苫小牧市を例に考えてみましょう。
給食費は食材購入にのみ充てられ、
1食当たり小学校で211円、中学校で252円でした。
人件費、維持管理費などは別に200円くらいで、
それは市の予算から出ています。
(16日のブログ参照)
例えばスーパーで売られている弁当、
280円とか300円とかのものがあり、みかけは問題ありません。
現実に、給食の単価と同じような価格で一般に売られています。
以前は、「こんな価格で食事を提供できないよね。給食って貴重だよね」
というのが定説でしたが、今は、そうではないのです。
人件費、維持管理費などを含まれれば給食の単価は400円を超えるわけだし。
実際に、250円〜300円の単価で
給食の提供を請け負う企業が表れるでしょうか?
私は充分に可能性があると思います。
それには「食材購入も全て任せる」という条件がありますが、
その条件は市の割り切り一つで充分にクリアできると言うことは
前回、前々回のブログで書いて来ました。
給食は、春、夏、冬休みがあるとはいえ、
売れ残りを心配することもなく、
安定して販売することができるものです。
また、この規模の給食に対応することのできる企業なら、
独自の食材調達ルートも持っているでしょうから、
調理員だけを派遣するような現在の形より、
食材購入も任せてくれた方が利益を上げる要素が増えます。
(例えば、調理はA社が請け負い、そこが収支トントンにしかならなくても、食材を納品する会社Bがグループ企業なら、そっちで利益を上げることができるのです)
肝心の設備も、
一度に9000,5000食を作れる設備を自分で用意することも無く
借りて使えるということになれば、十分なのではないでしょうか。
では、市が学校給食を全て民間に任せると決断したとき、
どのように市民、学校、議会を説得するでしょうか。
市民に対しては、
その企業が示した単価が例えば少し高い300円であっても、
人件費、維持管理費等にかかっている税金で負担している費用を示して
「これは税金で今まで払ってましたが、この分がなくなるのです」
ということを強くアピールするでしょう。
全面撤退なら給食費を集める手間もなくなるのも魅力です。
学校は、そもそもよく分ってないから問題になりません。
議会は、「安全が守られるなら」とだけ言い、賛成するでしょう。
だって、自分の子が給食を食べてるという世代の議員は圧倒的に少ないし、
男ばっかりだし。
調理部門の民間委託に反対しなかったわけだから、
全面撤退に反対する理由もないでしょう。
あくまでも仮定の一つでしかありませんが、
全く可能性がないことではありません。
実際、調理部門の民間委託の話は、ずーっと前にも一度ありました。
その時は、反対の声が強く撤回されましたが、今回はほぼすんなりです。
こんなふうに社会は変わって行くのです。
苫小牧市が給食から撤退することがあるとすれば、
第1センターの民間委託の実績がある程度固まって、
第2センターの建替えが本格的に議論される頃だと
私は思います。
さて、では自治体が給食から全面撤退することに問題は無いのか?
私はあると思っています。
次回は、そのことについて考えます。