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中嶋れん(日本共産党 宮城県委員会政策委員長)のブログ
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新型コロナ対策 難しい局面にあたり 第2次提言を志位和夫委員長が発表しました。[2020年06月04日(Thu)]
医療・検査の抜本強化、くらしと営業を守り抜くために――感染抑止と経済・社会活動の再開を一体にすすめるための提言

              2020年6月4日 日本共産党

 緊急事態宣言は解除されましたが、経済・社会活動の再開は、感染抑止をしながら、段階的にすすめていかなければなりません。感染拡大を抑止するための医療と検査の体制を抜本的に強化して、安心して経済・社会活動の再開に取り組めるようにすることと、“自粛と一体の補償を”の立場で、大打撃を受けているくらしと営業を支えることを一体にすすめることを強く求めます。

1、感染流行の「第二波」に備え、医療と検査体制を抜本的に強化する

 再び緊急事態宣言という事態を避けるために、最大限の努力をすることが政治の責任です。北九州市や東京都での新規感染者の拡大に見られるように、ウイルスによる市中感染は続いており、「第二波」へのしっかりした備えが必要です。国民に「新しい生活様式」を呼びかけるだけでなく、医療・検査を抜本的に強化することが求められます。

(1)積極的な検査戦略に転換し、経済・社会活動再開のもとでの感染拡大を抑止する

 安心して経済・社会活動を再開していくうえで、感染者を早期に発見し、症状に応じた医療と隔離を行う必要があります。そのためには検査のあり方を根本から見直し、大規模に行える体制を整えることが必要です。
 日本の人口当たりPCR検査数は、諸外国に比べてけた違いの少なさです(韓国は日本の8倍、米国は14倍、欧州諸国は20〜30倍)。
 広島、岩手、愛知など18道県の知事が、感染拡大を防止しながら経済・社会活動を正常化する「緊急提言」を発表し、これまでの「受動的な検査」から「感染者の早期発見・調査・入院等による積極的感染拡大防止戦略への転換」を提言しています。「ごく軽症も含むすべての有症者やすべての接触者への速やかな検査を行う」とともに、症状の有無に関わらず医療・介護・福祉施設の従事者および入院者・入所者などに対して優先的に検査を行うことを求めています。これまでのように強い症状があらわれた有症者に限定して受動的に検査を行うのではなく、無症状者も含めて検査対象者を適切かつ大規模に拡大し、先手を打って感染拡大を防止しようというものです。そのためにPCR検査の検査能力を現在の2万件から10万〜20万件に引き上げるとしています。
 「第二波」に備え、再度の緊急事態宣言を回避するうえでも、この「緊急提言」は積極的で合理的提案だと考えます。

――発熱などの強い症状がある人だけを対象としてきた、これまでのやり方と発想を根本から転換して、受動的検査から積極的検査への戦略的転換を政府が宣言し、次の3つの柱で検査をすすめることを提言します。

@感染が疑われる人――ごく軽症を含む有症者とすべての濃厚接触者を速やかに検査する

 「症状があるのに検査を受けられない」など、多くの人が検査を受けられず苦しみ、重症化して「手遅れ」になる事例も相次ぎました。こんなことを繰り返してはなりません。
 PCR検査の対象を大規模に広げ、感染を早期に発見し、適切な治療・隔離を行えるようにします。感染が疑われる人、すなわち、ごく軽い症状であっても症状がある人とともに、症状がなくてもすべての濃厚接触者がすみやかに検査を受けられる体制にします。抗原検査もあわせて活用していきます。

A医療、介護・福祉従事者と入院患者・入所者への検査を積極的に行う
 医療機関や介護・福祉施設での集団感染が各地で発生しています。医療、介護、福祉の現場の安心と安全を確保するために、従事者と入院患者・入所者にPCR検査を積極的に実施できる体制を整えます。

B感染の広がりを把握する抗体検査を広く行う
 国による抗体検査を幅広く行い、感染の広がりを把握し、コロナ収束に向けた政策判断に生かすようにしていきます。

――日本医師会の「有識者会議」は、PCR検査が進まなかった「最大の理由」は国から「財源が全く投下されていないこと」だと指摘し、PCR検査センターの設置・維持に必要な予算を4694億円と試算しています。18道県「緊急提言」の記者会見で広島県知事は2000〜3000億円が必要としています。ところが安倍政権の第二次補正予算案ではPCR検査体制の整備は366億円にすぎません。今後、どの程度の感染が、どれくらい続くかにもよりますが、ひと桁違います。数千億円の規模で予算を確保することを求めます。

(2)医療崩壊を起こさない……医療、介護・福祉施設への財政支援を抜本的に強化する

 「医療崩壊ギリギリ」という訴えが医療現場からも、政府の専門家会議からも相次ぎました。いまの時期に「第二波」に備えた医療体制を確立しなければなりません。その大きな障害になっているのが医療機関の経営危機です。
 日本病院会など3団体の調査によれば、コロナ患者を受け入れた病院は、4月は平均1億円の赤字です。大学病院の調査でも全国の80病院で年間5000億円もの赤字になります。直接コロナ患者に対応していない病院・診療所でも大規模な受診抑制によって経営危機が深刻化しています。東京保険医協会の調査では、4月、93%の診療所が収入減を訴え、そのうち30%を超える診療所が5割以上の減収です。
 病院・診療所の経営難による「医療崩壊」を起こしてはなりません。
 二次補正予算案で、コロナ対応の医療機関に1・2兆円規模の財政支援を行うとしていますが、速やかに現場に届けねばなりません。一方、非コロナ医療機関、地域医療の経営危機に対する財政支援はまったくありません。地域の診療所が倒産・閉鎖が相次ぐようなことがあれば国民の命と健康は守れません。コロナ対応の医療機関と非コロナ医療機関は、役割分担を行って日本の医療を支えているのであり、その全体の経営を守り抜くための財政支援を行うことを強く求めます。

――医療と介護・福祉で、次の対策が十分に行えるよう、国の財政支援を強化します。
〇コロナ患者を受け入れる病院の減収・負担増に対する補償、病床の確保や宿泊療養施設の借り上げを行う。
〇地域の通常の医療を担う診療所・病院への減収補償を行う。
〇歯科診療所や、眼科、耳鼻科など専門診療科が地域で医療を継続できるようにする。
〇医療従事者への危険手当支給はじめ処遇を改善する。マスクなどの医療用防護具や医療用材料を国の責任で確保する。
〇ワクチンと治療薬の研究開発に力をそそぐ。

――介護事業所・障害者福祉事業所などの減収を補償します。コロナによる減収は介護基盤を崩壊させかねません。全国老人福祉施設協議会、日本障害者協議会など関係者は強く財政支援を求めており、これに応えます。

(3)削減されてきた保健所、地方衛生研、国立感染研の体制強化に踏み出す。感染症対策を総合的に取り組む疾病予防管理センター(日本版CDC)を構築する

 この間、エボラ出血熱、エイズ、SARS、MERS、新型コロナウイルスなど毎年のように新興感染症が発見されています。感染症への取り組みの強化は人類的な課題です。
 ところが自民党政治のもとで、医療費削減・社会保障費抑制が続けられ、わが国の保健・公衆衛生の体制は、大きく弱体化してしまいました。保健所は、この30年間で約半分に減り、職員定員は7000人も減らされました。地方衛生研究所の予算・人員も、国立感染症研究所の予算・人員も、連続的に削減されました。
 新型インフルエンザを総括した2010年の政府報告書では、「国立感染症研究所や検疫所、地方自治体の保健所や地方衛生研究所を含めた感染症対策に関わる危機管理を専門に担う組織や人員体制の大幅な強化」が提言されましたが、実際には、公務員削減を優先し、正反対のことをやってしまったのです。

――保健所の予算を増やし、人員・体制を緊急に補強するとともに、定員増に踏み出します。

――地方衛生研究所、国立感染症研究所の予算・体制を抜本的に拡充します。地方衛生研究所の法的位置づけを明確にし、設置基準をつくります。

――感染症発生に対応する専門的機関として疾病管理予防センター(日本版CDC)を構築します。

2、新しい自粛要請と一体の補償を――急いで必要な支援を現場に届ける

 “自粛と一体の補償を”という、大きな国民の声が政治を動かし、一律10万円給付、雇用調整助成金の上限額引上げ、家賃支援などで、一連の前進がかちとられましたが、なお改善すべき問題点が残されています。最大の問題は、支援が現場に届くのが決定的に遅く、失業や倒産・廃業が増え続けていることです。
 政府の「新しい生活様式」のよびかけとは「新しい自粛要請」にほかなりません。大きなダメージを受けている中小企業、個人事業主、フリーランスで働く人たちに、新しい自粛要請による“経営難”が加わります。緊急事態宣言の解除や休業要請の「解除・緩和」を理由に、必要な支援を一回限りにしたり、打ち切ることは許されません。

(1)雇用調整助成金、持続化給付金、家賃支援など、必要な支援を迅速かつ確実に届ける

 緊急事態宣言による「休業・自粛要請」に応えた事業者への助成や給付が、2カ月に及ぶ緊急事態宣言が解除された段階になっても、多くの人に届いていません。
 雇用調整助成金の相談件数は50万件ですが、助成金が支給されたのは5万件です。休業者は600万人に上りますが、助成金が支給されたのは、数十万人程度にすぎないと推定されます。このままでは大量の失業者が生まれてしまいます。すでに非正規雇用は100万人近く減少しており、「6月危機」と言われるなど大規模な解雇・雇止めや、中小・小規模事業者の倒産・廃業が広がろうとしています。雇用を守る支援が迅速に支給されるかどうかが、問われています。 
 持続化給付金は、150万件の申請に対して支給は100万件です。しかし、支給まで3週間以上かかった例や「書類不備」を理由に保留になっているものが多数あります。しかも、支給事業が電通やパソナが設立した「幽霊団体」に委託されるという重大な疑惑も持ち上がっています。
 「固定費の補償を」という声に押されて家賃補助制度がつくられましたが、対象は、5月以降、「一カ月で5割売上減」か「連続した3カ月で売上3割減」です。3月以来のコロナ危機で苦しんできた多くの事業者を切り捨てる不十分なものです。しかも支給開始は早くても7〜8月とされています。

――雇用調整助成金は、大量失業の危機を防止するために、申請手続きを思い切って簡素なものとし、「事前審査」から「事後チェック」に切り替える緊急の抜本的措置をとります。「コロナ特例」(上限を月額33万円、中小企業への助成を10分の10にするなど)は、危機が収束するまで継続します。

――労働者が休業補償を国に直接請求できる制度は、緊急措置として、速やかに支給できるようにします。雇用保険未加入の登録型派遣やフリーランスで働く人たちに休業補償が確実に行われるようにします。

――持続化給付金の支給遅れをただちに改善します。申請を簡易にし、窓口での相談体制を強化します。一回限りにせず、新しい自粛要請と一体で持続化給付金を持続化します。「雑所得」などを理由にフリーランスを除外した支給要件はようやく改善されましたが遅れに遅れており速やかな支給が必要です。

――家賃補助は、「5月以降」ではなく、「3月以降1カ月でも売り上げが3割減少」した事業者を対象にします。

――農林漁業者への持続化給付金や経営安定交付金の拡充など、事業継続を支援します。

――文化、芸能、スポーツ、イベントへの補償を行います。政府は500億円規模の支援をやっと決めましたが、自粛要請による3300億円の損失からみれば不十分です。関係者の要望に応え、国が数千億円規模の拠出をして文化芸術復興基金を創設します。

(2)子どもと教育、学生など、必要な支援が届かない分野をなくす

 第二次補正予算案でも、支援対象から外されたり、対象が狭いなど、必要な支援が届かない分野がすくなくありません。

@子どもと教育の支援――10万人の教員加配など、教職員・スタッフの配置に1兆円規模の予算を確保する

 長期の休校による、学習の遅れと格差の拡大、心身のストレスは大きな問題です。手厚く柔軟な教育と感染症対策をすすめるうえで、教職員を思い切って増やして、20人程度の授業ができるようにします。
 政府が第二次補正予算案にもりこんだ教員加配は、わずか3100人、全国の小中学校10校で1人しか増えません。いま求められている規模にてらしてあまりに少なすぎます。小中高校に教員の10万人の増員と、養護教員をはじめ教職員・学習指導員などの十数万人の増員をはかります。そのために1兆円規模の予算を確保します。

A学生の1割にしか届かない支援を改め、学費半減など経済的支援を抜本的に強化する

 「5人に1人の学生が退学を検討」という調査もあるように、コロナ危機による学生生活の危機は深刻です。ところが、政府の「学生支援給付金」の対象はわずか43万人です。学生が要求している学費半減など、まともな経済的支援を行います。留学生だけの「成績優秀」という条件をなくします。

B保育・学童をはじめ子どもに関わる施設への職員加配と処遇改善などをすすめる

 保育・学童保育、放課後デイ、幼稚園、児童養護施設、乳児院など、子どもに関わる施設は「三密」を避けることが困難です。感染対策をすすめながら、子どもたちの心身とケアの成長を支えるためには職員の加配が必要です。緊急事態宣言中も、政府の要請で、開所を続け、社会生活基盤を支える役割を果たしてきた保育・学童保育の職員に、ふさわしい処遇の改善を国と自治体の責任で行います。中止・延期となっていた乳幼児健診の遅れを早急に取り戻す手立てをとります。

C生活困窮者への緊急支援を強化する

 ひとり親家庭への支援、雇用保険未加入などで失業給付などから除外されている人への支援と給付金、ネットカフェ難民などへの住まいの確保、外国人労働者への支援など、生活困窮者を緊急に支援ができるように、国と自治体の連携を強め、地方創成臨時交付金を生活困窮者支援に活用します。生活保護をすみやかに利用できるようにします。緊急小口融資の返済猶予・免除を拡充します。児童虐待やDVへの相談体制を強化し、被害者の生活支援を行います。

D大企業への支援は、雇用と下請・関連企業への社会的責任を果たさせるために

 大企業であっても倒産を回避するための支援が必要になることは否定できません。その支援は、雇用と下請・関連企業への社会的責任を果たすことを目的にしなければなりません。これまでの自民党政治のように、大企業への支援=公的資金投入と引き換えに、労働者のリストラ=雇用破壊を条件とするようなことは、絶対にやってはなりません。

(3)消費税を5%に減税する。緊急に免税事業者を拡大する

 消費税減税は、コロナ危機で痛めつけられている家計を助け、低所得者や小規模な事業者への大きな支援となります。

――消費税を5%に減税します。

――小規模な事業者の支援策として、免税事業者の売上基準を年間1000万円から3000万円に戻します。

3、財源――当面は、国債で手当てし、償還財源は応能負担原則で

 コロナ対策には、数十兆円規模の巨額の財源が必要となりますが、多くが一時的な支出であり、東日本大震災の復興などと同様に、当面の財源手当ては国債発行で行います。一般の国債とは区別し、特別会計をつくり、数十年のスパンで返済していく仕組みにします。返済財源は、消費税増税ではなく、所得税や法人税などに一定の上乗せを行うなど応能負担の原則を貫きます。
 大型開発や米国製高額兵器購入(F35やイージスアショアなど)、辺野古新基地建設など、文字通りの不要不急の予算を見直し、コロナ対策にまわします。

≪国民の声が政治を動かしている――コロナ危機打開へ 力をあわせよう≫

 政府が「できない」と言ってきたことを、国民の世論と国会での論戦の力で、次々に実現してきました。10万円の給付、雇用調整助成金の休業補償額と助成率の引き上げなどが実現し、家賃補助や困窮する学生への支援も不十分ながらも踏み出させました。
 「自粛と補償は一体で」という声は大きく広がり、多種多様な業種の事業者、ミュージシャンや劇団員をはじめ文化・芸能関係者、フリーランスなど、幅広い人たちが声を上げ、立ち上がりました。医療関係者は声をそろえて、政府の医療への財政措置があまりにも小さいことへの大幅な改善を求めました。若者も声を上げ、学費軽減をはじめ学生への支援を求める署名活動は200を超える大学に広がりました。
 国民の声が政治を大きく動かしています。コロナ危機のもとで、日本経済は戦後最悪という危機に直面し、国民のくらしと雇用は大きく脅かされています。これを打開するために、さらに政治を大きく動かし、くらしと営業を守る国民の世論と運動を起こしていこうではありませんか。日本共産党は、そのために奮闘する決意です。
女川原発の再稼働中止!−新しいチラシで署名を訴えました。[2020年06月03日(Wed)]
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志位和夫委員長が「学校再開にあたっての日本共産党の緊急提言」を発表。[2020年06月02日(Tue)]
 日本共産党の志位和夫委員長が「学校再開にあたっての日本共産党の緊急提言」を記者会見で発表しました。本日午前、穀田恵二・国対委員長が自民党の森山国対委員長に「提言」を手渡し、政府に伝えるよう要請しました。記者会見の動画が公開されています。

学校再開にあたっての日本共産党の緊急提言
            2020年6月2日 日本共産党

 緊急事態宣言が解除され、6月1日から全国の学校が3ヵ月ぶりに再開しました。長期の休校による子どもの学習の遅れと格差の拡大、不安とストレスはたいへんに深刻です。新型コロナ感染から子どもと教職員の健康と命をいかにして守っていくかは、重要な課題です。こうした問題を解決するための緊急の提言を行うものです。

学習の遅れと格差の拡大、心身のストレスは、手厚い教育、柔軟な教育を求めている

■学習の遅れと格差の拡大
 学年の締めくくりと新たな学年のスタートの時期の3ヵ月もの休校は、子どもにはかりしれない影響をあたえています。
 何より長期に授業がなかったことは、子どもの学習に相当の遅れと格差をもたらしました。学校は課題プリントの配布などで家庭学習を促すなど、さまざまな努力を行いましたが、まだ習っていない基本的な知識を、いろいろなやりとりのある授業なしで理解させるのは無理があります。保護者から「とても教えられない」と悲鳴があがったことは当然です。ネット教材に取り組んだ子どももいれば、勉強が手につかなかった子どももいます。長期の休校は、学力の格差を広げた点でも深刻です。
■かつてない不安とストレス
 子どもたちは、かつてないような不安やストレスをためこんでいます。国立成育医療研究センターの「コロナ☓こどもアンケート」では、76%の子どもが「困りごと」として「お友だちに会えない」ことをあげ、「学校に行けない」(64%)、「外で遊べない」(51%)、「勉強が心配」(50%)と続いています。各種のアンケート調査には「イライラする」「夜眠れなくなった」「何もやる気がしない」「死にたい」などの子どもの痛切な声が記されています。また、コロナ禍による家庭の困窮は子どもにも様々な影響を与え、家庭内のストレスの高まりは児童虐待の増加などをもたらしています。
■子ども一人ひとりを大切にする手厚い教育が必要
 こうした子どもを受け止める手厚い教育が必要です。
 かつてない学習の遅れと格差に対しては、子ども一人ひとりに丁寧に教えることが欠かせません。学習が遅れた子どもへの個別の手立ても必要です。
 子どもの本音を受け止め、かかえた不安やストレスに共感しながら、心身のケアを進めていくには、手間と時間が必要です。休校の中で特別な困難をかかえた子どもには、より立ち入った心理的、あるいは福祉的な面も含めた支援も求められます。
 子どもたちの心身のケアをしっかりおこなうことは、学びを進めるうえでの前提になります。東日本大震災で深刻な被害にあった地域の学校は、子どもと教職員がつらい体験や思いを語り合うことで、学校生活がスタートできたといいます。新型コロナ危機という歴史的経験を語り考えることは、子どもたちの新たな出発点となるでしょう。
■子どもの実態から出発する柔軟な教育の必要性
 例年通りの授業をしようと、土曜授業、夏休みや学校行事の大幅削減、七時間授業などで授業をつめこむやり方では、子どもたちに新たなストレスをもたらし、子どもの成長を歪め、学力格差をさらに広げることにもなりかねません。
 子どもたちをゆったり受けとめながら、学びとともに、人間関係の形成、遊びや休息をバランスよく保障する、柔軟な教育が必要です。そうした柔軟な教育は、子どもを直接知っている学校現場の創意工夫を保障してこそ、実施することができます。
 いま教員たちの間で、「まずは子どもを温かく迎えよう」「子どもに必要な行事も大切にしたい」「コロナ問題を教材にしたい」など多くの積極的なとりくみが生まれています。たとえばその中の「学習内容の精選」は重要な提案です。「学習内容の精選」とは、その学年での核となる学習事項を見定めて深く教え、それ以外は教科横断で学んだり、次年度以降に効率的に学ぶようにする方法です。そうしてこそ子どもに力がつき、逆に教科書全てを駆け足で消化するやり方では子どもは伸びないと多くの教員が指摘しています。こうした柔軟な教育が求められています。

学校の新型コロナウイルス感染症対策が、重大な矛盾に直面している

■「身体的距離の確保」と矛盾する「40人学級」
 子どもの集う学校で万全の感染症対策をおこなう重要性は言うまでもありません。その学校で、感染防止の三つの基本(@身体的距離の確保Aマスクの着用B手洗い)の一つである「身体的距離の確保」ができないという重大な問題に直面しています。
 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は、「新しい生活様式」として、「身体的距離の確保」を呼びかけ、「人との間隔はできるだけ2メートル(最低1メートル)空けること」を基本としています。しかし「40人学級」では、2メートル空けることはおろか、1メートル空けることも不可能で、「身体的距離の確保」と大きく矛盾しています。
■「20人授業」が維持できず「40人学級」に戻ることへの不安
 再開後の学校では20人程度の授業とするため、学級を2グループに分けるなどの「分散登校」に取り組んでいます。ところが、この措置はほとんどの学校で途中で終了し、5月25日まで緊急事態宣言が続いていた8都道府県でも大半の学校が6月15日から「40人学級」に戻る予定です。他ではすでに「40人学級」に戻っている学校もあります。学級を分けて20人程度の授業を続けるには、現在の教員数ではあまりに足りないため、各自治体は「40人学級」に戻らざるをえないのです。
 「コロナ×子どもアンケート」の「子どもたちが相談したいこと」の1位は「コロナにかからない方法」です。「40人学級」に教職員も子どもも保護者も不安の声を上げています。「身体的距離の確保」を「新しい生活様式」の重要な一つとして社会全体で取り組んでいる時に、教室を例外とすることは重大な問題です。
■消毒や清掃などの新たな負担
 さらに学校は感染症対策として、毎日の消毒、清掃、健康チェックなど今までにない多くの業務が生じています。次の感染拡大の波に備え、教員と各家庭とのオンラインの整備をすすめることも必要です。もともと異常な長時間労働で働いている教員にそれらの負担を課せば、教育活動への注力ができなくなり、その解決が求められています。

教員10万人増などの教育条件の抜本的整備、学習指導要領の弾力化を求める

 以上の問題を解決するため、次の二つの政策の実施を強く求めます。

(1) 教員10万人増などの教育条件の抜本的整備

■20人程度の授業とするための教員10万人増
 子どもへの手厚く柔軟な教育のためにも、感染症対策のためにも、学校の教職員やスタッフを思い切って増やし、20人程度の授業などができるようにすべきです。
 政府も第二次補正予算案で教員増を盛り込みましたが、その規模は3100名とあまりに小さく、しかも高校は除外されています。3100名では、全国の小中学校の10校に1人しか教員が配置されず、焼け石に水です。
 日本教育学会は潜在的な人材のプールを踏まえ、平均1校当たり小学校3人、中学校3人、高校2人の教員を加配する10万人の教員増を提案しています(「9月入学よりも、いま本当に必要な取り組みを―より質の高い教育を目指す改革へ―」5月22日)。

 こうしたことを踏まえ、以下の条件整備を緊急にすすめることを求めます。
――小中高の教員を10万人増員し、後述の学習支援員とあわせて、20人程度の授業をできるようにします。そのため継続的雇用など処遇を手厚くするとともに、多くの教職経験者から教員免許を奪っている教員免許更新制を凍結します。教室の確保のため、プレハブ建設や公共施設の利用をすすめます。私立学校にも私学助成を増額し、同様の措置をとります。
――養護教諭をはじめとする教職員を増やします。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、学習や清掃・消毒・オンライン整備などのための支援員を第二次補正予算案の8万人余から十数万人に増員します。感染症対策の備品と設備は政府が責任をもって保障するようにします。
――特別支援学校は、もともと設置基準がないもとで深刻な「密」となっています。プレハブ建設などによる場所の確保と教職員などの増員を早急に行います。
■10万人の増員を少人数学級への移行のステップに
 10万人の教員増は、日本の学校が少人数学級に移行するうえでのしっかりした土台となります。現在の困難を乗り越えたあと、子どもたちに少人数学級をプレゼントしようではありませんか。

(2)子どもの実態に応じた柔軟な教育のために、学習指導要領の弾力化を

 子どもの実態に応じた柔軟な教育活動のためには、学習指導要領などによる管理統制を弾力化し、現場の創意工夫を引き出すことが不可欠です。
 この間の政府の通知の中に、「児童生徒の負担が過重とならないように配慮する」「学習指導要領において指導する学年が規定されている内容を含め、次学年又は次々学年に移して教育課程を編成する」「学習活動の重点化」など、学習指導要領の弾力化につながる要素があることは一定評価できます。しかし、国の通知には夏休み削減や土曜授業を求めるなどの問題点もあります。
 学習の遅れと格差、大きな不安とストレスという子どもの実態から出発した、学校現場の創意工夫と自主性を保障する、学習指導要領の弾力化にふみこむよう求めます。
 憲法の精神は、教育の本質から、教員の一定の自主性を認め、教育内容への国家的介入の抑制を求めています(最高裁学力テスト判決)。ここから、学習指導要領でも教育課程の編成権は個々の学校にあることが明記されました。行政に忖度せず、目の前の子どもたちのために何がいいか話し合って決めていく学校現場を育てることは、現在の厳しい状況を打開するだけでなく、未来の希望ある学校をつくるために大きな力となります。

■「学校9月入学」を断念し、子どもたちの学び、心身のケア、安全の保障のために全力を集中することを求める

 安倍首相が検討を指示した「学校9月入学」は、検討すればするほど、多くの社会制度変更が必要となり、国民各層に多大な負担がかかることが明らかになっています。政府は「学校9月入学」を一刻も早く断念し、子どもたちの学び、心身のケア、安全の保障のために全力を集中することを求めます。

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厚生労働省が「新型コロナウイルス感染症に関するPCR等の検査体制の強化に向けた指針」を発出した。国に6月19日までに報告するよう求めている。この具体化が、今後の感染拡大防止のカギを握る。注目していこう![2020年06月02日(Tue)]
 厚生労働省がきょう6月2日、「新型コロナウイルス感染症に関するPCR等の検査体制の強化に向けた指針」を発出した。

 将来の検査需要の見通し(一日当たり最大で何件になるか) をハッキリさせて、PCR検査センターを設置することを打ち出し、PCR検査センター毎の人員体制、稼働体制(時間・レーン当たりの対応数、レ ーン数、開設時間、曜日)、ピーク時における検体採取対応力(件/日)、休日の対応、必要な人員の確保・研修、個人防護具等の必要な物資の確保などを具体的に求めている。
 従前は、感染リスクがあることから、検体採取対応力が課題だったが、きょう唾液によるPCR検査を可能とする通達が出された。そこで、1日当たりの検体採取対応力の現状はいくらか、これを最大(ピーク時)で一日当たり何件にするのか、自治体に報告を求めている。そして、これを可能にするために、検体採取機関毎の人員体制、稼働体制(レーン数、開設時間、曜日)、ピーク時における検体採取対応力(件/日)、休日の対応、必要な人員の確保・研修、個人防護具等の必要な物資の確保などを求めている。

 今後、濃厚接触者の検査など、クラスター対策をさらに強化していく方針が示されている。そこで事務連絡では、「保健所から施設や自宅等に赴いて検査を行う場合も増加することが想定されるため、そのための体制をあらかじめ確保しておく必要がある」としている。
  また、「要介護者や医療的ケア児等の自宅に赴いて検査を行うことも考えられることから、併せて必要な体制を確保する必要がある」としている。
 クラスター対策等における体制 を点検項目にするよう求めている。村井知事は、宮城県の保健所の統廃合計画を中止すべきですね。

 各都道府県等に対して、「6月中旬までに点検を行い、検査体制の強化のために必要な対策を策定し、実施していただきたい」、「6月19日までに国に報告をいただきたい」と、要請している。

検査体制の強化に向けた指針.jpg
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