クスコ・シードセイバーズの防人
[2014年11月07日(Fri)]
クスコ出張中にペルーシード世界セイバーズ・ネットワークの一員であり、クスコでは「Proyecto Arariwakuna - Casa de Semillas de Choquepata(Choquepata区の種の家Arariwakunaプロジェクト)」を始めたA.D.さんと出会うことができました。
A.D.さんはペルー生まれですが、フランスで教育を受け、国連で仕事をした経歴も持っています。リーマンショックを分岐点として自分の人生の方向性を考え直した末、出身地クスコに戻ることを決心しました。クスコでは自分の家族に「遺伝子組み換え、化学農薬・肥料に汚染されてないピュアな食事を食べてほしい」と言う思いから、自分から自家採種を始めたそうです。
A.D.さんは「ペルーは世界でもっとも多様性を持つ国の一つでありながら、失敗に終わった農業・家畜業関連政策が数々あり、地域住民は大打撃を受け、高い貧困率・慢性栄養失調の中で生活を送っている。おまけに『遺伝子組み換え生物の国内への持ち込みと生産に10年間の猶予を設定する法律』は8年後に有効が切れるため、ペルーの多様性が大きな危機に直面する。ま〜このプロジェクトを始めた当初、この様な大きなことを考えず、ただ自分の家族、娘にヘルシーな食事をとって欲しいと言う一心で始めたけどね・・・最初、地域住民は『この外人頭がおかしいんじゃないか』と言われていたけど、粘り強くやったお陰で少しずつ地域農民が自分がやっていることに興味を持ち出してくれました。『外人』と言われても自分はペルー生まれだけどね(笑)、彼らからしてみると外の人に見えるみたい。それから学校の先生の仕事もやっているから、子供たちに種の大切さを教える様になった。そして2012年に開催された『第1回 ペルー・シードセイバーズ会議』に参加することが出来たお蔭で、ネットワークが世界的に広がって、活動が大きくなってしまったよ・・・簡単に説明するとシードセイバーズの役割は自家採種・自家消費をすることによって「固有の種」を守ることだよ」と話していました。
「初めの頃は自給用だけのために、ペルー特有の種を中心に自家採種・自家栽培を行っていたけど、プロジェクトが大きくなった影響で、参加農家の収入についても考えなければいけなくなった。今では自分たちが持っているシード・バンクから種をもらった人は、次の人に与えるために、同じ量だけ種を返さなければいけない。それから収穫した農作物の1/3は自給用、もう1/3は栄養バランスをよくするため対象農家同士での物々交換のため、そして最後の1/3は自分たちで定期的に開催する予定のフリー・マーケットで販売するため、と言う形にプロジェクトの方向性を変える必要性がうまれた」と付け加えていました。
日系人の血を引くA.D.さんは
日本のパーマカルチャーの専門家の本から
様々なアイデアを出して自家栽培を
行っていると話していました。
混合農法を積極的に行うことによって
無農薬でも害虫問題が抑えられるそうです。
「相性のいい植物、相性が悪い植物の
リストが『シード・セイバーズ・ネットワーク』を
通じて、常にアップデートされているよ」と
話していました。
A.D.さんが自宅に持っている
シードバンクです。
A.D.さんは非常に穏やかな性格を持っており、
活動の話を通じて我々の心を暖かく包んでくれたと
感じました。
最後に「今後、このプロジェクトはどう変わっていくかがわからないけど、自分たちの家族や子供たちのために自分なりに頑張って行きたいと思う。作物の多様性の喪失は、地球規模で非常に深刻で、国連農業食糧機関では、20世紀に農作物の遺伝的多様性の75%が喪失したと推定している。その原因は、紛争、気候変動、農業の近代化、グローバル化、開発など複合的だけど、大手企業の影響が多きと思っている。大きいことはできないかもしれないけど、自分たちの限られた予算の中でワークショップやシードセイバーズの活動を続けたいと思っている」と言っていました。
2時間ちょっとしか話すことができませんでしたが、非常に勉強になった出会いでした。T技師もこのプロジェクトに興味を持ち、なんらかの形でプカルパで再現したいと話していました。
ちなみにネットでいろいろ調べていたら日本にも「シードセイバーズ・ジャパン」があるのが分かりました。近い将来、日本とペルーがシード・セイバーズ活動を通じてつながって欲しいですね。
A.D.さんはペルー生まれですが、フランスで教育を受け、国連で仕事をした経歴も持っています。リーマンショックを分岐点として自分の人生の方向性を考え直した末、出身地クスコに戻ることを決心しました。クスコでは自分の家族に「遺伝子組み換え、化学農薬・肥料に汚染されてないピュアな食事を食べてほしい」と言う思いから、自分から自家採種を始めたそうです。
A.D.さんは「ペルーは世界でもっとも多様性を持つ国の一つでありながら、失敗に終わった農業・家畜業関連政策が数々あり、地域住民は大打撃を受け、高い貧困率・慢性栄養失調の中で生活を送っている。おまけに『遺伝子組み換え生物の国内への持ち込みと生産に10年間の猶予を設定する法律』は8年後に有効が切れるため、ペルーの多様性が大きな危機に直面する。ま〜このプロジェクトを始めた当初、この様な大きなことを考えず、ただ自分の家族、娘にヘルシーな食事をとって欲しいと言う一心で始めたけどね・・・最初、地域住民は『この外人頭がおかしいんじゃないか』と言われていたけど、粘り強くやったお陰で少しずつ地域農民が自分がやっていることに興味を持ち出してくれました。『外人』と言われても自分はペルー生まれだけどね(笑)、彼らからしてみると外の人に見えるみたい。それから学校の先生の仕事もやっているから、子供たちに種の大切さを教える様になった。そして2012年に開催された『第1回 ペルー・シードセイバーズ会議』に参加することが出来たお蔭で、ネットワークが世界的に広がって、活動が大きくなってしまったよ・・・簡単に説明するとシードセイバーズの役割は自家採種・自家消費をすることによって「固有の種」を守ることだよ」と話していました。
「初めの頃は自給用だけのために、ペルー特有の種を中心に自家採種・自家栽培を行っていたけど、プロジェクトが大きくなった影響で、参加農家の収入についても考えなければいけなくなった。今では自分たちが持っているシード・バンクから種をもらった人は、次の人に与えるために、同じ量だけ種を返さなければいけない。それから収穫した農作物の1/3は自給用、もう1/3は栄養バランスをよくするため対象農家同士での物々交換のため、そして最後の1/3は自分たちで定期的に開催する予定のフリー・マーケットで販売するため、と言う形にプロジェクトの方向性を変える必要性がうまれた」と付け加えていました。
日系人の血を引くA.D.さんは
日本のパーマカルチャーの専門家の本から
様々なアイデアを出して自家栽培を
行っていると話していました。
混合農法を積極的に行うことによって
無農薬でも害虫問題が抑えられるそうです。
「相性のいい植物、相性が悪い植物の
リストが『シード・セイバーズ・ネットワーク』を
通じて、常にアップデートされているよ」と
話していました。
A.D.さんが自宅に持っている
シードバンクです。
A.D.さんは非常に穏やかな性格を持っており、
活動の話を通じて我々の心を暖かく包んでくれたと
感じました。
最後に「今後、このプロジェクトはどう変わっていくかがわからないけど、自分たちの家族や子供たちのために自分なりに頑張って行きたいと思う。作物の多様性の喪失は、地球規模で非常に深刻で、国連農業食糧機関では、20世紀に農作物の遺伝的多様性の75%が喪失したと推定している。その原因は、紛争、気候変動、農業の近代化、グローバル化、開発など複合的だけど、大手企業の影響が多きと思っている。大きいことはできないかもしれないけど、自分たちの限られた予算の中でワークショップやシードセイバーズの活動を続けたいと思っている」と言っていました。
2時間ちょっとしか話すことができませんでしたが、非常に勉強になった出会いでした。T技師もこのプロジェクトに興味を持ち、なんらかの形でプカルパで再現したいと話していました。
ちなみにネットでいろいろ調べていたら日本にも「シードセイバーズ・ジャパン」があるのが分かりました。近い将来、日本とペルーがシード・セイバーズ活動を通じてつながって欲しいですね。
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