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中嶋れん(日本共産党 宮城県委員会政策委員長)のブログ
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女川原発の緊急時対応(避難計画)−屋内退避を原則にする大改悪「避難させない避難計画」、住民を放射能から守らない「避難計画のリアル」を記者会見で明るみに出しました。[2020年07月08日(Wed)]
 公開質問書に対して、政府と宮城県が回答不能に陥っていることに関する見解
 避難計画に実行できる裏付けがないこと、避難計画の改善にも期待できないことが明らかになった
              2020年7月8日(火)
 
 安倍総理と宮城県副知事が出席して開催された6月22日の原子力防災会議が、女川原発重大事故時の避難計画を含む緊急時対応を了承しました。政府も宮城県も、この緊急時対応の方針は「具体的かつ合理的」なものだと主張していますが、重大な疑問があります。そこで6月23日、宮城県内の住民運動25団体が連名で公開質問書を内閣府と宮城県に提出しました。
 これに対する宮城県からの文書が7月1日付で、内閣府からの文書は7月2日付で送付されてきました。驚いたことに、内閣府からの文書には10行の文が書かれていましたが、質問した事項に対する回答はなく、宮城県の村井知事名による文書は「係争中につき、回答を差し控えさせていただきます」と、そもそも回答を拒否するものでした。

内閣府の無回答は、緊急時対応(避難計画)に裏付けがないことを自白したもの

 内閣府に対する質問は、住民の放射能汚染を検査する退域時検査所を設置するまでに数日を要することにより発生する交通渋滞への対応、避難所の駐車場不足への対応、病院入院患者と社会福祉施設入居者の避難車両と付添人の確保、住民が避難するためのバス等の輸送能力の確保、自然災害により避難先施設が使用できなくなった場合の対応などについて、その裏付けがあるかどうかを端的に尋ねたものです。
 どの項目に対しても、「裏付けはある」と一言で回答できる質問でした。ところが内閣府の文書は、どの項目に対する回答もありませんでした。県も、裏付けに関わるすべての質問から逃げました。
 緊急時対応に、計画どおりに実行できる裏付けはないと断じざるをえません。

 内閣府の回答文書に、以下のようなくだりがあります。
 「地域原子力防災協議会において、避難計画を含むその地域の『緊急時対応』が、原子力災害対策指針等に照らし、具体的かつ合理的なものであることを確認している。内閣府は、原子力防災会議の了承を求めるため、同協議会における確認結果を原子力防災会議に報告している」
 緊急時対応は、地域原子力防災協議会で策定され、原子力防災会議幹事会を経て、首相及び関係閣僚が参加する「原子力防災会議」に報告されます。避難計画の、いわゆる「実効性」を検討するとしたらこの段階であるはずですが、幹事会以降は内容に関する議論はなく、「指針に沿った事項が列挙されているとの報告を地域原子力防災協議会から受けたので、具体的かつ合理的であると確認した」とする形式が踏まれるだけです。地域原子力防災協議会では、現実に実行可能かどうかという点に関しては「具体的かつ合理的」な検討はまったくなされていません。
 原発の再稼働にあたっては、原子力防災会議による避難計画を含む緊急時対応の確認が不可欠ですが、実効性をチェックしないで確認が行われていることを厳しく指摘するものです。

阻害要因調査結果を活用しなかった宮城県に、避難計画の「改善」を期待できるでしょうか

 宮城県に対する質問では、計画どおりに県民が行動したらかえって命を落とすことになるのではないかと危惧して、計画どおりの行動が可能なのかどうか、緊急時対応に関する疑問の26項目に対して具体的な説明を求めました。
 例えば。県が行った避難経路阻害要因調査で、道路が渋滞した場合に女川原発周辺住民が避難所受付ステーションに到着するまで最大で5日、対策を講じても3日かかるという結果が示されました。その数日間、車両の運転手はどこで眠るのか、トイレはどうするのか、水や食料は提供してもらえるかなどを質問しましたが、回答はありませんでした。
 阻害要因調査結果は避難計画の根幹に関わる重大な情報ですが、宮城県は女川地域原子力防災協議会に報告すらせず、欠陥のある緊急時対応を政府と一緒に了承してしまいました。
 宮城県は緊急時対応について、「訓練による検証、検証結果を踏まえた改善」を進めると繰り返していますが、発言が真実かどうかは実際の行動で確かめられるものです。4888万円余の血税を投入して行った避難経路阻害要因調査の結果を生かすとしたら、緊急時対応を了承する前しかありませんでした。その決定的な時期に行動しなかった村井県政に、今後の緊急時対応の改善を期待できるでしょうか。

 新潟県は、原発事故に関わる3つの検証委員会をつくり、検証が終わるまでは事前了解の申し入れに回答しないという態度をとっています。「原子力災害時の避難方法に関する検証委員会」は、重大事故時の放射能モニタリングと住民に対する情報伝達に不備があるのではないかと政府に問題提起しています。
 県民の命と安全を守る姿勢において、そもそも新潟県と村井県政とでは大きな違いがあることを指摘するものです。

回答不能の背景に、住民の安全より再稼働優先、「避難させない避難計画」への変質がある

 1964年に定められた最初の原発の安全基準=原子炉立地審査指針は、原発の敷地境界で250mSvという住民の被ばく限度を設けていました。福島第一原発事故で放出された放射能による汚染は、10kim地点で1000mSvを超えました。原発で事故は起きないという「安全神話」を信じこんで、住宅地の近くに原発をつくってしまったからです。福島第一原発事故を教訓にするのであれば、立地審査指針の境界基準に適合しない原発を廃炉にするべきでした。
 ところが原子力規制委員会は、原子炉立地審査指針を「今後は適用しない」と決めました。これは原子炉立地審査指針を残すと、既存原発の再稼働の障害になるからで、放射能から住民を防護することよりも既存原発に再稼働の道を残すことを優先させたのです。

 一般公衆に対する放射線の被ばく許容限度は年間1mSvとされています(国際放射線防護委員会の勧告)。これを原発事故時の避難の目安にしたら、既存原発の再稼働は困難です。
 そこで原子力規制委員会は、避難等の防護措置の目安として「全身(等価線量)について7日で100mSv」という、はるかに緩い基準をもちこみました。「7日間で100mSv」が、住民の生命・身体に悪影響を及ぼさないという根拠は示されておらず、「緊急時には原発周辺の住民は被ばくしてもえやむをえない」という考え方を押し付けるものになっています。

 原発周辺の自治体に義務付けられている地域防災計画原子力災害対策編は、原子力規制庁の原子力災害対策指針に基づいて策定することになっています。この指針は、2012年10月に定められてから15回も改定され、改定のたびに内容が後退しています。
 とくに2015年4月の改定で、UPZ住民は「屋内退避」が原則とされ、避難計画は「避難させない避難計画」に変質させられました。

 こうしてできあがった各地の緊急時対応(避難計画)は、放射能による被ばくから住民を守ることができない致命的な欠陥をかかえています。実効性がなく、計画どおりに行動したら、かえって命を失いかねない危険さえあります。避難計画が、具体的な問題になればなるほど合理的な説明ができないことは、いかに実効性がないかを雄弁に物語っています。

女川原発の再稼働中止、原発推進政策の転換を要求する
 
 原子力規制委員会は、「新規制基準に合格しても、安全とは申し上げない」(田中俊一・初代委員長)と、繰り返しています。避難計画に実効性がなく、「緊急時には原発周辺の住民は被ばくしてもえやむをえない」という考え方が持ち込まれているのは重大な問題です。
 原発の再稼働を中止することこそ、命と安全を守る最も確かな道です。
 安倍政権に対して、原発政策の転換を求めるものです。
村井知事に対して、県民の命と安全を守る立場から、これまでの対応を見直すよう、強く求めるものです。

以上

・女川原発の再稼働を許さない!みやぎアクション
・宮城県護憲平和センター
・原発問題住民運動宮城県連絡センター
・東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター
・生活協同組合あいコープみやぎ
・子どもたちを放射能汚染から守り、原発から自然エネルギーへの転換をめざす女性ネットワークみやぎ
・船形山のブナを守る会
・女川から未来を考える会
・止めようプルサーマル!止めよう核燃料サイクル!女川原発地元連絡会
・女川原発の再稼働を許さない石巻地域の会
・原発の危険から住民の生命と財産を守る会
・放射能から子どもたちを守る栗原ネットワーク
・みやぎ脱原発・風の会
・脱原発仙台市民会議
・さようなら原発いしのまき実行委員会
・みやぎ金曜デモの会
・大崎耕土を放射能汚染させない連絡会
・放射能から子どもを守る ふるかわ連絡会
・放射能から岩沼を守る会
・女川原発UPZ住民の会
・女川原発の再稼働に反対する東松島市民の会
・原発問題を考える登米市民の会
・女川原発再稼働に反対する会(涌谷)
・女川原発再稼働ストップの会(美里)
・南三陸原発を考える会

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