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ペルーアマゾン便り

南米ペルーのアマゾン地域でNPOアルコイリスが行っている国際協力事業を中心に報告するブログリポートです。対象地域はペルーの中央ジャングルにあるウカヤリ州で、主にアグロフォレストリーを中心とした、コミュニティトレードと伝統植物の活用促進を目的としています。
このブログではNPOアルコイリスの活動と自分が参加している日系社会、それからペルーの情報を記載しています。


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Jergon [2019年07月10日(Wed)]

先月、雨の日に猛毒蛇Jergon(ヘルゴン、学名:Bothrops atrox)がKIZUNA農園のキッチンの入り口付近で発見しました。アマゾンの有毒蛇は基本的に夜行性で、サイズは小さめで目立たないため危険だとされています。アマゾンでは特に子供たちに夕方6時以降は森を出歩かないことを注意すると共に、住居付近の落葉や雑草を綺麗に掃除し、有毒動物を発見しやすくしています。どうしても、暗くなってから森に行く場合は、強力なライトと長靴が必要不可欠となります。

プカルパで生活しだした最初の頃はかなり甘く見ていましたが、9年間で、ガラガラ蛇、Aguaje Machaco、Loro Machaco、Yacu Jergonなど数十匹の有毒蛇を発見していますので、森で仕事をする場合は必ず長靴を履く様にしています。昼間は寝てることは多い種ですが、落葉や草むらに隠れて寝ているため、誤って踏んでしまって、噛まれる事故が多いと聞いています。

このヘルゴンの毒は非常に強烈で、その主成分は出血毒であり、一瞬の毒の注入で、人の致死量の毒を体内に撃ち込むことが出来ると言われています。本種は中南米では最も危険な毒蛇の一つとされています。

jergon IMG_6290.JPG
見つけたヘルゴンです。
インターネットで成熟蛇は
長さ75〜130cmとありましたが、
今回のは50cm弱でしたので、
幼蛇だと思います。
もっとアップの写真を撮りたかったですが、
噛まれるのが怖く出来ませんでした・・・


jergon IMG_6292.JPG
昼間は寝ていることが多いですが、
今回はおそらく雨におこされ、
雨宿りのつもりで屋根がついている
キッチン付近まで移動したと思われます。


動物を殺すのは好きではないですが、有毒での場合は残念ながら駆除するしかありません。アマゾンでは駆除業者がないため、自分たちで行うしかありませんもうやだ〜(悲しい顔)。家族、友人やペットたちの命の危険性がありますので、残念ながら殺すしかありません・・・

アマゾン地域ではヘルゴンに噛まれた場合は、ヘルゴンサチャと言う植物を使うと良いとされています。ヘルゴンサチャの幹は蛇のヘルゴンに色が似ていることから、名前がつけられたそうです。この植物は日本でも有名なコンニャクの原料となっているコンニャク芋に似ています。

Jergon R1082081.JPG
この写真は植物のJergon Sacha(ヘルゴン・サチャ、
学名:Dracontium loretense、Dracontium peruvianum)の幹で、
伝統的にヘルゴンに噛まれた場合は毒を吸った後に、地中で成長している
ヘルゴンサチャの芋を掘り、摩り下ろして傷口付近を湿布して
包帯で巻くと命は助かるとされています。


ヘルゴンサチャにはウイルスや微生物の成長抑制、免疫強化作用、抗炎症作用、抗癌作用、糖尿病などにも効果があるとされ、90年代からロレート州で様々な研究が行われています。将来的にHIV、B型肝、癌炎患者の治療に使えるのではないかと期待されています。

個人的にはヘルゴンサチャにずっと興味を持ち、Kizuna農園でも少し日陰栽培して来ました。ヘルゴン蛇の特効薬として使った経験はまだありませんが、インターネットで情報を探すと蛇毒の中和作用やウイルスの成長抑制作用を科学的に裏付けている論文は少なくありません。科学的なデータはあるにせよ、今後も毒蛇治療の必要性がない様にお祈りしています

IMG_0186.JPG
ちょっと見難いですが、タイヤを目印にして
成長しているのがヘルゴンサチャです。
植えて2年近く経過しています。地中の芋を
収穫できるまで3〜5年待たなければいけません。
最近では無責任な収穫が多く、見ることが珍しく
なって来ました。
市場ではかなりの値段で売られています。

R1082076.JPG
ヘルゴンサチャの花です。
珍しい形をした花で、独特な香りを
持っています。

Jergon R1082093.JPG
ヘルゴンサチャの花です。


ヘルゴンサチャ芋の写真は残念ながら今手元にないため、今度紹介することをお約束します。それから、有効成分などについても紹介していきたいと思っています。
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