自治体が学校給食から完全撤退する日 [2012年05月17日(Thu)]
苫小牧市を例に考えてみましょう。
給食費は食材購入にのみ充てられ、 1食当たり小学校で211円、中学校で252円でした。 人件費、維持管理費などは別に200円くらいで、 それは市の予算から出ています。 (16日のブログ参照) 例えばスーパーで売られている弁当、 280円とか300円とかのものがあり、みかけは問題ありません。 現実に、給食の単価と同じような価格で一般に売られています。 以前は、「こんな価格で食事を提供できないよね。給食って貴重だよね」 というのが定説でしたが、今は、そうではないのです。 人件費、維持管理費などを含まれれば給食の単価は400円を超えるわけだし。 実際に、250円〜300円の単価で 給食の提供を請け負う企業が表れるでしょうか? 私は充分に可能性があると思います。 それには「食材購入も全て任せる」という条件がありますが、 その条件は市の割り切り一つで充分にクリアできると言うことは 前回、前々回のブログで書いて来ました。 給食は、春、夏、冬休みがあるとはいえ、 売れ残りを心配することもなく、 安定して販売することができるものです。 また、この規模の給食に対応することのできる企業なら、 独自の食材調達ルートも持っているでしょうから、 調理員だけを派遣するような現在の形より、 食材購入も任せてくれた方が利益を上げる要素が増えます。 (例えば、調理はA社が請け負い、そこが収支トントンにしかならなくても、食材を納品する会社Bがグループ企業なら、そっちで利益を上げることができるのです) 肝心の設備も、 一度に9000,5000食を作れる設備を自分で用意することも無く 借りて使えるということになれば、十分なのではないでしょうか。 では、市が学校給食を全て民間に任せると決断したとき、 どのように市民、学校、議会を説得するでしょうか。 市民に対しては、 その企業が示した単価が例えば少し高い300円であっても、 人件費、維持管理費等にかかっている税金で負担している費用を示して 「これは税金で今まで払ってましたが、この分がなくなるのです」 ということを強くアピールするでしょう。 全面撤退なら給食費を集める手間もなくなるのも魅力です。 学校は、そもそもよく分ってないから問題になりません。 議会は、「安全が守られるなら」とだけ言い、賛成するでしょう。 だって、自分の子が給食を食べてるという世代の議員は圧倒的に少ないし、 男ばっかりだし。 調理部門の民間委託に反対しなかったわけだから、 全面撤退に反対する理由もないでしょう。 あくまでも仮定の一つでしかありませんが、 全く可能性がないことではありません。 実際、調理部門の民間委託の話は、ずーっと前にも一度ありました。 その時は、反対の声が強く撤回されましたが、今回はほぼすんなりです。 こんなふうに社会は変わって行くのです。 苫小牧市が給食から撤退することがあるとすれば、 第1センターの民間委託の実績がある程度固まって、 第2センターの建替えが本格的に議論される頃だと 私は思います。 さて、では自治体が給食から全面撤退することに問題は無いのか? 私はあると思っています。 次回は、そのことについて考えます。 |