行政が被災者の医療・介護の負担免除継続に動いたのに、なぜ宮城県議会が請願を否決するのか―定例会初日の本会議で賛成討論しました[2017年02月17日(Fri)]
住民税非課税の低所得被災者を対象に、国保加入者の医療費窓口負担を免除する措置がとられ、来年度も石巻市、多賀城市、名取市、気仙沼市、東松島市などが継続することを決めています。昨年2月29日に提出された、この措置に対する国と県に財政支援を求めた請願が、採択されないまま継続審議が繰り返されたあげく、自民党と公明党により1月20日の保健福祉委員会で不採択にされました。定例会初日の宮城県議会本会議で、早期に採択されるべきであったという立場から、賛成討論をしました。
日本共産党、県民の声(民進党系)、社民党、無所属の会の4会派22人が賛成しましたが、自民党、公明党、21世紀クラブの36人が反対したため、請願は本会議でも不採択になりました。被災者の切実な声があるのに、残念でなりません。復興のあり方をあらためるよう求め続けます。
以下は、討論の概要です。
日本共産党宮城県会議員団の中嶋廉です。請願355の6について、賛成討論を行います。
本件請願は、「被災者のいのちと健康を守り、生活再建をすすめるうえで、被災者に対する医療費の一部負担免除措置と介護保険利用者負担減免措置の継続が平成28年度以降も不可欠である」という認識のもと、そのための「宮城県独自の財政支援措置を講ずること」および「国に対し、必要な財政支援を働きかけること」を求めたものです。
本件請願を採択すべきだとする理由の第一は、医療・介護の負担免除の継続を必要とし、強く求めている人々が被災者に少なくないことにあります。
「88歳の母には、国民年金しか収入がない。大震災の後に体調を崩したが、そのとたんに免除が打ち切りになった。サービスが利用できなくなり、やむをえず自分が仕事を休んで、母を介護することになった。母も、私も、先が見えません」
これは昨年10月16日、アンケート調査のため仙台市泉中央南の災害公営住宅約200戸を訪問した際に、私に訴えた被災者のお一人の声です。「友達が一人もいない」という孤立感、「医療と介護くらいは支援してほしい」という叫び、これは多くの被災者に共通していました。
「薬代が高くて、今後、医師に相談して薬を少なくしてもらおうと思っています。主人も薬を減らしてもらいました」―こちらは復興のあり方を調査し提言している東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センターのアンケートに寄せられたたくさんの声の一つです。
宮城県民主医療機関連合会の調査では、回答者の七割が持病をもち、半数が生活は「苦しい」と訴え、負担を免除されていない人には免除されている人の二倍の治療中断が発生しており、回答者の七割が負担免除措置の復活・継続を希望していました。
何よりも、被災地の九市町が平成28年度に負担免除措置を実施し、来年度も継続しようとしていることは、医療・介護の負担免除を必要としている住民が少なくないことを雄弁に物語っています。
第二に、被災地の市町村が国と県による財政支援を要望しており、請願を採択して市町村を支えることが必要だからです。
本件請願は、国の国保への支援充実策がいったん期限を迎えようとしていた時期にあたる昨年2月29日に提出され、継続審議になっていました。
宮城県は、市町村の要望を受けて、国へ「被災市町村の国民健康保険制度に対する財政措置」や「被災市町村の介護保険財政に対する特別な財政措置」の要望を行ってきました。
その結果、厚生労働者は昨年12月、被災3県の市町村に限定して、平成28年度も財政が困難な国保の保険者に対して特別調整交付金による10分の8以内の支援を継続することを決定しました。
宮城県もまた、県の調整交付金を使った国保への支援を検討していると答弁してきましたが、年末の国の対応を見て、先週、その活用策を決定したところです。
以上の経過を見れば、保健福祉委員会の請願不採択は、誤った判断だと言わざるをえません。
第三に、政府が平成29年度も被災者の医療費負担免除を継続する必要性を認めていることを指摘しておきたいと思います。
2月9日の衆議院予算委員会で塩崎厚生労働大臣は、日本共産党の高橋千鶴子議員の質問に答えて、「保険者の判断により減免を実施し、減免に要する費用の負担が著しい場合には、減免に要した費用の10分の8以内を国が財政支援する。これらの措置は来年度も引き続き実施をする予定で」あると約束しました。
県内自治体も平成29年度について、多賀城市、気仙沼市、石巻市、東松島市、名取市などが、引き続き低所得者の被災者に対し医療・介護の負担免除措置を継続することを決めています。本件請願は、「平成28年度以降」の措置について請願しているものですから、受理から一年を経たとはいえ、採択することこそ今後の対応に関わる政府の考え方と合致し、被災者の願いと市町村の対応に寄り添う道であることは明らかです。
最後に。
これだけ切実な声があるのに、1月20日の保健福祉委員会で、自民党と公明党の議員が本件請願を不採択にしたことは、私はたいへん残念でなりません。約一年間の委員会審議でも、本日の本会議でも、反対理由が述べられないままであることは、被災者・県民に対して、あまりにも不誠実ではないでしょうか。
本件請願を採択することこそ、当議会の責任を果たす道であることを訴えて、討論を終わります。ご清聴いただき、ありがとうございます。
日本共産党、県民の声(民進党系)、社民党、無所属の会の4会派22人が賛成しましたが、自民党、公明党、21世紀クラブの36人が反対したため、請願は本会議でも不採択になりました。被災者の切実な声があるのに、残念でなりません。復興のあり方をあらためるよう求め続けます。
以下は、討論の概要です。
日本共産党宮城県会議員団の中嶋廉です。請願355の6について、賛成討論を行います。
本件請願は、「被災者のいのちと健康を守り、生活再建をすすめるうえで、被災者に対する医療費の一部負担免除措置と介護保険利用者負担減免措置の継続が平成28年度以降も不可欠である」という認識のもと、そのための「宮城県独自の財政支援措置を講ずること」および「国に対し、必要な財政支援を働きかけること」を求めたものです。
本件請願を採択すべきだとする理由の第一は、医療・介護の負担免除の継続を必要とし、強く求めている人々が被災者に少なくないことにあります。
「88歳の母には、国民年金しか収入がない。大震災の後に体調を崩したが、そのとたんに免除が打ち切りになった。サービスが利用できなくなり、やむをえず自分が仕事を休んで、母を介護することになった。母も、私も、先が見えません」
これは昨年10月16日、アンケート調査のため仙台市泉中央南の災害公営住宅約200戸を訪問した際に、私に訴えた被災者のお一人の声です。「友達が一人もいない」という孤立感、「医療と介護くらいは支援してほしい」という叫び、これは多くの被災者に共通していました。
「薬代が高くて、今後、医師に相談して薬を少なくしてもらおうと思っています。主人も薬を減らしてもらいました」―こちらは復興のあり方を調査し提言している東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センターのアンケートに寄せられたたくさんの声の一つです。
宮城県民主医療機関連合会の調査では、回答者の七割が持病をもち、半数が生活は「苦しい」と訴え、負担を免除されていない人には免除されている人の二倍の治療中断が発生しており、回答者の七割が負担免除措置の復活・継続を希望していました。
何よりも、被災地の九市町が平成28年度に負担免除措置を実施し、来年度も継続しようとしていることは、医療・介護の負担免除を必要としている住民が少なくないことを雄弁に物語っています。
第二に、被災地の市町村が国と県による財政支援を要望しており、請願を採択して市町村を支えることが必要だからです。
本件請願は、国の国保への支援充実策がいったん期限を迎えようとしていた時期にあたる昨年2月29日に提出され、継続審議になっていました。
宮城県は、市町村の要望を受けて、国へ「被災市町村の国民健康保険制度に対する財政措置」や「被災市町村の介護保険財政に対する特別な財政措置」の要望を行ってきました。
その結果、厚生労働者は昨年12月、被災3県の市町村に限定して、平成28年度も財政が困難な国保の保険者に対して特別調整交付金による10分の8以内の支援を継続することを決定しました。
宮城県もまた、県の調整交付金を使った国保への支援を検討していると答弁してきましたが、年末の国の対応を見て、先週、その活用策を決定したところです。
以上の経過を見れば、保健福祉委員会の請願不採択は、誤った判断だと言わざるをえません。
第三に、政府が平成29年度も被災者の医療費負担免除を継続する必要性を認めていることを指摘しておきたいと思います。
2月9日の衆議院予算委員会で塩崎厚生労働大臣は、日本共産党の高橋千鶴子議員の質問に答えて、「保険者の判断により減免を実施し、減免に要する費用の負担が著しい場合には、減免に要した費用の10分の8以内を国が財政支援する。これらの措置は来年度も引き続き実施をする予定で」あると約束しました。
県内自治体も平成29年度について、多賀城市、気仙沼市、石巻市、東松島市、名取市などが、引き続き低所得者の被災者に対し医療・介護の負担免除措置を継続することを決めています。本件請願は、「平成28年度以降」の措置について請願しているものですから、受理から一年を経たとはいえ、採択することこそ今後の対応に関わる政府の考え方と合致し、被災者の願いと市町村の対応に寄り添う道であることは明らかです。
最後に。
これだけ切実な声があるのに、1月20日の保健福祉委員会で、自民党と公明党の議員が本件請願を不採択にしたことは、私はたいへん残念でなりません。約一年間の委員会審議でも、本日の本会議でも、反対理由が述べられないままであることは、被災者・県民に対して、あまりにも不誠実ではないでしょうか。
本件請願を採択することこそ、当議会の責任を果たす道であることを訴えて、討論を終わります。ご清聴いただき、ありがとうございます。
タグ:#被災者
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