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ペルーアマゾン便り

南米ペルーのアマゾン地域でNPOアルコイリスが行っている国際協力事業を中心に報告するブログリポートです。対象地域はペルーの中央ジャングルにあるウカヤリ州で、主にアグロフォレストリーを中心とした、コミュニティトレードと伝統植物の活用促進を目的としています。
このブログではNPOアルコイリスの活動と自分が参加している日系社会、それからペルーの情報を記載しています。


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歩くヤシCashapona [2019年11月09日(Sat)]
ペルーでカシャポナと呼ばれているヤシの学名はSocratea exorrhizaで、中南米の熱帯ジャングルに自生しています。英語では「Walking Palm」とも呼ばれており、根は日の当たる方向へどんどん伸びて行き、日の当たらない方向は枯れて行きます。数年、数十年とゆっくりではありますが、場所を移動します。インターネットで検索した限りでは「日光探し説」は一番広がっている見たいですが、プカルパでは日光だけではなく、土壌の栄養成分にも反応して動くと言われています。カシャポナ以外に、ワクラポナ(学名:Iriartea deltoidea)も「歩くヤシ」と呼ばれていますが、Kizuna農園にまだないので、今回はカシャポナを中心に紹介します。

casha ponaIMG_0316.JPG
Kizuna農園で成長している
若いカシャポナです。

casha ponaIMG_6016.JPG
若いカシャポナの根です。
数本〜数十本の「支柱根」だけで
植物全体を支え、「幹」は浮いている様な
感じになります。

casha ponaIMG_6500.JPG
熟成すると高さ20メーター、
直径20cm近くまで成長します。
Kizuna農園には残念ながら
ここまで成長したカシャポナは
まだありません。

casha ponaIMG_6503.JPG
支柱根だけで高さ2メーター前後まで
成長し、実を守るために根全体に
トゲトゲがあります。


現地の人々と話をして行くうちに、カシャポナやワクラポナにはいくつかの利用用途があることが分かりました。一般的には幹は非常に硬いため、木材建築の材料(高床式住居の床や壁)、弓矢作り、笛やトランペットの様な楽器作りに使われています。金属性のおろし金が普及する前は熟成した根をバナナやキャッサバ芋を摩り下ろすために使われていたそうです。それから、先住民族の間では新根をIsula(イスラ)と呼ばれるアリ(サシハリアリ:本種に刺された時の痛みはあらゆるハチ・アリの中で最大であるとされている)に刺された痛みを和らげるために用いられているそうです。樹液には止血作用があるとされ、出血を伴う傷口に使われ、硬い種は狩用のパチンコ玉として使われています。

カシャポナの面白話としてマエストロLindolfiz氏が実際にジャングルで見た出来事を紹介します。「若い頃、原生林で木材関連の仕事をしているとき、小さな猪が凄い勢いでジャガー(学名:Panthera onca)から逃げている光景を見たことがある。あ〜ダメだ〜追いつかれると思った瞬間、猪はカシャポナの支柱根の間に入り込んだんだよ。猛スピードで追いかけていたジャガーは根のトゲにぶつかって胸や足から血を流しだした。数十分間どうにか猪を捕まえようとしたけど、最終的には断念して森に姿を消した。10分後ぐらいに猪はカシャポナの支柱根から出て、群れに帰っていた。僕はその間ずっと木の上から見ていたよ。危険だったから、ジャガーを姿を消してからもう30分近くじ〜っと様子を見て、落ち着いたのを確認してから降りたよ。ジャガーは木登りも得意だから、内心冷や冷やしていた」と笑いながら話してくれました。お陰様で歩くヤシは人間だけではなく、動物たちにとってもありがたい存在だと知ることが出来ました。

いくらジャングルが好きでも、個人的にはお腹を空かせたジャガーとは遭遇したくないですね。近くに成熟したカシャポナやワクラポナがあればまだましですが・・・がく〜(落胆した顔)ふらふら
Ajosquiro [2019年11月08日(Fri)]
Ajosquiro(アホスキロ、学名: Gallesia integrifolia)は高さ30メーター、直径140cmを越える巨木で、ブラジル、コロンビア、ボリビア、ペルーで自生しています。ペルーアマゾンではマスター植物にとされており、先住民族の間では広く使われています。「ニンニク」に似た強い香りが特徴的で、遠くからでも感じられるぐらい強烈です。

Ajoskiro R1081675.JPG
ワヌコ州オノリア村で初めて見れた
アホスキロの巨木です。


伝統的には葉っぱの煎じ茶は虫下し、リュウマチ、リンパ系の問題や解熱剤として使われています。近年の研究では抗酸化作用、抗炎症作用、抗癌作用、抗菌・抗ウィルス特性が見つかり、エッセンシャルオイルは淋病に効果があるとされています。

主な含有成分としましてはサポニン、アルカロイド、フェノール類、フラボノイドが挙げられており、中でも「没食子酸」、「ルチン」、「モリン」などが注目を浴びています。

スピリチュアルの世界ではネガティブなエネルギー、悪霊、風邪などを浄化する作用があるとされ、葉っぱや樹皮をハーブ浴にして心身を洗い流す習慣があります。アヤワスカセッションでもアホスキロの精霊は非常に大切にされており、多くの場合はセレモニー中にイカロス(聖なる歌)が捧げられます。マエストロのLindolfiz氏もアホスキロのイカロスを作曲し、毎セッション用いています。

シャーマン界ではディエタ(アマゾン食事療法)に用いられていますが、食事制限が厳しく「甘味料、調味料、塩、唐辛子、コーヒー、タバコ、セックス、肉類、乳製品、ドラッグ、薬など」がNGとされています。制限を破ってしまうと身体にかかるしっぺ返しは非常に危険で、適切な対症療法を行わないと命への危険性が発生するとまで言われています。ディエタを上手く乗り越えると期待できる効果がいくつか挙げられています:

 自然界との繋がりが強化される。
 精霊たちの声が聞き取れる様になる。
 邪気を跳ね返す力が強くなる。
 ビジョンが鮮明に見えたり、聞こえたりする。
 ビジョン内ではより深い世界に入れる様になる。
 シャーマンを目指す人たちには欠かせない植物。

アホスキロ・ディエタには非常に興味はありますが、原料が中々手に入らず、まだ試したことがありません。

Ajoskiro R1081674.JPG
樹皮を軽く削るとニンニクに似た
強烈な香りが漂います。
葉っぱの匂いも嗅いで見たかったのですが、
届く高さにはなく、30分ほど探し回った後
断念しました。


近年の大量伐採により、見かけることが稀になり、個人的には今年初めて実物を見ることが出来ました。残念ながら種や苗が見つからず、Kizuna農園には未だにありません。農園を購入した当初から欲しいマスター植物の一つでありますので、めげることなく探し続けたいと思っています。
パラパラ [2019年11月07日(Thu)]
Para Para(パラパラ、ザミア属、学名:Zamia ulei)の根芋には男性の性機能増強効果があることから知られています。「Para」はスペイン語では「立ち上がる」と言う意味があり、文脈によっては「止まる」と言う意味もあります。この植物はブラジル、コロンビア、エクアドルとペルーに生息していると言われています。

Para para R1081390.JPG
娘の後ろに見えるヤシの様な植物が
パラパラです。大きいものでは
3メーターを越えるそうです。


子供の頃から聞いた植物でしたが、ウカヤリ州で仕事をする様になって、始めて実物を見ることが出来ました。正直、最初の頃はあまり興味がなかった植物ですが、農園で10年かけて育てたパラパラが花を咲いたことから興味を持つ様になりました。

Para para R1081528.JPG
紫トウモロコシの様な形の
花です。大きさは50cm近くあって
触ると硬くて、表面はザラザラしています。

Para para R1081548.JPG
今回初めて農園で見つけた
パラパラの花は10歳の娘の
顔より大きいです。


農業技師や環境技師がKizuna農園に来ると「パラパラの花は初めて見た」と言う声が多く上がり、「今ではこの植物の花すら見ることが珍しいんだ」と気付かされました。インターネットで情報を探してみると、精力剤効果については殆ど見つからず、逆に国際自然保護連合のレッドリストカテゴリの「絶滅危惧II類 (VU)」に指定されていることが分かりました。この植物の成長は非常に遅く、森林伐採、焼け畑農業、観葉植物や薬用ハーブとしての販売が主な原因であると言われています。コロンビアでは絶滅危惧種に指定されたザミア属の保全活動が行われており、ザミア属の多くは恐竜時代から殆ど形を変えずに生き延びたことから「生きた化石」とも呼ばれているみたいです。

スペイン語ですが、絶滅危惧についての記事を紹介します:
- S.O.S. en Colombia por fósiles vivientes de plantas milenarias
- Los fósiles vivientes de Colombia que podrían extinguirse
- Lanzan SOS por fósiles vivientes de plantas milenarias

paraparaIMG_20180121_115317.jpg
パラパラの芋です。

para paraIMG_20180121_115335.jpg
写真の芋はまだ若く、
大きいものでは数キロにも
及ぶと言われています。
いつかパラパラの巨大な芋が見られる日を
楽しみにしています。


効果についてインターネットで調べたところ、情報が殆ど見つからず、根芋の有効成分報告も見つかりませんでしたふらふら。ブラジルマナオス州の一部とペルーで伝統的に精力剤として使われている情報は稀に見かけますが、細かい内容はほぼ0でした。面白い情報としましては「茎には草食動物から身を守るためのトクシンが含有しており、抽出したものを虫除け、寄生虫剤としての効果研究」が見つかりました。

マエストロのLindolfiz氏に話を聞いたところ、「ウカヤリでは古くからパラパラの根芋を精力剤として使われているよ。強いサトウキビ酒(40°以上)に数ヶ月漬け込んで飲んだり、先住民族の間では根芋を乾燥させ、Mazamorra(フルーツチェやゼリーの様なもの)を作り、サトウキビ酒を保存剤として1:1の割合で使い、土壷に入れて、3ヶ月近く土の中に埋めた状態で寝かせたものを飲んでいたよ。でも最近あまり見なくなったよね。。。」と昔を思い出す悲しい眼差しを浮かべました。「病院や薬局が普及してから、先住民族たちの多くは伝統医療を忘れ、薬に頼る傾向が多くなってきているよ。ついこの間まで、アマゾンの薬草だけで多くの病を治していたのにね・・・それに植物に対する尊敬と信頼が薄れてくると、資本主義社会に誘惑されやすくなり、なんの罪悪感もなく、大量に伐採したり、燃やしたりするんだよね・・・」と付け加えていました。

ここまで分かってしまうと農園にあるパラパラは非常に可愛く見える様になりました。これからは大切にしながらどんどん増やして行きたいと思っています。面白い有効成分が見つかれば、成長が遅いことから、持続可能なアフロフォレストリー栽培モデルの開発が不可欠となります。現在モデルがあるわけではないので、必要に応じて試行錯誤で進めることになります・・・

面白い情報が見つかればこれからも紹介して行きたいと思います。



Copal [2019年07月24日(Wed)]
ペルーのシャーマニズム界では砂漠、アンデス、アマゾン地帯を問わず、場や空間を清めるために乾燥芳香植物を焚いています。各地帯で使われる植物は変わりますが、どこ行っても共通に使われているのはPalo Santo(パロ・サント、学名:Bursera graveolens)とCopal(コパル、カンラン科ブルセラ属)があげられると思います。インターネットで情報収集していたら、両植物は同じブルセラ属であることに気がつきました。きっと偶然ではないと思っています。パロ・サントはペルー北部の海岸地帯、コパルはアマゾンでメインに自生しています。ペルーで、これらの植物の利用の歴史は古く、プレ・インカ時代からだとされ、インカ帝国の神とされていた太陽を祭る際、黄金のプレートで焚いて、必ずささげられていたそうです。

CopalIMG_6743.JPG
プカルパの市場で購入した
コパルです。写真で石の様に見えるのは
コパルの木の樹液が固まったものです。
この木の伐採が激しく、年々手に入れるのが
難しくなっており、値段も跳ね上がっています。

Copal PaloIMG_6747.JPG
リマの市場で購入したパロ・サントです。
コパルとは違い、パロ・サントの場合は
木や枝を燃やします。エクアドルやペルーでは、
創造力を高め、幸運をもたらすといわれています。
近年、ワシントン条約で保護対象となり、無断伐採は
出来なくなりました。ペルー政府が認定した企業だけが
正式ルートで販売が出来るとされていますが、
違法伐採はまだまだ続いているようです。


ペルーに帰国した2010年当時から、アマゾン産のコパルに興味があり、ずっと植物が見たいと思っていましたが、殆どが伐採され、どこを探しても長年見ることが出来ませんでした。マエストロであるL氏と「いつかKIZUNA農園にコパルが成長する姿が見たいね」と度々話していましたが、苗や種すら手に入れることが出来ないでいました。手に入れるのがもう無理じゃないかな〜とあきらめかけていたところでした・・・そしてな〜んと、5月の終わり頃、マエストロと農園の森の整備をしているとき偶然にもコパルの木を見つけました!!!

CopalR1081427.JPG
KIZUNA農園の2次林を整備している
最中、マエストロがコパルの木を
見つけました。写真の右側の木がそうです。
今まで何度も通った場所でしたが、
見過ごしていました。ま〜僕は見たことが
なかったので、マエストロがいなければ
ずっと素通りだったと思います。

copalR1081435.JPG
確認するために、マエストロは
木に小さな切り目を入れ、木片の
香りや樹液を慎重に見ていました。

CopalIMG_6565.JPG
コパルの木であると確認したら
マエストロは今まで見せたことが
なかった子供の様な笑顔を浮かべ、
木に感謝しながら、長く抱きしめていました。


コパルの木を見つけた日、マエストロは「僕たちは本当に恵まれているよ、この農園は僕たちの声や願いを聞いてくれている様だよ。今まで欲しいと思った植物は殆ど自然に見つけているよね。農園を購入した当時、一緒に苗を事前に準備していた『Poma Rosa、Uvilla、Sapote』は森を散策していたら見つかったよね。そして難しいと思っていた『Achuni Sanango』も見つかり、そしてあきらめかけていたコパルまで見つかったよ。心の奥から感謝しないとね・・・」と胸の高まりを隠せないで話していました。

それから「伝統医療の目からしてコパルは身体を暖める作用があるとされ、呼吸疾患によく使われているよ。葉っぱや樹液(少量)お茶にして蜂蜜で味を調えたものを飲むといいよ。燃やすことによって身体全体がリラックスし、頭痛を抑える作用もある。昔は固まった樹液を手作りの袋に少量入れて、病気にならない様に子供たちに持たせていたと聞いたことがある」と説明してくれました。

イギリスのカーディフ大学の研究によれば、コパルを焚くと次の様な効果が期待できると報告されています:「血圧を下げる、モチベーション、想像力、自信や集中力を高める、不眠症や頭痛の改善など」。コパルの樹液の有効成分の中でも「インセンソールアセタート」が効能があると言われています。

CopalR1053605.JPG
今のペルーでは勿論黄金のプレートを
使っている人は見たことはありませんが、
缶をリサイクルして、手作りで写真の様に
仕上げます。
まずはパロ・サントを燃やして、炭化してから
コパルを入れます。

CopalR1053608.JPG
火を消して、赤く炭化したパロ・サントに
コパルの固まった樹液を入れるとなんとも言えない
特有で気持ち香りが漂います。


マエストロに言われた様に、KIZUNA農園や植物に対する感謝の気持ちは日々大きくなっています。
Jergon Sacha [2019年07月18日(Thu)]
以前、毒蛇のヘルゴン(学名:Bothrops atrox)について書いたとき、伝統的に解毒に用いられている「ヘルゴン・サチャ(学名:Dracontium loretense、Dracontium peruvianum、Dracontium spruceanum Schottなど)も紹介しましたが、地中に成長する芋の写真がありませんでした。自分の写真のデータベースを見ているうちに、何枚か見つかりましたので、紹介します。

IMG-20190119-WA0001.jpg
ヘルゴンサチャの芋です。
この大きさですとだいたい2年ものだと
思います。

IMG-20190119-WA0000.jpg

IMG_20170820_224213.jpg
Kizuna農園に一番最初に植えた
ヘルゴンサチャです。
この大きさになるまで、4〜5年
待たなければいけません。重さは
正確に測ってませんが、2Kg近く
あったかと思います。


成長するのに数年かかる上、プカルパでは本格的に栽培している人がいないので、市場に行ってもかなりいい値段します。植物の成長を5年間も見守っていると、可愛く見えてきますので、収穫するとき心が痛みますもうやだ〜(悲しい顔)ふらふら・・・でもヘルゴンサチャの場合は5年を過ぎた当たりから、腐ることが多いと聞いています。このブログの三枚目の写真のヘルゴンサチャも全体的に良かったのですが、一部柔らかくなり始めていました。おそらくそのままもう一年待っていたら、全体が腐っていたかもしれません。

ヘルゴンサチャについてもっと詳しい情報が欲しい方はアルコイリス、
インカの台所のページを覗いて見て下さい:
http://www.inkacocina.com/database/

ジャックフルーツ [2019年07月09日(Tue)]
ジャックフルーツ(学名:Artocarpus heterophyllus)は日本でハラミツ(波羅蜜)、ペルーでは「ジャカ」と呼ばれ、クワ科パンノキ属の常緑高木です。東南アジア、南アジア、アフリカ、ブラジルで果樹などとして栽培されており、原産はインドからバングラデシュと考えられています。ペルーにはブラジルから入って来たと言われています。今回のブログで紹介するジャックフルーツは日系人農家から分けてもらったものです。

ジャカは世界で最も大きい果物の中の一つと言われているジャカの実は、15Kg〜50Kgになる物もあるそうです。ジャカの木も大きく、幹回りが1メートル、高さが20メートルにもなります。ウカヤリ州では雨季の初め頃(12月)から実をつけ、3月頃から完熟したジャカを楽しめます。実はもちろん、皮そして種まで食べることできる栄養豊富なスーパーフルーツとして近年日本でも注目されている見たいです。

未成熟の頃は黄色みがかった緑色ですが、成熟すると全体が黄色になり強烈な甘い匂いがするのが特徴です。香りはドリアンと似ており、南国のフルーツ独特の甘酸っぱいような匂いがして、好き嫌いが分かれる匂いです。東南アジアなどでは樹の部分は家具や仏像、建材、楽器などに利用されいるそうです。

個人的には完熟したときの独特の香りや味があまり好きではなく、今まで相手にしていなかった植物ですが、アメリカから来たビーガンの友人にジャカが青いとき植物ミートとして使えることを教えてもらい、興味を持つ様になりました。

jacka IMG_5940.JPG
分けてもらった小さい方のジャカです。

Jacka IMG_6581.JPG
大きい方は50cm近くあって
重さは15キロ以上あったと思います。
料理専門家の按田さんがペルーに
訪れた際に撮った写真です。
Kizuna農園にも数10本のジャカを
植えていますが、残念ながらまだ小さく
実を収穫することが出来ません。
2、3年後から農園でも食べられる様になると
思っています。


ジャカは、ビタミンA、ビタミンC、リボフラビン、ナイアシン、チアミン、葉酸が豊富に含まれており、更にマグネシウム、カルシウム、鉄、カリウム、リン、銅、亜鉛、マンガン、セレンなどの重要なミネラルも含まれています。ナトリウム、コレステロール、飽和脂肪が少なく低カロリーです(カロリーは1kgあたりわずか95カロリー)。含まれる栄養素は、病気の予防、治療、抗癌作用、抗酸化など多くの病気の治療に有益だと言われています。

個人的には食物繊維の一種であるペクチンが豊富に含まれていることからジャカには腸内環境・微生物バランスを整え、便秘や胃腸の病に効果があるのではないかと思っています。

JackaIMG_6571.JPG
ジャカの実を切ると白いネバネバした液体が
出て、包丁、手や洋服につくと洗うのに
一苦労します。包丁やまな板は使う前に少量の
食用油を塗ると落としやすくなります。
写真では実を丸ごとボイルしています、こうすることに
よって液体が凝固し、出なくなりますので、
作業が進めやすくなります。

Jacka IMG_6573.JPG
軽く茹でた後に、皮をとり、
ある程度きざんで、食物繊維が
柔らかくなるまで煮込みます。

Jacka IMG_6583.JPG
1〜2時間近く煮込むと
硬い芯の部分まで食べられる様になります。

Jacka IMG_6598.JPG
果肉はキノコの様な食感となり、
癖があまりなく非常に食べやすいです。

Jacka IMG_6617.JPG
種の周りの果肉は芋の様な
食感となり、様々な料理に活用が
出来ます。種そのものも栗に似ており、
世界では愛用されています。


近々、按田専門家と試したレシピを紹介したいと思います。
サンタ・マリア [2019年06月15日(Sat)]
この植物はもともと知らず、KIZUNA農園の土壌が回復するにつれて、自然に現れてくれた植物です。おそらく何等かの動物が種を運んで、発芽したものだと思っています。

IMG_0187peq.JPG
農園で見つけた
サンタ・マリアです。


インターネットで少し調べている内に、学名はPiper Peltatum L.で、主に中南米に生息し、様々な症状に活用されていることが分かりました。伝統的に体内を浄化するための下剤、消化器系の症状、蛇の毒、頭痛、熱や吐き気、生理痛、動悸などに使われているそうです。別名:Basquina (プエルトリコ)、 monkey's hand (北米)、 mano de zopilote, santilla de culebra (メキシコ)、 caapeua (ブラジル)、cordoncillo、Santa Maria(ペルー)などと呼ばれています。

ネットで見つけた主な使用を下記にまとめてみました:

抗炎症作用(関節炎など):葉っぱ5gを急須に入れ、ゆっくり沸騰させたお湯を注ぎ、5分程度成分がお湯に溶け出すのを待ってから飲みます。お茶には発汗作用もあるとされています。それから、温めた葉っぱの湿布を患部に一晩つけることが進められています。

虫歯・口内炎:5gの葉っぱで煎じたお茶を飲んで、残った葉っぱを痛みや炎症がある部位につけます。

頭痛、発熱や身体の痛み:葉っぱ20gを500tのお湯で煎じて、冷ましてから頭にゆっくりかけます。葉っぱの湿布を患部につけても良いとされています。

利尿作用:5gの根っこを煎じて、1日1カップ飲みます。

皮膚病(傷口、疥癬など):焙煎した葉っぱの乾燥粉末を傷口につけるか、葉っぱの湿布を使用します。

けいれん、神経痛:花5〜6個お湯で煎じて、蜂蜜で味を調えて飲む。

吐き気:根っこ15gを1Lの水で煮だして、各食事の前に飲みます。

胃アトニー:葉っぱのエッセンシャルオイルを服用します。

妊婦や乳幼児の服用は禁止とされています。

IMG_02031.jpg
サンタ・マリアの花です。
形は長細いので「Cordoncillo(紐)」とも
呼ばれています。


主な含有成分としてchavicine(シャビシン), piperine(ピペリン)とlignans(リグナン)が上げられています。この中でもピペリンに面白い作用を見つけました:「ピペリンは胡椒にも含まれおり、さまざまな化合物の生物学的利用能を向上させる可能性があるとされ、人でクルクミンの生物学的利用能を2000%まで向上さると報告があります」。農園ではクルクマの少量栽培を行っているため、この情報は正しければ、将来的に「クルクマ+サンタ・マリア」の新商品が生まれる可能性が高いと感じました。
ISHANGA [2011年02月13日(Sun)]

12月の火事で工場の柵の一部が燃え、生えていた植物が死んでしまいました。ライン作業長が代わる植物をいくつか植え、その中の一つに「ISHANGA(イシャンガ)」を見つけました。一昨年チャンチャマヨ地域に行ったときも同じ植物が話題となり、記憶に残っていました。チャンチャマヨでは「CHALANCA(チャランカ)」と呼ばれていました。

以前紹介したブログです:CHALANCA


イシャンガの幹です。
葉っぱにはより細い刺毛があります。
今回、植えられたばかりでまだ葉っぱはなかったので、
写真を撮ることが出来ませんでした。
前のアルコイリスプロジェクト現地コーディネーターが
以前のブログで紹介していたので、写真をコピーして、
載せたいと思います。



イシャンガの葉です。


ネットで調べたら「イラクサ科」の植物だとわかりました。それから、葉や茎など全草に細かい刺がありアセチルコリンヒスタミンが含まれているので触ると痛いし、蕁麻疹を起こすとありました。

僕も実際に何度か触って見たことがありますが、刺毛の細さから想像できない刺痛が走ります。ライン作業長の話では「筋肉痛、関節痛、神経痛、頭痛、腹痛」など様々な痛みによいとされているそうです。ライン作業長も去年事故にあい、鎖骨、上腕骨を骨折し、治療後、肩を上げることが出来ず、握力もほとんどない状態となっていました。病院のリハビリをやっても思うような回復がなく、行くのを辞め、自分で「ISHANGA」を痛みの部位に押し付け始めたそうです。そしたら回復スピードが上がり、今では事故がなかったかのように動かせています。

考えてみると鍼治療と共通する部分があり、鍼理論では異物を体に刺すことにより、抹消循環の改善、痛みの緩和、局所免疫の増加作用があるとわかっています。「ISHANGA」の場合はアセチルコリンとヒスタミンが含まれるので、鍼より大きい局所作用があると思われます。そのかわり、それだけ痛いです・・・ジャングルでもし五十肩、関節痛、激しい筋肉痛に遭遇すれば、試してみる価値はあるかもしれません。

東洋で始まった鍼灸ですが、遠いアマゾンジャングルでも似たような発想で伝統治療を昔から行っていたのが驚きです。




MUCURA [2011年02月12日(Sat)]


工場の裏口の一角に大きな葉っぱを持った植物が、パパイヤの陰に隠れていました。葉っぱをちぎって手の上でこすると、不思議な香りが漂います。

ライン作業長に話を聞いてみると、ペルーでは「MUCURA(ムクラ)」と呼ばれているそうです。伝統医療では悪いエネルギーを洗い流すために使われていて、お風呂に入れたり、ムクラ水でシャワー浴びたり、お茶にして飲んだり、乾燥葉をお香のように使ったりするそうです。オーラが見える人にはムクラ水でエネルギーを浄化する前と後では違いがはっきりとわかるそうです。

インターネットで学名を調べてみたら「Petiveria alliacea」だとわかりました。この植物は思ったより注目されていて、単体でまたは他の薬草と組み合わせて、茎葉を利尿、堕胎、痙攣止め、解熱や下痢、頭痛、膀胱炎、憂鬱の治療に用いたり、浴剤にして回虫駆除に用いられたりします。根も同様に利尿や、膀胱炎、頭痛、水腫、リューマチ、脚気の治療などに使われています。実験段階では抗癌作用(免疫増強作用)や白血病を改善させるケースもあると報告されています。体に塗って虫除けやこうもり除けにも利用されています。

プカルパでは雨季に入りましたので、蚊が大量に発生しています。次回ムクラの虫除け作用を試してみたいと思います。

ネットで見つけた日本語の記事を紹介します:
http://www.nippon-shinyaku.co.jp/




工場裏で見つけたムクラです。





AYAHUASCA [2011年02月11日(Fri)]


ライン作業長が知り合いで栽培していたアヤワスカと呼ばれる植物を発芽させ、近々モデル植物農園に植える予定です。アヤワスカの学名は「Banisteriopsis caapi.」で、ペルー、ボリビアなどの先住民族の言語であるケチュア語で、「魂のつる」、「死者のロープ」という意味を持っています。

南アメリカのアマゾン川流域に自生するつる植物で、服飲すると、嘔吐を伴う強力な幻覚作用をもたらします。主にアマゾン西部の先住民族がシャーマニズムの儀式や民間療法、宗教儀式などに用いられています。

最近の研究では気分を調整する神経伝達物質であるセロトニンの再取り込み部位の増加を確認し、抗うつ薬と同様の効果が得られることが示唆されています。


ライン作業長が持ってきた
アヤワスカの種です。



1ヶ月前に発芽させたアヤワスカです。


環境によってまちまちですが、アヤワスカの場合、植えてから約3年で収穫できるそうです。ペルーでは数年前まで、自生しているものだけが使用されていましたが、自生アヤワスカを保護する法律ができ、栽培し始めた人が増加しました。


アヤワスカの幹です。



幹を切ると綺麗な花模様が現れます。




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