東日本大震災で甚大な被害を受けた
岩手県大船渡市にある県立病院を訪問した。
大船渡市だけでも亡くなった方は339人を数え(H23年12月7日現在)、
物的な被害も1,077億円に達すると言われている。
この地の訪問は、7月に続いて2回目の訪問であったが、
未だに復旧から復興に移行しているとは言い難い状況であった。
夏に訪問した時は、手つかずであった瓦礫は撤去され、
車の交通量も徐々には増えつつあるものの、
9か月前の激震と津波による被害の爪痕は街が丸ごと更地になったことで、
なお一層、深刻さを増しているように映った。
年の瀬を迎えて、全国各地はクリスマスモード一色ではあるが、
この場所にこそ、サンタクロースに舞い降りてもらいたいと感じた。
私たちが訪問する病院は、
海岸線から少し山側に位置しているため、
津波による被害は免れたが、
病院関係者の話によると、この病院で働く4人に1人は
何らかの形で被災したということであった。
私たちが訪問した病院はクリニクラウンが定期訪問しているような
小児専門の医療施設ではないため、
入院している子どもの数はけっして多くなかったが、
その分じっくりと時間をかけて
ひとり一人の子どもと遊ぶことが出来たと思う。
また訪れた病棟は急性期の子どもが大半だったため、
文字通り一期一会の関わりがほとんどであったが、
子どもも家族もリラックスした表情や
輝く笑顔をたくさん見せてくれて、
病棟全体雰囲気が華やぐ機会を提供させてもらうことができたと思った。
次にこの病院を訪れるのは3月の初旬になる予定である。
おそらくその頃は震災から丸1年が経とうとしている時期であるため、
現地の人々の思いは想像以上に複雑だと推察できたが、
別れ際にスタッフの人から言われた
「次の訪問を心から楽しみにしています」という言葉を胸に秘めて、
来年またこの場所に帰ってきたいと心から感じた。