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中嶋れん(日本共産党 前宮城県議会議員)のブログ
日本共産党宮城県委員会政策委員長。
シエルの会(自閉症児の親の会)会長。
原発問題住民運動宮城県連絡センター 世話人。
東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター事務局次長。
青森県むつ市大畑町生まれ。青森高校、東北大学理学部物理学科卒。
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国際リニアコライダーの誘致を日本学術会議が「支持しない」と回答した後の「政治決着で推進する」「別枠で予算措置すべきだ」という議論は「禁じ手」ですーILC推進の研究機関も「別枠予算」論は「ありえない」としています。[2018年12月24日(Mon)]
 国際リニアコライダー計画に関する意見を求められていた日本学術会議が12月19日、回答「国際リニアコライダ―計画の見直しに関する所見」を文部科学省に提出しました。
●回答のダウンロードはこちらから右矢印1日本学術会議のサイト

 そこで、ILCを「学術の大型研究計画に関するマスタープラン」とは別枠で予算措置すべきだという、新たなILC推論論が持ち上がっています。これをどう見たらいいのでしょうか。

 この新たな議論を見るうえで、まず日本学術会議の「回答」をよく見てみました。12月19日の回答は、11月14日、11月21日に検討会が示していた「所見」(案)を、いろいろな個所で加筆・修正しています。両者を比較すると、ILC誘致活動に対する日本学術会議の厳しい批判が浮かび上がってきます。
●比較しやすい資料のダウンロードはこちら右矢印1181224 日本学術会議の回答ー所見(案)の、どこがどのように変ったか<比較>.doc

 回答の中に、「今回、学術会議における公開審議やその報道等を契機として、推進者及び設置候補地の自治体から地域住民への説明の機会が持たれるようになったことは望ましい動きである」というくだりがあります。
 事情を知っている人々は、痛烈な皮肉が込められていることが、瞬時にわかると思います。これまでの誘致推進論は、地元の負担、さまざまなリスクにはだんまりを決め込んできたからです。
 一関市が、批判されたあと、ILCに関する「Q&A」を9月に訂正したことは、一面的なプロパガンダをしていたことを自ら認めたものだと言っていいと思います。

 ILCを誘致しようとするあまり、「研究者の村ができる」という趣旨の宣伝が続けられてきました。
 回答に、「ILC建設地に海外から多くの研究者とその家族が定住して国際科学都市が実現するというシナリオが描かれているようである。ILCの建設期間にはそれなりの作業人員が地域に常駐することが想定されるものの、稼働段階に入れば現地に必ず常駐するのは加速器の運転保守に携わる人員などが主となることが想定される。現在は情報通信ネットワークが発達し、リモートでもデータ解析ができることから、ILC研究所では建設終了後に常駐人口が減少していく可能性があるとされている」という箇所があります。

 ILCが建設されることによる経済効果が、主に岩手県内で宣伝されてきました。
 回答は「「ILC予算が純増で措置される」という前提に立って、2兆数千億円という数字が出されている。ILC計画の実施に必要と想定される国家予算がILCに投入された場合と他の事業に振り向けられた場合との比較で論ずるならば、経済波及効果の議論はまた別のものになるとも考えられる。その他にも、日本の予算で製作される物品をすべて国内メーカーが受注すると想定している点や、2次的波及効果の増強因子としてCERNの場合の係数3.0をそのまま用いている点など、議論の余地のある算定になっている」と、指摘しています。

 重要で多額の予算を要する科学技術研究は、学術の分野に関わる人々の合意にもとづいて、「学術の大型研究計画に関するマスタープラン」のもとで推進されています。
 日本学術会議が、ILC誘致を「支持しない」と回答した後、「別枠の予算措置とする」「政治決着でILCを推進する」という議論が持ち上がっています。
 日本学術会議の回答は、「ILC計画全体(準備期間、建設期間、運転・実験期間、廃止措置等)に必要な経費を『別枠の予算として措置する』ということの具体論は今後とのことであるが、国家予算である以上、最終的には国民の税金が原資となることに変わりはない。仮にも『別枠予算』という位置づけが、より広い学術コミュニティにおける多角的な検討の機会をバイパスするようなことがないよう、配慮が必要であり、この点は推進者も認識を一にしているところである」と、述べています。
 注目されるのは「この点は推進者も認識を一にしているところである」という箇所で、11月段階の所見(案)にはありません。12月の回答で新たに付け加えられたものです。

 11月段階の「所見」(案)では、「なお、ILC計画への予算投入が他の科学技術・学術分野に影響を及ぼさないように、『別枠の予算措置とする』との議論があると聞いている。ILC計画全体(準備期間、建設期間、運転・実験期間、廃止措置等)に必要な経費を『別枠の予算として措置する』ということが具体的にどういうことを意味するのかは不明であるが、国家予算である以上、最終的には国民の税金が原資となることに変わりはない。仮にも『別枠予算』という位置づけが、学術コミュニティにおける批判的検討の機会をバイパスするようなことにつながるとすれば、日本の学術全体にとって、そしてILC計画自体にとっても不幸なことである」と、なっていました。
 「学術コミュニティにおける批判的検討の機会をバイパスするようなことにつながるとすれば、日本の学術全体にとって、そしてILC計画自体にとっても不幸なことである」という箇所が削除され、「この点は推進者も認識を一にしているところである」という記述が加わりました。
 では「推進者」とは、誰でしょうか。ILC計画を推進する立場から発言を続けているKEK(高エネルギー加速器研究所)のILC準備室です。KEK ILC推進室は、「予算が別枠でであるか否かにかかわらず、学術界の批判的検討をバイパスすることはありえない」とし、だから「ここであえて検討の機会をバイパスすることの不幸について言及する必要はない」という意見を提出していました。これは注目に値します。

 回答は、「建設開始から実験完遂まで30年間という長期間にわたって上記のような巨額の経費の投入を必要とするILC計画は、一国の経済では支えることのできないものであることは明白である。適正な国際経費分担の見通しなしに日本が誘致の決定に踏み切ることはな」い、という点でも、KEKが認識を共通にしていることを指摘しています。
 回答は、「大型計画について学術会議として更に検討するとすれば、マスタープランの枠組みで行うのが適切であろう」という考え方についても、認識を共有しているとしています。

 以上の点を考慮に入れれば、「政治決着でILCを推進する」という議論は、「禁じ手」でしかないことが浮かび上がってきます。

ilc.jpg

 
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