの社会福祉専門職の有効求人倍率は、好不況とは関係なく05年から1を上回る状況が続いていたが、リーマンショック後の09年1月には1.82を示し、不況下においても人材確保難は解消されるどころか激しさを増している。

福祉人材難の原因
 好不況の波と関係なく福祉人材の確保が難しい原因は以下の諸点にあると考えられる。

 第一は、福祉・介護職員の高い離職率である。(財)介護労働安定センターの調査によると平成20年度における施設介護職員+訪問介護員の離職率は18.7%、全労働者離職率8.2%を大きく上回っている。 介護職はすべての福祉従事者の6割を占めると言われる。毎年2割近い職員が退職していく状況を放置していては人材確保難は解消できない。

 第二の原因は、切り下げられ続けてきた人件費である。福祉分野の常用介護労働者の平均年収は下がり続けている。筆者が厚生労働省毎月勤労統計から算出した福祉職の平均年収は、2001以後下がり続けている。この間は、非正規職員や派遣労働者の増加が全産業に広がり、全産業労働者の平均年収も下がっているが、福祉職の平均年収は全産業を超えて下がり続けている。筆者の試算では2001年全産業労働者(常用)平均年収422万円に対し、福祉職383万円(対全産業比91%)であったものが、2007年には396万円に対して285万円(同72%)になっている。
 契約社員の増加や、正規職員の賞与の減額などが平均値を下落させた原因と思われる。介護労働安定センター調査では介護職の月平均実賃金(手当含む)は全国平均で月給者235,693円、日給者142,345円である。

 第三の人材確保難の原因は、経営者の姿勢に起因する企業文化(職場風土)が良くないことである。  
 介護労働安定センター調査によると、介護職の退職理由の第一位は「法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満」23.4%、第二位「職場の人間関係に不満」23.0%、第三位「収入が少ない」21.8%、第四位「他に良い仕事があった」20.0%である。退職者のほぼ半数が退職の理由に、法人の経営姿勢や職場の人間関係を理由にあげている。好ましくない企業文化を改善しない限り、人材の確保・定着は好転しない。 

人材確保難にどのように対処するか
 人材の確保はそれだけで単独に存在する問題ではない。調達(採用)・教育・定着・考課・給与・昇格・昇進・福利厚生など一連の人事施策の一部である。また、法人・事業所の人事施策は、法人の理念・目的に基礎をおく経営全体の一部である。このような基本的な視点に立って、弥縫的対策に止まらない対応が必要である。そのための基本は以下の諸点であろう。

1)理念を基礎におく経営を徹底
 福祉・介護職の多くは、人の役に立ちたいなど利他的な気持ちを持って入職してくる。ところが、実際のサービス提供場面で人格の尊厳や人権の尊重がないがしろにされているなどの場面に遭遇しているのではないだろうか。一部の職員による利用者への拘束や「いじめ」に疑問を呈したところ「おむつ交換もきちんと出来ないのに生意気を言うな!」と一蹴されてしまった。こうした事態を経営者や管理者は見て見ぬふりをしている、などといったことが、入職者の志を阻喪させる原因になっていることが散見される。 
 離職原因についての調査結果を他山の石とすることなく、法人の社会的責任に立った理念・目標の実現に向けた日々の経営が求められるところである。

2)人件費抑制
 福祉・介護職の平均年収の下落傾向をとどめなければならない。金銭面での処遇を向上さえすれば人材は集まるというわけではないだろう。一方で、給与も人材の確保・定着の重要な要素であることは間違いがない。生活することができる給与水準の確保が大きな目標とならなければならない。
 介護保険創設以来、営利企業の参入など競争下での経営に目を奪われるあまり、多くの法人が「経営改善=人件費抑制」という呪縛に囚われてきているように思える。中年世代からの昇給停止など極端な制度改定の実施や、大卒初任給を14万円台に設定しているなど極端な例も見られる。
 介護保険創設後2002年、2005年に実施された経営実態調査において、介護施設におけの10%超の利益が明らかになった。この結果2003・2006年の改訂において施設介護報酬が大きく切り下げられてきたのではないだろうか。  
 社会福祉法人など非営利法人にとっても、事業経営にあたり利益を上げることは決定的に重要である。赤字経営では、法人の社会的責任を果たすことはできないからだ。しかし、非営利法人にとっては、利益をあげることが法人の目的ではない。適正な利益を上げその利益で何を為すのか、何をもって社会(地域)に貢献するのかが重要なのである。
 経営=人件費抑制という誤った方策に走った結果、職員の定数を確保できず、人材不足による経営難に陥ってしまったのでは本末転倒であろう。繰り返すが、「人件費ダウン⇒高利益⇒介護報酬ダウン⇒人件費ダウン⇒人材確保難⇒経営難…」という負のスパイラルを生んできた呪縛から離れた経営姿勢が求められている。
 給与の水準では、都市部であれば初年度年収300万円前後を目指すべきと考えている。現実に大卒初任給21万円台、初年度年収300万円という水準でも安定的な経営を行っている社会福祉法人は存在していることを付け加えておこう。

3)専門性を重視した人事施策
 介護サービスの質は介護職の質に左右される。社会福祉士・介護福祉士制度が発足して20年経過したが、残念なことにこの間報酬などにおいてその位置づけが不十分のまま推移してきた。本年4月の介護報酬改定で、介護福祉士の配置が報酬体系に「加算」として加えられたが、医療保険における看護師の配置への評価と比べると未だ不十分なものと考えている。
 介護報酬の次期改定では介護の質をさらに重視した改定が行われる方向であり、長期的な視点で専門職の採用、資格取得への援助などを重点課題としなければならないであろう。

4)組織をあげてサービスの質の向上を
 介護職は利用者・家族の喜ぶ顔を見ることで成長する。誰もが良いワーカーになろうと夢を抱いて就職してきている。このような人材を、研修・教育を通じて定着させ「人財」に成長させることが重要な課題である。
 例えば、介護は歴史が浅く、そこには解決すべき課題が未だ多く残されている。解決すべき課題はケア(介助)場面で多く見られるが、その他にも、記録などケアに付随する業務の効率化・合理化の課題も山積している。業務の改善によって生まれた時間をより利用者のために使っていくことが重要である。
 サービス向上のために、職場内外の研修が行われているが、これに加えて現場発想で行う職員の研究活動が重要である。研究活動は職場の活性化、福祉・介護職の成長など大きな成果が期待できる大変重要な取り組みと言える。

5)環境を把握し、事実に基づく対応でクオリティ・マネジメントを実践
 組織の経営管理においては、理念に基づき、環境を把握し、戦略を策定し、行動計画を立て、それを実施し検証するというマネジメントサイクルを回し続けることが大切である。法人・事業所の事業展開のすべての場面で、サービスの質を高めるための取り組み(クオリィティ・マネジメント)が意識的に展開されなければならない。
 人材確保に関して言えば、例えば以下のことについて、事実に基づいて徹底的に検証見直しを図る取り組みが行われなければならないだろう。。
  ・法人・施設の離職動向を把握、原因の分析
  ・入職前の期待と入職後のギャップについての調査
  ・離職者が決定してから求人を始めるという「アテツギ」的方法の見直し
  ・求人広告の内容の見直し
  ・・・など
 何よりも、担当者任せにせず、法人の課題として組織のトップが関与しなければならない。
 1法人1施設で職員総数60名台という規模で、毎年早期に新卒定期採用を行い、良い結果を残している法人もある。退職者が出る都度行っている広告や面接等に要する費用(職員調達費)も改善すべき課題であろう。

おわりに
 「景気が悪くなれば人は集まる」は事実ではないこと、現状をしっかりつかみ、狙いを定めて、法人力・経営力を発揮して人材確保に取り組まなければならないことを述べてきた。
  「不況待望論」では人材確保はできないし、そもそも福祉の仕事が「福祉なら働ける」というたぐいのものではなく、そのような認識では優秀な職員を確保することはできない。福祉職への社会的評価をあげるためにはどのようにすべきかというソーシャルアクションの考えにも立って、それぞれの法人・事業所の真摯な取り組みが望まれていると言えるのではないだろうか。
(以上)

【参考資料】
・介護労働安定センター「平成20年度介護労働実態調査結果」
・厚生労働省「平成20年上半期雇用動向調査」
・堀田聰子「訪問介護員の定着・能力開発と雇用管理」東京大学社会科学研究所人材ビジネス研究寄付部門研究シリーズNo.11,2008.3.
・全国社会福祉協議会「介護施設・事業所のための戦略的な採用と初期の定着促進の手引き」2008.12.
京都〈ゆうゆうの里〉職員研究発表会 [2009年11月07日(Sat)]
昨夜の京都施設発表会で、7施設での研究発表会は終了しました。
各施設の優秀賞2演題に本部事務局の発表1演題、
さらに、施設での選考に漏れた演題のうちから数題を加え、
12月5日京都〈ゆうゆうの里〉において、全国発表会を開催します。

7施設の職員の皆さんご苦労様でした。
とくに、実行委員の皆さんに感謝します。

また、すべての施設発表会に一緒に参加した、本部A理事、T課長もお疲れさまでした。

体は疲れましたが、心は満ち足りている・・・、そんな思いです。
東京スカイツリー [2009年11月06日(Fri)]

東京と墨田区に建設中の「東京スカイツリー」どんどん伸びています。
11月1日183メートルに達したそうです。
完成時の高さは634メートルになります。

写真は業平橋駅から撮影したもので
高校の同級生Kさんから送っていただきました。

神戸〈ゆうゆうの里〉職員研究発表会 [2009年11月06日(Fri)]

7施設職員研究発表会、6番目の神戸〈ゆうゆうの里〉が終わりました。
これまでで最も多い12演題が発表され、
注文数が少なく、残飯量も多いメニューの改善に取り組み、
顕著な改善を示した、食事サービス課の発表が最優秀賞を受賞しました。
福祉の志〜綱脇龍妙師 [2009年11月05日(Thu)]

〈ゆうゆうの里〉職員研究発表会で、私はミニ講演をしています。
ミニ講演は「〈ゆうゆうの里〉のサービスをケアの原点に返って考える」と題して、
法律や制度にとらわれることなく、ニーズに基づいたサービス提供が重要であること、
そのためには、福祉の「志」が根底になければならないのではないかと訴えています。

福祉・介護に携わる人の多くは、介護保険創設後にこの仕事に加わってきた人たちです。
〈ゆうゆうの里〉では、正職員のおよそ4分の3が2000年以後に就職したもので占められ、
そのほとんどは、介護保険開始前のケア提供を経験していません。

介護は、広い意味では「世話をする」などの意味であり、狭義には「看護」「介護」を指します。
介護保険ができた後、多くの人がケアを間違った狭い意味でとらえていないだろうか?
「制度上の要介護者」への「保険給付内の介護」がケアであると、
勘違いする恐れはないのだろうか?私は危惧しています。

〈ゆうゆうの里〉は、介護保険の創設の25年近く前から、入居時に介護金を頂戴し、
ご入居者一人一人にもっとも適したケアを提供する仕組みを作ってきました。
介護保険創設後は、〈ゆうゆうの里〉が提供するケアのうち、介護保険給付に該当する対象者と内容については、保険給付「特定施設入居者生活介護」となっています。
このような仕組みですから、制度にとらわれる、制度の呪縛に陥る危険は少ないのですが、
世の中全体の傾向が、私たちの考え方に影響することはないだろうか?
常に点検する必要があるのだろうと強く思っているのです。

このような思いに立って、
法律も制度もない時代から、ケアなどの福祉課題・ニーズは社会に存在していたこと、
こうした課題に果敢に挑戦した先人の姿を多くの職員に伝えたいと考えました。
このことは、福祉の「志」を忘れないためにも大変重要であると思うのです。

ミニ講演では、綱脇龍妙師を紹介しています。
綱脇師は日蓮宗の僧侶。
「らい予防法」による国家的取り組みが始まる前に、身延(山梨)でハンセン病患者収容施設を開設し、献身した方です。

詳しくは、添付ファイルをご覧ください⇒
「志」について述べた後、最後に次のように職員によびかけ、
ミニ講演を終えています。

サービスを必要とする人の
傍らに常にいて
温かく見守り
共に歩み続けるけれど
しかし、引っ張らない

そんな
伴走者のような存在に
私達はなれるだろうか

きっと、なれる
なれるように立ち止まることなく努力しよう


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