旧優生保護法下での人権侵害、これからの復興のあり方と被災者の生活再建支援、教職員の働き方改革、特別支援教育の充実、女川原発の再稼働中止を取り上げた代表質問の全文を紹介します[2018年02月23日(Fri)]
開会中の第363回宮城県議会の本会議で2月23日、日本共産党宮城県会議員団を代表して、初めての代表質問を行いました。
宮城県議会の代表質問は、予算審査のある2月定例会と決算審査のある9月定例会に、5人以上の会派が行うことができます。日本共産党の代表質問は、8議席になった後の2016年2月に遠藤いく子議員が初めて行い、そのあと三浦一敏、天下みゆき、福島かずえの各議員が担当し、私は5人目になります。
第1回目の発言の大要は以下のとおりです。
日本共産党の中嶋廉です。代表質問をいたします。
大綱1、旧優生保護法のもとでの人権侵害について
旧優生保護法のもとで不妊手術を強要された人が全国で初めて仙台地裁に国を相手どって損害賠償を起こしました。
本定例会開会日の二月十五日、当事者と関係者が意見書の提出等を求めて宮城県議会を訪れましたが、当事者の方々のお話は、涙なしには聞けないものでした。
宮城県議会で昭和三十七年十月、複数の議員が強制不妊手術について発言しており、当議会がこれを推進していた事実は、重く受けとめなければならないと思いました。
知事に伺います。当時は法にもとづくこととされていたとはいえ、宮城県政が進めた強制不妊手術は深刻な人権侵害であり、いまの到達点に立って自らの誤りをえぐり出してこそ、初めて責任を果たしたと言えるのではないでしょうか。県は、情報の開示、被害者の救済につながる対応を始めていますが、国による補償の実現、相談窓口の設置など、当事者の方々からの要望に真摯に対応することはもとより、県に調査委員会を設けて関係資料の照会や収集にあたり、なぜ全国2位の約一千四百件もの不妊手術が本県で行われたのか、その原因と経過の全容を可能な限り明らかにする必要があると思います。当事者・関係者のみなさまへの謝罪も必要だと思いますが、お答えください。
大綱2、これからの復興と被災者の生活支援、水産特区について
さて、村井知事は新年度予算を今後3年間の復興「完成期」に向かう「ジャンプアップ予算」と銘打ちましたが、被災者・県民の生活が本当にジャンプアップする予算なのか、冷静な検証が必要です。
今年は、村井県政が「富県戦略」を掲げて十三年、東日本大震災からの「創造的復興」を掲げて八年目を迎えます。「富県戦略」は、国際的にも破たんした「トリクルダウン」論に立ち、大企業を支援すれば、やがて県民に果実がしたたり落ちてくるという、アベノミクスの宮城版とも言えますが、実際は勤労者の実収入が落ち込み、企業の収益があがっても県民には還ってきていないのが現実です。 また、大震災を受けて、知事が進めた「創造的復興」は、惨事便乗型資本主義そのもので、ハード中心、被災者は置き去りにされてきました。
こうした中で、いま被災者と県民の声に耳を傾ける、暮らし第一の県政への転換が強く求められています。私は以上の認識のもと、直面している県政課題について、提案を含めて質問いたします。
まず東日本大震災からの復興と被災者の生活再建支援について伺います。
東日本大震災では、「私有財産の形成に公金を投入することはできない」という考え方を転換して、事業所の復興のために中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業をはじめとする、従前よりも手厚い支援が行われました。しかし労働力を確保できない、販路を回復できないなどの理由で水産加工業や食品加工業を中心に業績がなかなか回復しない企業もあります。
再建途上の企業は、新商品を開発するための新たな設備投資や旧設備の更新・修繕に充てる補助金を求めています。また中小企業は、活用できる制度を自力で探すことが難しいので、支援に関わる情報をわかりやすく定期的に各団体に提供してほしいと要望しています。申請書類の作成にあたる伴走型支援の充実も求めています。お答えください。
販路が回復しない要因の一つに、福島第一原発事故の放射能に関わる風評被害がありますが、東電は賠償を打ち切っています。復活を引き続き強力に働きかけるべきです。国内の取引でも輸出でも、放射能の検査証明書が求められることがありますが、その経費を補助することを求めます。県が補償し東電に求償できないでしょうか、お答えください。
みやぎ産業振興機構などによる中小企業診断士などの派遣は、小規模企業者に該当する場合は3回まで無料ですが、「3回だけでは実情把握しかできない。4回目以降は手弁当でやった」という例があります。無料派遣の回数を、実情により増やせないでしょうか、伺います。
津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金ですが、支援の割合がわかりにくく、応募してみたら補助率が低いことがわかり、仕方なく辞退したという話がありました。採択され実行されたのが九十二件なのに対し、採択された後で辞退したのが百二件もありました。補助金の継続と改善を政府に求めてほしいのですが、いかがでしょうか。
サンマ、イカなどの不漁が続き、魚体も小型化しています。これが長期間続く恐れがあり、原材料確保の支援の仕組みづくり、強力な販路拡大を県政が音頭をとって進める必要があるのではないかと思いますが、お答えください。
被災市町では、自治体職員のマンパワー不足に悩まされてきましたが、復興事業の業務量と進捗状況を踏まえて支援体制を重点的に強化する必要が生まれています。
最大被災地の石巻市は2月1日現在、必要な職員数四百四十六人に対して三十六人が確保できず、新年度はさらに不足する見込みです。石巻市は、復興事業は平成二十九年度と三十年度が最大の山場といっていますが、大震災の後に全国各地で災害が発生し、他の都道府県から派遣されている職員がどんどん引き上げていく傾向が生まれており、とくに土木と用地取得の技術者が不足しています。気仙沼市、石巻市をはじめ必要な市町に思い切った県職員の配置を求めますが、お答えください。
人口流出が著しい地域では、復興期間の後々までを視野に入れて、まちづくりと合わせて被災地それぞれの地域の産業振興、子育て支援、公共交通の確保などの諸課題を総合的に進めていくことが求められます。住民参加で地域の将来計画を練り上げて、市町が推進していく必要がありますが、計画立案段階から県が関与して、長期にわたって粘り強く支援していく取り組みが必要です。
高知県が、人口減少に歯止めをかけるという一大目標を正面に据えて、全市町村に県の企画支援員を配置し、それぞれの地域課題の推進に市町村の職員とともに当たり、県政の対応を見直すという取り組みを進めています。
高知県の取り組みから学び、支援を必要としている被災市町に県職員を系統的に配置すること、県庁の各部局の力をそれぞれの市町村の支援に横断的に発揮できる仕組みづくりを提案いたしますが、いかがでしょうか。
次に、被災者の生活再建支援について5点うかがいます。
被災者生活再建支援金について。
県は四月十日までで基礎支援金の受付を終了する考えですが、仙台市の実情を固定資産税台帳から調べてみたところ、以前から把握されていた未申請者三百二十人に加えて、大規模半壊で家屋を解体した人のうち二百十六人、半壊で解体した人のうち四百九十人が未申請者で、合計で一千人を超えることがわかりました。県は、市町村に問い合わせた上で判断したとしていますが、受付を延長し、市町村に再調査を求めるべきですが、お答えください。
災害公営住宅の家賃減免について。
復興庁の十一月二十一日付の通知を徹底していただき、5市町が災害公営住宅の家賃減免を継続すると表明しました。財源は十分に交付されており、災害公営住宅を建設している二十一市町のすべてで延長することは可能なので、県のイニシアチブ発揮を求めますが、いかがですか。
いわゆる収入超過者は、平成二十三年に改正された公営住宅法にもとづけば、入居を継続できる人が圧倒的多数です。働き盛りの世代が多く、災害公営住宅のコミュニティを維持する力です。復興庁の通知が、わざわざ収入超過者に言及し、公営住宅法をふまえた条例改正をすること、建設費高騰等の震災特有の要因による家賃増加分を減免する手法まで例示している趣旨を市町村に徹底して、市町村間で格差が生じることがなく、収入超過者の減免が継続されるようにすることを求めます。お答えください。
被災者の医療・介護の負担免除の継続について。
岩手県は、収入に関わらず医療・介護・障害者福祉サービスの利用料の免除を継続しています。宮城県では、住民税非課税の低所得者に限定し、9市町で医療・介護の負担免除を継続してきましたが、免除措置をとればその8割は国が支援します。残りの2割については、被災3県に対して国保財政が困難な保険者に対する特別調整交付金による国の支援があり、市町村の判断で残り2割の負担に充てることができます。二〇一八年度から県が国保の保険者になりますから、県は、少なくとも低所得者については支援するという判断を示すべきです。お答えください。
在宅被災者にについて。
半壊などの被害を受け、様々な住宅と生活の課題を抱えながら、自宅で暮らし続けているために支援から取り残されてきた在宅被災者に対する対応について、一貫してとりくんできたNPOと仙台弁護士会から重要な提言が寄せられました。いま現実に苦しんでいる在宅被災者のため、既存の見守り活動とは別に、県がこちらから出かけていく戸別訪問や出張相談などに充たる体制の確立、いまある被災者支援総合交付金や生活困窮者支援法の施策の活用を市町と連携して急ぐことを求めます。
アウトリーチ型法律相談支援事業、ケースマネージメント体制の確立を喫緊の課題として国に求めることなど、在宅被災者の願いへの対応を求めますが、お答えください。
水産特区について伺います。
今年秋に5年ぶりに漁業権の更新が予定され、県はいま特区導入の結果を検証しています。平成二十五年に国に提出した「復興推進計画」に掲げられていた諸目標が、計画期間の平成二十八年度までに達成できたかどうかが大事です。
仙台水産のホームページに桃浦かき生産者合同会社の売上額があったので、計画期間の実績を計算してみたところ、累計売上高は計画の六三・一%にとどまり、金額では計画より三億七千万円も少なく、当期純利益を計算すると累積赤字四千六百万円でした。計画と実績は大きく乖離していると思いますが、間違いないでしょうか。事業の継続性が懸念されますが、桃浦かき生産者合同会社が債務超過に陥っていないか、実情を伺います。
浜の連帯を壊したこと、漁師のあり方を変えたこと、他産地かきの流用を引き起こしたことなどから、特区は廃止して漁業権は漁師の自治に委ねるべきですが、お答えください。
大綱3、教師の働き方改革、国際バカロレアについて
県政の各分野のうち、教育に重点を置いて伺います。
昨年末の十二月二十六日、文部科学大臣が「学校における働き方改革に関する緊急対策」を発表し、その内容が二月九日付で教育長に通知されました。
教員があまりにも多忙で子どもたちと向き合えなくなっていますが、十年ぶりに行われた教員勤務実態調査で、さらに勤務時間が伸びていることがわかりました。過労死ラインを超える長時間労働は小学校で三三・五%、中学校で五七・六%と、他産業をはるかに上回っているという、非常に深刻な状況です。
緊急対策と通知は、中教審が昨年十二月二十二日に公表した「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(中間まとめ)」にもとづくものです。教員の命と健康にとっても、子どもの教育にとっても、教員の異常な長時間労働を是正することは、まさに喫緊の課題です。「中間まとめ」と通知を積極的に受けとめ、必要性の乏しい行事の廃止など、従前の対策から大きく踏み込んで具体化すべきですが、県教委の受けとめ方をお答えください。
具体化にあたっては、留意すべき点があると思います。
第1に、通知が、削ることを検討する対象に「授業準備」をあげていることは問題です。国は、教員定数を算定するのに、「一時間の授業に一時間程度の準備が必要」という考え方をとっています。「主体的・対話的な深い学び」をつくれという最近の要請は、教員に従来以上の授業準備を求めており、教材研究や授業準備の時間はシッカリ確保すべきですが、お答えください。
第2に、「学校における働き方改革」について「中間まとめ」は、「押し付けではなく、基本的には各学校の主体性を大事にしながら行うべき」で、「教職員間で業務のあり方、見直しについて話し合いの機会を設けることが有効」であるとしています。現場の教職員の意見を尊重して進めるべきですが、お答えください。
第3に「中間まとめ」は、学習指導要領の改定による授業時間の増加の問題に踏み込んでいません。教員の長時間労働は、授業コマ数が増えたのに、それに見合う定数増をしてこなかったことが主な要因ですが、県教委はどう考えていますか、うかがいます。
第4に「中間まとめ」は、教職員の増員に控えめな要求しかしていません。「日本教育新聞」が今年一月、学校の「働き方改革のため国に期待する施策」を尋ねたところ、全国の市区町村の教育長のじつに九七%が「教職員定数の改善」を挙げたと報道しました。これが教育現場の圧倒的多数の声です。
仙台市の郡和子市長が、新年度からの2年間で中学校の全学年を「三十五人学級」にすることを打ち出し、宮城県の教育行政に新しい風が吹き始めました。
隣の山形県教育委員会は、「三十三人」を目安に「少人数学級編成」に移行したあと、一クラスの人数が減ったことによる効果として、@欠席が減り不登校が減った、A学力が向上した、B教員のゆとりが生まれ、意欲的に仕事を進めるようになった、と報告しました。
これこそ宮城県民が願っている、本物の「学校の働き方改革」です。
国に対して教職員定数の抜本改善を求めること、県独自に教職員を増員すること、少人数学級をめざすことをあらためて求めますが、お答えください。
仙台二華高校で海外の教育プログラム「国際バカロレア」の認定取得をめざす予算二千三百五十万円に関わって伺います。
国際バカロレアそのものは「全人教育」が特色で、思考力・表現力に重点を置いた高い知的水準の達成をめざすとともに、異文化に対する理解力、寛容性、社会の一員としての自覚と責任を養うことを目標としており、意義あるものだと理解しています。
しかし安倍政権のもとでの国際バカロレアの導入は、成長戦略実行計画、日本再生の基本戦略などに位置づけられ、グローバル人材を育成するという名目のもとで、ごく一握りのエリートを育成するねらいの英語教育強化の一環として持ち出されてきたものです。
高知県では各地で県が説明会を開催して三千人を超える県民が参加し、高知県議会では二〇一四年からその功罪が論議されています。
ところが本県では、県立高等学校将来構想審議会や教育委員会の会議でも、国際バカロレアは議論されていません。昨年十月の宮城県知事選挙で村井知事の選挙公約に登場し、知事のトップダウンで拙速に予算化されたことは大問題です。県民への説明や教育関係者の論議を先行させるべきです。お答えください。
大綱4、特別支援学校の増設と通級指導教室の拡充を求める
転機を迎えている特別支援教育について伺います。
特別支援学校に通学する児童生徒が増えていることに伴い、県教委は二〇一七年度に利府支援学校の分校を塩釜市に開設し、二〇一八年度には小松島支援学校の分校を泉区松陵に、二〇一九年度には名取支援学校の分校を名取市内に置く予定です。太白区秋保町に特別支援学校を新設する計画が二〇一八年度に動き出すことになっています。
しかし仙台圏の特別支援学校の保護者からは、「過大過密の問題が一向に解決されていない」という声が絶えません。利府支援学校、名取支援学校のプレハブ校舎は、いつ解消できるのでしょうか、お答えください。
仙台圏では、特別支援学校の児童生徒が、今年度の千五百十七人から7年後の二〇二四年度の千七百二十人まで増加を続け、その後もあまり減少しないで推移するという見通しです。とくに高等部がそうです。
秋保の他にもう一校の特別支援学校を仙台圏に設置することを早期に決断するよう求めます。また、各支援学校の規模については、児童生徒数を概ね百人以下にすることをめざして今後の整備計画を考えてほしいのですが、お答えください。
言語障害や発達障害などがあり、小中学校で通級指導を受ける児童生徒が急増しています。本県でも通級指導教室の開設が進み、今年度の仙台市以外の公立小学校の通級指導教室は百五十二学級で、通級している児童数は二千二百九十人、中学校は十一学級で通級している生徒数は七十四人です。
小学校には発達障害の診断がある児童生徒が八百六十四人、中学校には四百八十人、合わせて一千三百四十四人が在籍しています。診断はないが発達障害が疑われる児童生徒は約二千九百人で、合計で約四千二百人に達します。ほとんどの学校で通級指導のニーズがあると思われますが、とくに中学校での活用が遅れています。
通級指導教室は対象児童生徒十三人に教員一人が配置されます。文部科学省は通級指導の体制の充実をめざし、昨年度まで加配で対応していた通級指導に関わる教員を、今年度から十年かけて段階的に基礎定数化する措置をとり、本県でも今年度二十人が基礎定数化されました。
県がニーズをよく把握するようにして通級指導学級を増やせば教員定数も増えます。県も積極的に教員を配置し、十年を待たずに指導体制を充実させるよう求めますが、お答えください。
新年度から高等学校の通級指導教室が制度化されます。
知的遅れがない発達障害の子どもとその保護者、中学校の特別支援教室を卒業した後の子どもの進路で悩んでいる保護者をはじめ、多くの人々が、必要な場合にどこの高校でも実施されるようになることを期待しています。
新年度に予算は確保されているでしょうか、何校で実施する予定でしょうか、お答えください。
大綱5、原発ゼロ法、女川原発の避難計画と安全審査について
東日本大震災と原発事故の複合災害が深刻な福島県で、今なお多くの人々が避難を続けているにも関わらず、安倍政権が被災者への補償の打ち切りに動き、その一方で日立のイギリスでの原発建設に百%の政府保証を与え、「利益は原発企業に、ツケは国民に」という政治を進めていることは言語道断です。
小泉純一郎元首相、細川護熙元首相が顧問を務める「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」が、原発の稼働停止や、電源構成に占める再生可能エネルギーの割合を高めることを明記した「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」を提案しました。再生可能エネルギー開発、脱原発・脱石炭という世界の流れに日本が大きく立ち遅れていることは一刻も早く打開しなければならず、日本共産党は全面的に賛成です。
村井知事に、「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」に関する見解を求めます。
女川原子力発電所2号機の適合性審査を進めている東北電力は、主要な論点の説明を5月末にも終えたいという意向を表明しており、宮城県議会が再稼働に関わる意向の確認を求められる日が、早ければ年内にも訪れるかもしれないという状況になっています。
新しい原子力災害対策指針のもとで、三〇キロ圏内の住民は、五キロ圏内の住民を先に逃がしている間は自宅退避をすることになっていますが、そのことを自覚している人は少数です。防災関係者の多くも、「指示に従う人は少数にとどまるだろう」と見ています。自宅退避は、居住地域が高濃度に汚染されてから避難することになりかねないからです。
自宅退避を強要することはできません。緊急時に住民が被ばくを避けて避難する権利を奪うことはできないからです。住民避難はできるだけ早期に行うことが鉄則であり、無用の被ばくを招く不合理な指針は見直すよう、政府に求めていただきたいのですが、お答えください。
原発周辺の2市2町と県内避難先自治体との避難協定がまとまりましたが、地震・津波などの自然災害と同時に原発事故が発生した場合に、避難先自治体は「受け入れは難しい」としており、避難計画は絵に描いた餅といわざるをえません。
知事は、大規模な広域避難訓練を秋頃に実施したいという意向を定例記者会見で示しましたが、島根県や福井県などで行われた大規模広域避難訓練では、避難計画どおりの時間ではとても避難できず、放射能汚染の検査手順が守られていないなどの重大な欠陥や課題が見つかっています。実効性のある避難計画ナシの再稼働がそもそも許されませんが、大規模訓練も、それを生かした避難計画の見直しもまだの今年秋に、再稼働への地元同意を求められたとしても、そもそも判断できる前提がないと思います。お答えください。
避難計画にも関わり、最近動きがある蔵王をはじめ火山噴火の評価について伺います。
四国電力伊方原発3号機の運転差し止めを求めて、広島市の住民らが申し立てた仮処分の即時抗告審で、広島高裁が昨年十二月十三日、阿蘇山の噴火に関わる原子力規制委員会の判断を不合理だとして、運転を差し止める決定を下しました。広島高裁の決定は、原発に対しては考え得る限り最大の災害に備えなければならないという考え方を示しました。
伊方原発と阿蘇山の距離は約百三十㌖ですが、女川原発と蔵王山は約百㌖です。女川原発の火山に関わる適合性審査は広島高裁判決前だったので、それが適切だったのかどうか、「女川原子力発電所2号機の安全性に関わる検討会」に意見を求めていただきたいのですが、伺います。
女川原発では、炉心損傷に備えて、原子炉格納容器の下部に注水する設備をもうけて、溶融した核燃料を水で冷却することにしていますが、高温の溶融核燃料が水と接触したら水蒸気爆発を引き起こす可能性があります。
県も、水蒸気爆発の可能性を認め、私の質問に対して「国の審査の状況を注視してまいりたいと考えております」と答弁していました。
ところが原子力規制委員会は、水蒸気爆発が発生したTROI(トロイ)と呼ばれる実験を、結果的に無視して合格を出してしまい、専門家から激しい批判が湧きおこっています。
原子力規制委員会の水蒸気爆発に関わる審査は不当ですが、県はどのように判断しているでしょうか、お答えください。
安全対策として導入される格納容器の下部への注水は、安全どころか東日本を壊滅させる大惨事を招く危険があり、私はこのまま実行に移されてはならないと考えています。「女川原子力発電所2号機の安全性に関わる検討会」に、水蒸気爆発の可能性を評価するよう求めていただきたいのですが、お答えください。
最後に、航空機の原発への衝突防止に関わって伺います。
新規制基準で航空機の衝突に耐えられる原発を求めるとともに、原発上空を飛行禁止にして安全確保をはかっていますが、軍用機の墜落、とくに航空法適用除外の米軍機による事故が安全対策の盲点になっています。
米軍オスプレイの飛来にあたり、県を含む「王城寺原演習場対策協議会」が二月七日、「人家や学校等を避けて飛行する」ことや事前に飛行ルートや飛行時間等を明示するよう要望しましたが、米軍と防衛省は無視しています。そこへ二十日、米空軍三沢基地所属のF16戦闘機の事故と小川原湖への燃料タンク投棄が発生しました。
オスプレイに関わる要請を無視されても、県が中止要請も抗議もしないという態度をとったことは遺憾です。
米軍機事故から県民の安全を守るために、言うべきことは主張するという態度を貫くこと、オスプレイはとくに事故が多い欠陥機であり、厳しく対応することを求めます。お答えください。
壇上からの質問は以上です。
(了)
宮城県議会の代表質問は、予算審査のある2月定例会と決算審査のある9月定例会に、5人以上の会派が行うことができます。日本共産党の代表質問は、8議席になった後の2016年2月に遠藤いく子議員が初めて行い、そのあと三浦一敏、天下みゆき、福島かずえの各議員が担当し、私は5人目になります。
第1回目の発言の大要は以下のとおりです。
日本共産党の中嶋廉です。代表質問をいたします。
大綱1、旧優生保護法のもとでの人権侵害について
旧優生保護法のもとで不妊手術を強要された人が全国で初めて仙台地裁に国を相手どって損害賠償を起こしました。
本定例会開会日の二月十五日、当事者と関係者が意見書の提出等を求めて宮城県議会を訪れましたが、当事者の方々のお話は、涙なしには聞けないものでした。
宮城県議会で昭和三十七年十月、複数の議員が強制不妊手術について発言しており、当議会がこれを推進していた事実は、重く受けとめなければならないと思いました。
知事に伺います。当時は法にもとづくこととされていたとはいえ、宮城県政が進めた強制不妊手術は深刻な人権侵害であり、いまの到達点に立って自らの誤りをえぐり出してこそ、初めて責任を果たしたと言えるのではないでしょうか。県は、情報の開示、被害者の救済につながる対応を始めていますが、国による補償の実現、相談窓口の設置など、当事者の方々からの要望に真摯に対応することはもとより、県に調査委員会を設けて関係資料の照会や収集にあたり、なぜ全国2位の約一千四百件もの不妊手術が本県で行われたのか、その原因と経過の全容を可能な限り明らかにする必要があると思います。当事者・関係者のみなさまへの謝罪も必要だと思いますが、お答えください。
大綱2、これからの復興と被災者の生活支援、水産特区について
さて、村井知事は新年度予算を今後3年間の復興「完成期」に向かう「ジャンプアップ予算」と銘打ちましたが、被災者・県民の生活が本当にジャンプアップする予算なのか、冷静な検証が必要です。
今年は、村井県政が「富県戦略」を掲げて十三年、東日本大震災からの「創造的復興」を掲げて八年目を迎えます。「富県戦略」は、国際的にも破たんした「トリクルダウン」論に立ち、大企業を支援すれば、やがて県民に果実がしたたり落ちてくるという、アベノミクスの宮城版とも言えますが、実際は勤労者の実収入が落ち込み、企業の収益があがっても県民には還ってきていないのが現実です。 また、大震災を受けて、知事が進めた「創造的復興」は、惨事便乗型資本主義そのもので、ハード中心、被災者は置き去りにされてきました。
こうした中で、いま被災者と県民の声に耳を傾ける、暮らし第一の県政への転換が強く求められています。私は以上の認識のもと、直面している県政課題について、提案を含めて質問いたします。
まず東日本大震災からの復興と被災者の生活再建支援について伺います。
東日本大震災では、「私有財産の形成に公金を投入することはできない」という考え方を転換して、事業所の復興のために中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業をはじめとする、従前よりも手厚い支援が行われました。しかし労働力を確保できない、販路を回復できないなどの理由で水産加工業や食品加工業を中心に業績がなかなか回復しない企業もあります。
再建途上の企業は、新商品を開発するための新たな設備投資や旧設備の更新・修繕に充てる補助金を求めています。また中小企業は、活用できる制度を自力で探すことが難しいので、支援に関わる情報をわかりやすく定期的に各団体に提供してほしいと要望しています。申請書類の作成にあたる伴走型支援の充実も求めています。お答えください。
販路が回復しない要因の一つに、福島第一原発事故の放射能に関わる風評被害がありますが、東電は賠償を打ち切っています。復活を引き続き強力に働きかけるべきです。国内の取引でも輸出でも、放射能の検査証明書が求められることがありますが、その経費を補助することを求めます。県が補償し東電に求償できないでしょうか、お答えください。
みやぎ産業振興機構などによる中小企業診断士などの派遣は、小規模企業者に該当する場合は3回まで無料ですが、「3回だけでは実情把握しかできない。4回目以降は手弁当でやった」という例があります。無料派遣の回数を、実情により増やせないでしょうか、伺います。
津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金ですが、支援の割合がわかりにくく、応募してみたら補助率が低いことがわかり、仕方なく辞退したという話がありました。採択され実行されたのが九十二件なのに対し、採択された後で辞退したのが百二件もありました。補助金の継続と改善を政府に求めてほしいのですが、いかがでしょうか。
サンマ、イカなどの不漁が続き、魚体も小型化しています。これが長期間続く恐れがあり、原材料確保の支援の仕組みづくり、強力な販路拡大を県政が音頭をとって進める必要があるのではないかと思いますが、お答えください。
被災市町では、自治体職員のマンパワー不足に悩まされてきましたが、復興事業の業務量と進捗状況を踏まえて支援体制を重点的に強化する必要が生まれています。
最大被災地の石巻市は2月1日現在、必要な職員数四百四十六人に対して三十六人が確保できず、新年度はさらに不足する見込みです。石巻市は、復興事業は平成二十九年度と三十年度が最大の山場といっていますが、大震災の後に全国各地で災害が発生し、他の都道府県から派遣されている職員がどんどん引き上げていく傾向が生まれており、とくに土木と用地取得の技術者が不足しています。気仙沼市、石巻市をはじめ必要な市町に思い切った県職員の配置を求めますが、お答えください。
人口流出が著しい地域では、復興期間の後々までを視野に入れて、まちづくりと合わせて被災地それぞれの地域の産業振興、子育て支援、公共交通の確保などの諸課題を総合的に進めていくことが求められます。住民参加で地域の将来計画を練り上げて、市町が推進していく必要がありますが、計画立案段階から県が関与して、長期にわたって粘り強く支援していく取り組みが必要です。
高知県が、人口減少に歯止めをかけるという一大目標を正面に据えて、全市町村に県の企画支援員を配置し、それぞれの地域課題の推進に市町村の職員とともに当たり、県政の対応を見直すという取り組みを進めています。
高知県の取り組みから学び、支援を必要としている被災市町に県職員を系統的に配置すること、県庁の各部局の力をそれぞれの市町村の支援に横断的に発揮できる仕組みづくりを提案いたしますが、いかがでしょうか。
次に、被災者の生活再建支援について5点うかがいます。
被災者生活再建支援金について。
県は四月十日までで基礎支援金の受付を終了する考えですが、仙台市の実情を固定資産税台帳から調べてみたところ、以前から把握されていた未申請者三百二十人に加えて、大規模半壊で家屋を解体した人のうち二百十六人、半壊で解体した人のうち四百九十人が未申請者で、合計で一千人を超えることがわかりました。県は、市町村に問い合わせた上で判断したとしていますが、受付を延長し、市町村に再調査を求めるべきですが、お答えください。
災害公営住宅の家賃減免について。
復興庁の十一月二十一日付の通知を徹底していただき、5市町が災害公営住宅の家賃減免を継続すると表明しました。財源は十分に交付されており、災害公営住宅を建設している二十一市町のすべてで延長することは可能なので、県のイニシアチブ発揮を求めますが、いかがですか。
いわゆる収入超過者は、平成二十三年に改正された公営住宅法にもとづけば、入居を継続できる人が圧倒的多数です。働き盛りの世代が多く、災害公営住宅のコミュニティを維持する力です。復興庁の通知が、わざわざ収入超過者に言及し、公営住宅法をふまえた条例改正をすること、建設費高騰等の震災特有の要因による家賃増加分を減免する手法まで例示している趣旨を市町村に徹底して、市町村間で格差が生じることがなく、収入超過者の減免が継続されるようにすることを求めます。お答えください。
被災者の医療・介護の負担免除の継続について。
岩手県は、収入に関わらず医療・介護・障害者福祉サービスの利用料の免除を継続しています。宮城県では、住民税非課税の低所得者に限定し、9市町で医療・介護の負担免除を継続してきましたが、免除措置をとればその8割は国が支援します。残りの2割については、被災3県に対して国保財政が困難な保険者に対する特別調整交付金による国の支援があり、市町村の判断で残り2割の負担に充てることができます。二〇一八年度から県が国保の保険者になりますから、県は、少なくとも低所得者については支援するという判断を示すべきです。お答えください。
在宅被災者にについて。
半壊などの被害を受け、様々な住宅と生活の課題を抱えながら、自宅で暮らし続けているために支援から取り残されてきた在宅被災者に対する対応について、一貫してとりくんできたNPOと仙台弁護士会から重要な提言が寄せられました。いま現実に苦しんでいる在宅被災者のため、既存の見守り活動とは別に、県がこちらから出かけていく戸別訪問や出張相談などに充たる体制の確立、いまある被災者支援総合交付金や生活困窮者支援法の施策の活用を市町と連携して急ぐことを求めます。
アウトリーチ型法律相談支援事業、ケースマネージメント体制の確立を喫緊の課題として国に求めることなど、在宅被災者の願いへの対応を求めますが、お答えください。
水産特区について伺います。
今年秋に5年ぶりに漁業権の更新が予定され、県はいま特区導入の結果を検証しています。平成二十五年に国に提出した「復興推進計画」に掲げられていた諸目標が、計画期間の平成二十八年度までに達成できたかどうかが大事です。
仙台水産のホームページに桃浦かき生産者合同会社の売上額があったので、計画期間の実績を計算してみたところ、累計売上高は計画の六三・一%にとどまり、金額では計画より三億七千万円も少なく、当期純利益を計算すると累積赤字四千六百万円でした。計画と実績は大きく乖離していると思いますが、間違いないでしょうか。事業の継続性が懸念されますが、桃浦かき生産者合同会社が債務超過に陥っていないか、実情を伺います。
浜の連帯を壊したこと、漁師のあり方を変えたこと、他産地かきの流用を引き起こしたことなどから、特区は廃止して漁業権は漁師の自治に委ねるべきですが、お答えください。
大綱3、教師の働き方改革、国際バカロレアについて
県政の各分野のうち、教育に重点を置いて伺います。
昨年末の十二月二十六日、文部科学大臣が「学校における働き方改革に関する緊急対策」を発表し、その内容が二月九日付で教育長に通知されました。
教員があまりにも多忙で子どもたちと向き合えなくなっていますが、十年ぶりに行われた教員勤務実態調査で、さらに勤務時間が伸びていることがわかりました。過労死ラインを超える長時間労働は小学校で三三・五%、中学校で五七・六%と、他産業をはるかに上回っているという、非常に深刻な状況です。
緊急対策と通知は、中教審が昨年十二月二十二日に公表した「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(中間まとめ)」にもとづくものです。教員の命と健康にとっても、子どもの教育にとっても、教員の異常な長時間労働を是正することは、まさに喫緊の課題です。「中間まとめ」と通知を積極的に受けとめ、必要性の乏しい行事の廃止など、従前の対策から大きく踏み込んで具体化すべきですが、県教委の受けとめ方をお答えください。
具体化にあたっては、留意すべき点があると思います。
第1に、通知が、削ることを検討する対象に「授業準備」をあげていることは問題です。国は、教員定数を算定するのに、「一時間の授業に一時間程度の準備が必要」という考え方をとっています。「主体的・対話的な深い学び」をつくれという最近の要請は、教員に従来以上の授業準備を求めており、教材研究や授業準備の時間はシッカリ確保すべきですが、お答えください。
第2に、「学校における働き方改革」について「中間まとめ」は、「押し付けではなく、基本的には各学校の主体性を大事にしながら行うべき」で、「教職員間で業務のあり方、見直しについて話し合いの機会を設けることが有効」であるとしています。現場の教職員の意見を尊重して進めるべきですが、お答えください。
第3に「中間まとめ」は、学習指導要領の改定による授業時間の増加の問題に踏み込んでいません。教員の長時間労働は、授業コマ数が増えたのに、それに見合う定数増をしてこなかったことが主な要因ですが、県教委はどう考えていますか、うかがいます。
第4に「中間まとめ」は、教職員の増員に控えめな要求しかしていません。「日本教育新聞」が今年一月、学校の「働き方改革のため国に期待する施策」を尋ねたところ、全国の市区町村の教育長のじつに九七%が「教職員定数の改善」を挙げたと報道しました。これが教育現場の圧倒的多数の声です。
仙台市の郡和子市長が、新年度からの2年間で中学校の全学年を「三十五人学級」にすることを打ち出し、宮城県の教育行政に新しい風が吹き始めました。
隣の山形県教育委員会は、「三十三人」を目安に「少人数学級編成」に移行したあと、一クラスの人数が減ったことによる効果として、@欠席が減り不登校が減った、A学力が向上した、B教員のゆとりが生まれ、意欲的に仕事を進めるようになった、と報告しました。
これこそ宮城県民が願っている、本物の「学校の働き方改革」です。
国に対して教職員定数の抜本改善を求めること、県独自に教職員を増員すること、少人数学級をめざすことをあらためて求めますが、お答えください。
仙台二華高校で海外の教育プログラム「国際バカロレア」の認定取得をめざす予算二千三百五十万円に関わって伺います。
国際バカロレアそのものは「全人教育」が特色で、思考力・表現力に重点を置いた高い知的水準の達成をめざすとともに、異文化に対する理解力、寛容性、社会の一員としての自覚と責任を養うことを目標としており、意義あるものだと理解しています。
しかし安倍政権のもとでの国際バカロレアの導入は、成長戦略実行計画、日本再生の基本戦略などに位置づけられ、グローバル人材を育成するという名目のもとで、ごく一握りのエリートを育成するねらいの英語教育強化の一環として持ち出されてきたものです。
高知県では各地で県が説明会を開催して三千人を超える県民が参加し、高知県議会では二〇一四年からその功罪が論議されています。
ところが本県では、県立高等学校将来構想審議会や教育委員会の会議でも、国際バカロレアは議論されていません。昨年十月の宮城県知事選挙で村井知事の選挙公約に登場し、知事のトップダウンで拙速に予算化されたことは大問題です。県民への説明や教育関係者の論議を先行させるべきです。お答えください。
大綱4、特別支援学校の増設と通級指導教室の拡充を求める
転機を迎えている特別支援教育について伺います。
特別支援学校に通学する児童生徒が増えていることに伴い、県教委は二〇一七年度に利府支援学校の分校を塩釜市に開設し、二〇一八年度には小松島支援学校の分校を泉区松陵に、二〇一九年度には名取支援学校の分校を名取市内に置く予定です。太白区秋保町に特別支援学校を新設する計画が二〇一八年度に動き出すことになっています。
しかし仙台圏の特別支援学校の保護者からは、「過大過密の問題が一向に解決されていない」という声が絶えません。利府支援学校、名取支援学校のプレハブ校舎は、いつ解消できるのでしょうか、お答えください。
仙台圏では、特別支援学校の児童生徒が、今年度の千五百十七人から7年後の二〇二四年度の千七百二十人まで増加を続け、その後もあまり減少しないで推移するという見通しです。とくに高等部がそうです。
秋保の他にもう一校の特別支援学校を仙台圏に設置することを早期に決断するよう求めます。また、各支援学校の規模については、児童生徒数を概ね百人以下にすることをめざして今後の整備計画を考えてほしいのですが、お答えください。
言語障害や発達障害などがあり、小中学校で通級指導を受ける児童生徒が急増しています。本県でも通級指導教室の開設が進み、今年度の仙台市以外の公立小学校の通級指導教室は百五十二学級で、通級している児童数は二千二百九十人、中学校は十一学級で通級している生徒数は七十四人です。
小学校には発達障害の診断がある児童生徒が八百六十四人、中学校には四百八十人、合わせて一千三百四十四人が在籍しています。診断はないが発達障害が疑われる児童生徒は約二千九百人で、合計で約四千二百人に達します。ほとんどの学校で通級指導のニーズがあると思われますが、とくに中学校での活用が遅れています。
通級指導教室は対象児童生徒十三人に教員一人が配置されます。文部科学省は通級指導の体制の充実をめざし、昨年度まで加配で対応していた通級指導に関わる教員を、今年度から十年かけて段階的に基礎定数化する措置をとり、本県でも今年度二十人が基礎定数化されました。
県がニーズをよく把握するようにして通級指導学級を増やせば教員定数も増えます。県も積極的に教員を配置し、十年を待たずに指導体制を充実させるよう求めますが、お答えください。
新年度から高等学校の通級指導教室が制度化されます。
知的遅れがない発達障害の子どもとその保護者、中学校の特別支援教室を卒業した後の子どもの進路で悩んでいる保護者をはじめ、多くの人々が、必要な場合にどこの高校でも実施されるようになることを期待しています。
新年度に予算は確保されているでしょうか、何校で実施する予定でしょうか、お答えください。
大綱5、原発ゼロ法、女川原発の避難計画と安全審査について
東日本大震災と原発事故の複合災害が深刻な福島県で、今なお多くの人々が避難を続けているにも関わらず、安倍政権が被災者への補償の打ち切りに動き、その一方で日立のイギリスでの原発建設に百%の政府保証を与え、「利益は原発企業に、ツケは国民に」という政治を進めていることは言語道断です。
小泉純一郎元首相、細川護熙元首相が顧問を務める「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」が、原発の稼働停止や、電源構成に占める再生可能エネルギーの割合を高めることを明記した「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」を提案しました。再生可能エネルギー開発、脱原発・脱石炭という世界の流れに日本が大きく立ち遅れていることは一刻も早く打開しなければならず、日本共産党は全面的に賛成です。
村井知事に、「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」に関する見解を求めます。
女川原子力発電所2号機の適合性審査を進めている東北電力は、主要な論点の説明を5月末にも終えたいという意向を表明しており、宮城県議会が再稼働に関わる意向の確認を求められる日が、早ければ年内にも訪れるかもしれないという状況になっています。
新しい原子力災害対策指針のもとで、三〇キロ圏内の住民は、五キロ圏内の住民を先に逃がしている間は自宅退避をすることになっていますが、そのことを自覚している人は少数です。防災関係者の多くも、「指示に従う人は少数にとどまるだろう」と見ています。自宅退避は、居住地域が高濃度に汚染されてから避難することになりかねないからです。
自宅退避を強要することはできません。緊急時に住民が被ばくを避けて避難する権利を奪うことはできないからです。住民避難はできるだけ早期に行うことが鉄則であり、無用の被ばくを招く不合理な指針は見直すよう、政府に求めていただきたいのですが、お答えください。
原発周辺の2市2町と県内避難先自治体との避難協定がまとまりましたが、地震・津波などの自然災害と同時に原発事故が発生した場合に、避難先自治体は「受け入れは難しい」としており、避難計画は絵に描いた餅といわざるをえません。
知事は、大規模な広域避難訓練を秋頃に実施したいという意向を定例記者会見で示しましたが、島根県や福井県などで行われた大規模広域避難訓練では、避難計画どおりの時間ではとても避難できず、放射能汚染の検査手順が守られていないなどの重大な欠陥や課題が見つかっています。実効性のある避難計画ナシの再稼働がそもそも許されませんが、大規模訓練も、それを生かした避難計画の見直しもまだの今年秋に、再稼働への地元同意を求められたとしても、そもそも判断できる前提がないと思います。お答えください。
避難計画にも関わり、最近動きがある蔵王をはじめ火山噴火の評価について伺います。
四国電力伊方原発3号機の運転差し止めを求めて、広島市の住民らが申し立てた仮処分の即時抗告審で、広島高裁が昨年十二月十三日、阿蘇山の噴火に関わる原子力規制委員会の判断を不合理だとして、運転を差し止める決定を下しました。広島高裁の決定は、原発に対しては考え得る限り最大の災害に備えなければならないという考え方を示しました。
伊方原発と阿蘇山の距離は約百三十㌖ですが、女川原発と蔵王山は約百㌖です。女川原発の火山に関わる適合性審査は広島高裁判決前だったので、それが適切だったのかどうか、「女川原子力発電所2号機の安全性に関わる検討会」に意見を求めていただきたいのですが、伺います。
女川原発では、炉心損傷に備えて、原子炉格納容器の下部に注水する設備をもうけて、溶融した核燃料を水で冷却することにしていますが、高温の溶融核燃料が水と接触したら水蒸気爆発を引き起こす可能性があります。
県も、水蒸気爆発の可能性を認め、私の質問に対して「国の審査の状況を注視してまいりたいと考えております」と答弁していました。
ところが原子力規制委員会は、水蒸気爆発が発生したTROI(トロイ)と呼ばれる実験を、結果的に無視して合格を出してしまい、専門家から激しい批判が湧きおこっています。
原子力規制委員会の水蒸気爆発に関わる審査は不当ですが、県はどのように判断しているでしょうか、お答えください。
安全対策として導入される格納容器の下部への注水は、安全どころか東日本を壊滅させる大惨事を招く危険があり、私はこのまま実行に移されてはならないと考えています。「女川原子力発電所2号機の安全性に関わる検討会」に、水蒸気爆発の可能性を評価するよう求めていただきたいのですが、お答えください。
最後に、航空機の原発への衝突防止に関わって伺います。
新規制基準で航空機の衝突に耐えられる原発を求めるとともに、原発上空を飛行禁止にして安全確保をはかっていますが、軍用機の墜落、とくに航空法適用除外の米軍機による事故が安全対策の盲点になっています。
米軍オスプレイの飛来にあたり、県を含む「王城寺原演習場対策協議会」が二月七日、「人家や学校等を避けて飛行する」ことや事前に飛行ルートや飛行時間等を明示するよう要望しましたが、米軍と防衛省は無視しています。そこへ二十日、米空軍三沢基地所属のF16戦闘機の事故と小川原湖への燃料タンク投棄が発生しました。
オスプレイに関わる要請を無視されても、県が中止要請も抗議もしないという態度をとったことは遺憾です。
米軍機事故から県民の安全を守るために、言うべきことは主張するという態度を貫くこと、オスプレイはとくに事故が多い欠陥機であり、厳しく対応することを求めます。お答えください。
壇上からの質問は以上です。
(了)
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