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中嶋れん(日本共産党 前宮城県議会議員)のブログ
日本共産党宮城県委員会政策委員長。
シエルの会(自閉症児の親の会)会長。
原発問題住民運動宮城県連絡センター 世話人。
東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター事務局次長。
青森県むつ市大畑町生まれ。青森高校、東北大学理学部物理学科卒。
« 女川原発の再稼働に関わる市町村長会議(11月9日)の会議録が公開されました。反対・異論が出されていたこと、村井知事が強引に一任を取り付けた経過がよくわかります。 県民は同意していない! 市町村長も同意していない! | Main | 公的3病院の統合にストップを! コロナ禍の中ではとくに許されない! »
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大飯原発の設置許可を取り消し 大阪地裁判決[2020年12月05日(Sat)]
 福井県や近畿地方の住民ら127人が、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)について国の設置許可を取り消すよう求めた行政訴訟の判決で、大阪地裁が12月4日、設置許可を取り消すという判決を下しました。
 もっとも、許可取り消しの効力は、判決が確定しなければ発生しません。国は関西電力などと協議し、控訴する方向です。
 ただし、国による安全審査の妥当性が否定されたことが非常に重要で、女川原発など他の原発の基準地震動が妥当なのかが問われています。
 原発の設置許可を巡る訴訟では2003年、敦賀市の高速増殖原型炉「もんじゅ」について、名古屋高裁金沢支部が原子力安全委員会(当時)による審査に重大な誤りがあるとして設置許可を無効とする判決を出したことがあります(2005年の最高裁判決で覆された)。

 この裁判では、原発の耐震設計の目安となる「基準地震動」の妥当性が争点になりました。た。地震動は、それを予測する計算式の結果とは乖離があるので、原子力規制委員会は 審査ガイドでバラツキを考慮するよう求めています。2018 年 12 月 19 日付「新規制基準の考え方[改訂版]」において、「当該経験式の前提とされた観測データとの間の乖離の度合いまでを踏まえる必要があることを意味している」と、解説しています。つまり、平均式より大きい地震規模が発生する可能性があるということです。
 関西電力は「不確かさ」を考慮した場合の最大加速度は 856 ガルとし、原子力規制委は2017年5月、新規制基準に適合するとして設置変更許可を出していました。
 原告は、それにさらに「ばらつき」の標準偏差を考慮すれば 1,150 ガルになるとして、現在の原子炉では耐震性を満たしていないと主張していました。
 判決は、関電が算定に使った計算式は過去の地震データの平均値に基づいており、実際に発生する地震は平均値からかけ離れて大きくなる可能性があったと指摘。耐震性を判断する際、想定する地震規模を上乗せして計算する必要があったのに、関電や規制委が「何ら検討しなかった」と批判。規制委の判断に「不合理な点がある」として設置許可を取り消したものです。

●判決 全文
●判決 別紙(関係法令など)
●原告団声明
●弁護団声明

判決要旨は以下のとおり。

平成24年(行ウ)第117号発電所運転停止命令義務付け請求事件
裁判官 森健一 齋藤毅 豊臣亮輔(言渡日 令和2年12月4日)

1 事案の概要

(1) 原子力規制委員会は、平成29年5月24日付けで、被告参加人(関西電力)に対し、大飯原発3号機及び4号機(本件各原子炉)の設置変更を許可した(本件処分)。
 本件は、福井県等に居住する原告らが、本件処分に係る参加人の許可申請(本件申請)が当時の「実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則」(設置許可基準規則)で定める基準に適合するものでないにもかかわらず、本件処分がされたものであることなどから、本件処分は当時の核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律43条の3の6第1項4号等に反し違法である旨主張して、その取消しを求める事案である。

(2) 本件の争点は、本件各原子炉の耐震性判断のための基準となる地震動(基準地震動)を策定(想定)するに当たり行われた地震規模(地震モーメント)の設定が、新規制基準に適合している旨の原子力規制委員会の判断に不合理な点があるか否かのほか、原告らが主張するその余の違法事由(基準地震動を想定するための経験式(入倉・三宅式)の選択の違法、制御棒挿入時間の基準超過、F−6破砕帯を活断層と判断しなかったための地盤安定性の見誤り、基準津波の設定の誤り、重大事故時の溶融炉心冷却段備及び放射性物質拡大抑制設備の不 備)が認められるか否かである、

2 判断の概要
 裁判所は、概要、以下の理由から、本件申請について、基準地震動を策定するに当たり行われた地震モーメントの設定が新規制基準に適合している旨の原子力規制委員会の判断に不合理な点があるとして、本件処分は違法である旨判断した。
なお、原告らが主張するその余の違法事由はいずれも採用することができないものと判断した。

(1) 判断枠組み
 原子炉施設の安全性に関する判断の適否が争われる発電用原子炉設置(変更)許可処分の取消訴訟における裁判所の審理、判断は、原子力規制委員会の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきであって、現在の科学技術水準に照らし、原子力規制委員会の調査審議において用いられた具体的審査基準に不合理な点があり、あるいは当該発電用原子炉の設置(変更)許可申請が上記具体的審査基準に適合するとした原子力規制委員会の調査審議及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があると認められる場合には、原子力規制委員会の判断に不合理な点があるものとして、その判断に基づく上記処分は違法であると解するのが相当である(伊方原発事件に関する最高裁平成4年10月29日判決)。

(2) 新規制基準における基準地震動の策定に関する定め
ア 設置許可基準規則4条3項は、発電用原子炉施設のうち、一定の重要なものは、その供用中に当該施設に大きな影響を及ぼすおそれがある地震による加速度によって作用する地震力(基準地震動による地震力)に対して安全機能(設置許可基準規則2条2項5号参照)が損なわれるおそれがないものでなければならない旨を定める。
イ 基準地震動の策定に当たっては、敷地に大きな影響を与えると予想される地震について、震源の特性を主要なパラメータで表した震源モデルを設定しなければならない。この点について、設置許可基準規則を受けて原子力規制委員会が定めた内規である当時の「実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則の解釈」(規則の解釈)は、基準地震動の策定過程に伴う各種の不確かさ(震源断層の長さ、地震発生層の上端深さ・下端深さ、断層傾斜角等の不確かさ並びにそれらに係る考え方及び解釈の違いによる不確かさ)については、敷地における地震動評価に大きな影響を与えると考えられる支配的なパラメータについて分析した上で、必要に応じて不確かさを組み合わせるなど適切な手法を用いて考慮する旨を定める。
ウ そして、設置許可基準規則及び規則の解釈の趣旨を十分踏まえ、基準地震動の妥当性を厳格に確認するために活用することを目的として原子力規制委員会が定めた「基準地震動及び耐震設計方針に係る審査ガイド」(地震動審査ガイド)は、「震源モデルの長さ又は面積、あるいは1回の活動による変位量と地震規模を関連づける経験式を用いて地震規模を設定する場合には、経験式の適用範囲が十分に検討されていることを確認する。その際、経験式は平均値としての地震規模を与えるものであることから、経験式が有するばらつきも考慮されている必要がある。」(I.3、2、3(2)、本件ばらつき条項)と定める。

(3) 本件ばらつき条項の意義
 経験式は、二つの物理量(ここでは、震源断層面積と地震規模)の間の原理的関係を示すものではなく、観測等により得られたデータを基に推測された経験的関係を示すものであり、経験式によって算出される地震規模は平均値である。そこで、実際に発生する地震の地震規模は平均値からかい離することが当然に想定されている。地震規模(地震モーメント)は、震源モデルの重要なパラメータの一つであり、その他のパラメータの算出に用いられるものであって、基準地震動の策定における重要な要素であるといえる。そうすると、経験式を用いて地震モーメントを設定する場合には、経験式によって算出される平均値をもってそのまま震源モデルにおける地震モーメントとして設定するのではなく、実際に発生する地震の地震モーメントが平均値より大きい方向にかい離する可能性を考慮して地震モーメントを設定するのが相当であると考えられる(例えば、経験式を導く基礎となったデータの標準偏差分を加味するなど)。ただし、他のパラメータの設定に当たり、上記のような方法で地震モーメントを設定するのと同視し得るような考慮など、相応の合理性を有する考慮がされていれば足りるものと考えられる。また、経験式が有するばらつきを検証して、経験式によって算出される平均値に何らかの上乗せをする必要があるか否かを検討した結果、その必要がないといえる場合には、経験式によって算出される平均値をもってそのまま震源モデルにおける地震モーメントの値とすることも妨げられないものと解される。
 本件ばらつき条項の第2文は、以上の趣旨をいうものと解される。このような解釈は、平成23年3月11日に発生した東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発の事故を受けて耐震設計審査指針等が改訂される過程において、委員から、経験式より大きな地震が発生することを想定すべきであるとの指摘を受けて、本件ばらつき条項の第2文に相当する定めが置かれるに至った経緯とも整合する。

(4) 原子力規制委員会の調査審議及び判断の過程における過誤、欠落 参加人は、本件申請において基準地震動を策定する際、地質調査結果等に基づき設定した震源断層面積を経験式に当てはめて計算された地震モーメントをそのまま震源モデルにおける地震モーメントの値としたものであり、例えば、経験式が有するばらつきを考慮するために、当該経験式の基礎となったデータの標準偏差分を加味するなどの方法により、実際に発生する地震の地震モーメントが平均値より大きい方向にかい離する可能性を考慮して地震モーメントを設定する必要があるか否かということ自体を検討しておらず、現に、そのような想定(上乗せ)をしなかった。
 原子力規制委員会は、経験式が有するばらつきを考慮した場合、これに基づき算出された地震モーメントの値に何らかの上乗せをする必要があるか否か等について何ら検討することなく、本件申請が設置許可基準規則4条3項に適合し、地震動審査ガイドを踏まえているとした。このような原子力規制委員会の調査審議及び判断の過程には、看過し難い過誤、欠落があるものというべきである。
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