行政は給食を止められない代わりにどうしたか? [2012年05月15日(Tue)]
できればやめたい学校給食。
でも「やめる」と言えない学校給食。 「学校給食は教育の一環」という看板を下ろさずに、 経費削減をする方法。 それが、調理部門の民間委託またはPFIという手法でした。 前者は、調理員部門を民間会社に任せることでその費用を安くあげるというものです。 ただし、調理施設などは市が買ったものそのまま使うので、 受託した民間会社の経費は、 調理員の人件費、光熱水費、洗剤や包丁などの道具類です。 ほとんどが人件費と言っていいので、 要するに調理部門の民間委託とは、調理員の人件費を安くするということです。 栄養士が自治体の職員で、 食材の購入も自治体が行うので、 (名義上は、学校とPTAで組織する学校給食会という半官半民みたいな組織) 「『教育の一環』としての責任は形式上も実務上も守られる」 という理屈になります。 法律的にも、自治体は学校給食を提供するなら、 その栄養を管理する専属の栄養士を置いて 給食の内容を管理させなければならないことになっているので それもクリアできます。 一方、PFIは、 (ごく簡単に説明するために、代表的な手法を紹介します) 民間企業に給食センターを建てさせ、 そこに調理部門も任せてしまい、 建築にかかる費用も調理にかかる費用も、 一括して給食購入費としてその企業に支払うという方法です。 (給食購入費には、自治体の予算と保護者が負担する給食費が充てられます) (「食材は学校給食会が購入する」なら、自治体の予算と給食費の一部が充てられる) この方法でも、栄養管理を民間委託の時と同じようにするなら 「教育の一環」という言葉は守られるということになります。 さて、この線でとどまり続けるでしょうか? 例えばPFIなら、民間企業から自治体が給食を購入して子どもたちに配るわけです。 これは、「自治体が学校給食を実施している」のではなく、 「自治体が学校給食を買って子どもに配ってる」のです。 「自治体が仕出し弁当を配って全部の児童・生徒に配ってる」と同じ意味です。 最初に自治体が直接やっていた学校給食があって、 その後にPFIという制度が続いたから、 あたかも自治体が提供しているように見えますが、 PFIのスタートを始まりとしてみれば、 自治体は学校給食事業を行っているのではなく、 安いところから「給食という名の仕出し」を買って配っているということが見えて来ます。 自治体の栄養士が献立を作るということが、 その事実の目くらましとして効いていますね。 |