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中嶋れん(日本共産党 前宮城県議会議員)のブログ
日本共産党宮城県委員会政策委員長。
シエルの会(自閉症児の親の会)会長。
原発問題住民運動宮城県連絡センター 世話人。
東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター事務局次長。
青森県むつ市大畑町生まれ。青森高校、東北大学理学部物理学科卒。
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「経費節減は砂上の楼閣」−上下水道の民営化に関する宮城県の回答を「命の水を守るネットワーク・みやぎ」が批判 公開質問状第2弾の提出を表明[2020年08月13日(Thu)]
 命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ(共同代表=佐久間敬子氏、中嶋信氏)が8月13日に記者会見し、以下の「声明」を発表しました。
 公開質問状(6月11日提出)、宮城県の回答(7月22日回答)、回答に関する「声明」(8月13日)を添付ファイルで紹介します。

◎公開質問状右矢印1200611 宮城県への公開質問状.pdf
◎宮城県の回答右矢印1200722 公開質問状に対する宮城県の回答.pdf
◎回答に対する「声明」2008013 公開質問状への回答に対する見解.docx

宮城県上工下水一体官民連携運営事業(みやぎ型管理運営方式)に関する当ネットワークからの公開質問状への宮城県回答について(見解)
    命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ
    2020年8月13日(木)

 7月22日、当ネットワークが6月10日に提出した「宮城県上工下水一体官民連携運営事業(みやぎ型管理運営方式)に関する公開質問状」に対し、宮城県より回答がありました。この回答について、当ネットワークの見解を表明いたします。

(1)宮城県は、みやぎ型管理運営方式の県民理解を促進しようとしているのか?

 質問状提出の動機となったこと、質問状の前文で私たちが問題提起したことは3点あります。
第一点は、コロナ禍の中の「みやぎ型管理運営方式(以下みやぎ型と略)」の広報(みやぎ県政だより5・6月号)をもって説明責任の一端を果たしたような対応に対する違和感です。「みやぎ型」は水道3事業の運営権を20年もの長期に亘り民間に譲渡する水道事業の運営方式です。制度の大転換であるだけでなく全国初の方式です。対象流域の県民は198万人と多数にのぼります。
この大きな水道事業の制度転換を県民みなさんが、よく理解し、納得しているのかは大いに疑問です。いま、一番求められていることは、コロナの不安なく、落ち着いた環境の中で考えることが出来る、そのような時機に、県民の皆さんに、改めて、説明会を実施したり、広報活動を行ってその理解を求めることではないでしょうか。

第二点は、「みやぎ型」が県民不在のまま、着々と進行するなかで、今一度「公共サービス基本法」の目的・理念に立ち返って考える必要があることです。「命の水」→水道事業は他の公共資産とともに「社会的共通資本」として万民が共有するものです。水道事業の運営は、国民(県民)に情報が提供され、国民(県民)の意見が反映される、この両者の相互作用のもと実施されることが必須です(公共サービス基本法第3条)。「みやぎ型」がこの条件を備えているとは思えません。

第三点は、前代未聞のコロナ禍のなかで「みやぎ型」の再検討・再検証が必要だということです。コロナパンデミックは、これまでのグローバル経済の脆弱性を露呈しました。世界規模で展開する企業ですら存立が危ぶまれています。他方、公衆衛生の重要性や災害時の対応には、「民」とは違った「公」や「公営事業」が必須であることも強く認識させることにもなりました。
これまでの価値観で計画された「みやぎ型」が、コロナ後の社会を見通して再検討されることなく、従前のまま進められることに、私たちは不安の念をもっています。行政を担う者の時代を見通す目が試されていると思います。

今回の回答で明確になったことが二点あります。

一点目は、殆どの回答が、質問に対するまともな回答になっていないことです。私たちは3月13日に公表された多数の公募関係資料を読み込んで質問しています。これら資料で明確でない点、曖昧な点、概括的で詳細不明な点などを質問したのですが、受け取った回答は、これまでと同様の曖昧な説明を繰り返したものに過ぎません。また、公表されている資料に書いてある、という型通りの回答もありました。以上を見ると、県は、質問に対し真摯に答えたとは到底思えません。
二点目は、「質問2・3」に対する回答です。コスト削減額は、やはり「期待値」にすぎなかったことが、質問に対する回答書という公的文書で改めて明らかになったことです。改めて「みやぎ型」の導入に不安を抱かせるものとなりました。

 以下、中心的質問に対する県回答について当ネットワークの見解を表明するものです。

(2)宮城県回答から明確になったこと

@(質問1 回答)
 これでは水道事業専門職員の人材育成や技術継承は進まない

 私たちは質問状で民間の運営権者に運営を任せることで、県職員は「現場実務」から現状よりさらに遠くなり、OJTの場を失い、運営権者が適切な事業運営をしているかをモニタリングすらできなくなってしまい、運営権者の投資判断の適切性も判断できなくなるという懸念を表明しました。県回答はこのことには全く触れず、ただ「各種マニュアルの整備、研修等と外部機関の研修会への参加」と述べるだけで、実質的に人材育成や技術継承の道筋を示すことはできませんでした。これでは水道事業の将来の困難性を高めるだけです。

A(質問2・3 回答)                              
 「期待値」のコスト削減効果は「砂上の楽観試算」でしかない

 県は、みやぎ県政だより(5・6月号)特集も含め、「みやぎ型」によるコストの削減により、将来想定できる水道料金の引き揚げ幅を「1割程度抑制する効果」が期待できると説明してきました。「1割程度抑制効果」の根拠は、2回にわたる、マーケットサウンディングで「関係する企業(35社)に対する聞き取り調査」により「期待削減率」を算出して、20年間の収益的収支をシミュレーションした結果、事業費削減額約247億円、運営権者分約197億円と見積もったと公表しています。
 私たちは「では、マーケットサウンディングでは関係する企業はどのようにコスト削減内容を示したのか?期待削減率設定の根拠は?」と質しました。
 しかし、県は、質問には直接答えず、「民間業者の意見を参考にし、県が実現可能性のある数値として設定した」と回答しました。公表されているマーケットサウンディングでは、コスト削減について民間業者は県が期待するような内容や数値でほとんど回答していません。根拠となるコスト削減を数値化できなかったので、県は「みやぎ型管理運営方式を導入するからには1割程度のコスト削減ができないと意味がない」と、エイヤアと置いたのが「期待削減率」の本質であると私たちは表明してきました。今回の回答は、私たちのこうした見解を覆すことが出来ませんでした。
 このように根拠が曖昧なまま、県がなんとかひねり出した期待削減率によってシミュレーションした20年間のコスト削減効果なるものは、「砂上の楽観試算」そのものです。
 そして、197億円のコスト削減内容を盛り込んだ契約をするからコスト削減は間違いなく実現するとしていますが、仮にそうした契約をしたとしても、コスト削減が実現しなかったときのペナルティや対応方法については何も明らかにされていません。

B(質問4 回答)
 水質管理は現行の検査・試験内容をそのまま保持することをなぜ求めぬ

 「みやぎ型」の「要求水準書」において、現在県が公表、管理している水質検査計画、水質管理基準を「参考にすること」としかされていません。県は「上水・下水とも水質は現行と同等、また水質管理体制は現行と同等以上」とすることを求めるのだから、水質検査計画や水質管理基準を、「参考にする」のではなく、現行のまま運用することで何の問題も発生しません。県が「参考にする」とあえて「要求水準書」に記載することがかえって疑念を生じさせているのです。「みやぎ型」において現行の検査・試験内容をそのまま保持することをなぜ求めないのか、疑問は解消されませんでした。

C(質問6 回答)
 海外での再公営化の教訓は判らないなら「判らない」と回答せよ

 私たちは、海外での水道事業再公営化を巡って、厚労省の検討会で提供された海外での水道事業再公営化に関する資料をもとに、再公営化の原因で多かった原因とされるもののうち「水道料金の高騰」と「水道施設の管理運営者のレベルの低下」の二つについて、県はどのように教訓化したのかを質しました。しかし、県はこの質問に正面から回答しませんでした。回答しないというより、回答できない、という方が正確でしょう。端的に言えば、県も厚労省等の資料の範囲でしか状況を把握できないため、十分に教訓化できるまでの素材がなかったため、回答不能なのです。判らないなら「判らない」と回答すればいいのです。

D(質問9 回答)
 なぜ経費削減内容を詳しく説明しない?「スケジュールありき」は許されない

 私たちは下水道事業に関連して「下水道事業で経費削減を見込んでいる経費費目ごとにとのように削減しようとしているのか」を質しました。しかし回答は「質問3で回答したとおりです。」というものでした。私たちは「質問3」で「3事業ごと、経費費目ごとに示す」ことを求めたのですが、県はそれには全く回答していないのです。回答していない回答を「回答したとおりです」というのも不思議な回答ですが、要するにまともに回答していないわけです。
 県が掲げる「みやぎ型」導入の目的は「民間の力を最大限活用することにより、経費削減、更新費用の抑制、技術継承、技術革新等を実現し、持続可能な水道事業経営を確立する」ことにあります。その最も重要な肝は「経費削減」なのです。しかし、その具体的内容を質すと、質問に対しその論点ずらしまともに回答しない、説明しないというのは、県民理解を曖昧にしたまま、「スケジュールありき」で進めようとしている現在の県のスタンスを象徴するものです。

 今回の公開質問状に対する県回答は到底納得できるものではなく、「みやぎ型」導入は水道民営化に道を開くのではないかという県民の疑問と不安に答えるものではありませんでした。当ネットワークは県に対して今回さらに明らかになった点を中心に、県民議論を深めるため、第二次公開質問状を今秋に提出することを表明します。

以上

写真は東北放送テレビの報道です(8月13日)
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