日本高次脳機能障害友の会
第19回全国大会2019 in 香川 アピール文
今回の全国大会は、「それぞれが自分らしく心豊かに生活しあえる社会を目指して」をテーマとし、開催致しました。
平成28年4月1日に施行された障害者差別解消法は障害のある人もその地域、そして教育や就労の現場などで、他の人たちと平等を基礎として整えられるべき「合理的配慮」を掲げています。しかし、各地においてさまざまな問題点が挙げられている一方で、高次脳機能障害の問題は見えてきておりません。高次脳機能障害のバリアは、私たちを取り巻く社会、そして一人ひとりの心の中にあります。
高次脳機能障害に理解のない社会では心のバリアフリーは不可能です。また、福祉の制度においても、高次脳機能障害に沿った福祉制度になっておりません。そこで、私たちは、高次脳機能障害者が安心して暮らせる社会づくりのために、昨年に続き、次の1点を強くアピールします。
高次脳機能障害支援法(仮)を成立させ、一般社会への啓発をより進めていきます。 現行の福祉制度は身体、知的、精神の3障害に視点を当てたものが多く、高次脳機能障害に適した福祉サービスが非常に不足しています。高次脳機能障害者が心豊かに生活していくため、個々の障害の特性に見合った福祉制度を求めます。また、小児の高次脳機能障害の支援も発達障害に隠れて、高次脳機能障害児の支援は言葉すらないのが現状です。これは今、国が進めている障害者差別解消法に則していないことになります。
私たちは高次脳機能障害支援法(仮)の成立を目指し、社会一般の啓発が促進され、差別のない社会になることを要望していきます。
令和元年10月19日
日本高次脳機能障害友の会第19回全国大会in香川、参加者一同
日本高次脳機能障害友の会
第19回全国大会2019 in かがわ に行ってきました
10月18日、午後6時よりの交流会では、全国より当事者、家族、支援者合わせて265名出席の下、交流を深めました。
翌19日の全国大会は香川県県民ホールにおいて450名出席の下、今年度のテーマである「それぞれが自分らしく心豊かに生活しあえる社会をめざして」と題し、高次脳機能障害に関係する方々により発表、報告がありました。
基調講演1-1では、香川大学医学部附属病院脳神経外科助教 畠山哲宗先生より「高次脳機能障害の画像診断について」と題し、高次脳機能障害の原因となる疾患別の画像により詳しく説明がありました。
基調講演1-2では、かがわ総合リハビリテーション病院副病院長 河井信行先生より「脳外傷後高次脳機能障害『臨床の現場から見えたこと』」と題し、
1.高次脳機能障害の今日的問題
・見逃される可能性がある症例
・病変が検出できない症例
・社会的行動障害が目立つ症例
・小児の症例
2.高次脳機能障害者の自動車運転再開
について一般論から具体論について説明がありました。
基調講演2では、名古屋市総合リハビリテーションセンター自立支援局長 鈴木智敦先生より「これからの高次脳機能障害児・者をささえる し・く・み」と題し、現在の高次脳機能障害が障害者支援法の中で組み入れられている状況から、さらに高次脳機能障害者支援法(仮)の制定と地域の支援体制の再構築の必要性について説明がありました。
シンポジウムでは「本人の思いに沿った充実した生活につながった方への支援について」と題し、当事者にかかわった介護支援専門員、生活支援員、作業療法士の方々が、それぞれの立場での発表がありました。