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歩くヤシCashapona
ペルーでカシャポナと呼ばれているヤシの学名はSocratea exorrhizaで、中南米の熱帯ジャングルに自生しています。英語では「Walking Palm」とも呼ばれており、根は日の当たる方向へどんどん伸びて行き、日の当たらない方向は枯れて行きます。数年、数十年とゆっくりではありますが、場所を移動します。インターネットで検索した限りでは「日光探し説」は一番広がっている見たいですが、プカルパでは日光だけではなく、土壌の栄養成分にも反応して動くと言われています。カシャポナ以外に、ワクラポナ(学名:Iriartea deltoidea)も「歩くヤシ」と呼ばれていますが、Kizuna農園にまだないので、今回はカシャポナを中心に紹介します。
Kizuna農園で成長している 若いカシャポナです。 若いカシャポナの根です。 数本〜数十本の「支柱根」だけで 植物全体を支え、「幹」は浮いている様な 感じになります。 熟成すると高さ20メーター、 直径20cm近くまで成長します。 Kizuna農園には残念ながら ここまで成長したカシャポナは まだありません。 支柱根だけで高さ2メーター前後まで 成長し、実を守るために根全体に トゲトゲがあります。 現地の人々と話をして行くうちに、カシャポナやワクラポナにはいくつかの利用用途があることが分かりました。一般的には幹は非常に硬いため、木材建築の材料(高床式住居の床や壁)、弓矢作り、笛やトランペットの様な楽器作りに使われています。金属性のおろし金が普及する前は熟成した根をバナナやキャッサバ芋を摩り下ろすために使われていたそうです。それから、先住民族の間では新根をIsula(イスラ)と呼ばれるアリ(サシハリアリ:本種に刺された時の痛みはあらゆるハチ・アリの中で最大であるとされている)に刺された痛みを和らげるために用いられているそうです。樹液には止血作用があるとされ、出血を伴う傷口に使われ、硬い種は狩用のパチンコ玉として使われています。 カシャポナの面白話としてマエストロLindolfiz氏が実際にジャングルで見た出来事を紹介します。「若い頃、原生林で木材関連の仕事をしているとき、小さな猪が凄い勢いでジャガー(学名:Panthera onca)から逃げている光景を見たことがある。あ〜ダメだ〜追いつかれると思った瞬間、猪はカシャポナの支柱根の間に入り込んだんだよ。猛スピードで追いかけていたジャガーは根のトゲにぶつかって胸や足から血を流しだした。数十分間どうにか猪を捕まえようとしたけど、最終的には断念して森に姿を消した。10分後ぐらいに猪はカシャポナの支柱根から出て、群れに帰っていた。僕はその間ずっと木の上から見ていたよ。危険だったから、ジャガーを姿を消してからもう30分近くじ〜っと様子を見て、落ち着いたのを確認してから降りたよ。ジャガーは木登りも得意だから、内心冷や冷やしていた」と笑いながら話してくれました。お陰様で歩くヤシは人間だけではなく、動物たちにとってもありがたい存在だと知ることが出来ました。 いくらジャングルが好きでも、個人的にはお腹を空かせたジャガーとは遭遇したくないですね。近くに成熟したカシャポナやワクラポナがあればまだましですが・・・
【植物の紹介の最新記事】
Ajosquiro
Ajosquiro(アホスキロ、学名: Gallesia integrifolia)は高さ30メーター、直径140cmを越える巨木で、ブラジル、コロンビア、ボリビア、ペルーで自生しています。ペルーアマゾンではマスター植物にとされており、先住民族の間では広く使われています。「ニンニク」に似た強い香りが特徴的で、遠くからでも感じられるぐらい強烈です。
伝統的には葉っぱの煎じ茶は虫下し、リュウマチ、リンパ系の問題や解熱剤として使われています。近年の研究では抗酸化作用、抗炎症作用、抗癌作用、抗菌・抗ウィルス特性が見つかり、エッセンシャルオイルは淋病に効果があるとされています。 主な含有成分としましてはサポニン、アルカロイド、フェノール類、フラボノイドが挙げられており、中でも「没食子酸」、「ルチン」、「モリン」などが注目を浴びています。 スピリチュアルの世界ではネガティブなエネルギー、悪霊、風邪などを浄化する作用があるとされ、葉っぱや樹皮をハーブ浴にして心身を洗い流す習慣があります。アヤワスカセッションでもアホスキロの精霊は非常に大切にされており、多くの場合はセレモニー中にイカロス(聖なる歌)が捧げられます。マエストロのLindolfiz氏もアホスキロのイカロスを作曲し、毎セッション用いています。 シャーマン界ではディエタ(アマゾン食事療法)に用いられていますが、食事制限が厳しく「甘味料、調味料、塩、唐辛子、コーヒー、タバコ、セックス、肉類、乳製品、ドラッグ、薬など」がNGとされています。制限を破ってしまうと身体にかかるしっぺ返しは非常に危険で、適切な対症療法を行わないと命への危険性が発生するとまで言われています。ディエタを上手く乗り越えると期待できる効果がいくつか挙げられています: ー 自然界との繋がりが強化される。 ー 精霊たちの声が聞き取れる様になる。 ー 邪気を跳ね返す力が強くなる。 ー ビジョンが鮮明に見えたり、聞こえたりする。 ー ビジョン内ではより深い世界に入れる様になる。 ー シャーマンを目指す人たちには欠かせない植物。 アホスキロ・ディエタには非常に興味はありますが、原料が中々手に入らず、まだ試したことがありません。 近年の大量伐採により、見かけることが稀になり、個人的には今年初めて実物を見ることが出来ました。残念ながら種や苗が見つからず、Kizuna農園には未だにありません。農園を購入した当初から欲しいマスター植物の一つでありますので、めげることなく探し続けたいと思っています。
パラパラ
Para Para(パラパラ、ザミア属、学名:Zamia ulei)の根芋には男性の性機能増強効果があることから知られています。「Para」はスペイン語では「立ち上がる」と言う意味があり、文脈によっては「止まる」と言う意味もあります。この植物はブラジル、コロンビア、エクアドルとペルーに生息していると言われています。
子供の頃から聞いた植物でしたが、ウカヤリ州で仕事をする様になって、始めて実物を見ることが出来ました。正直、最初の頃はあまり興味がなかった植物ですが、農園で10年かけて育てたパラパラが花を咲いたことから興味を持つ様になりました。 農業技師や環境技師がKizuna農園に来ると「パラパラの花は初めて見た」と言う声が多く上がり、「今ではこの植物の花すら見ることが珍しいんだ」と気付かされました。インターネットで情報を探してみると、精力剤効果については殆ど見つからず、逆に国際自然保護連合のレッドリストカテゴリの「絶滅危惧II類 (VU)」に指定されていることが分かりました。この植物の成長は非常に遅く、森林伐採、焼け畑農業、観葉植物や薬用ハーブとしての販売が主な原因であると言われています。コロンビアでは絶滅危惧種に指定されたザミア属の保全活動が行われており、ザミア属の多くは恐竜時代から殆ど形を変えずに生き延びたことから「生きた化石」とも呼ばれているみたいです。 スペイン語ですが、絶滅危惧についての記事を紹介します: - S.O.S. en Colombia por fósiles vivientes de plantas milenarias - Los fósiles vivientes de Colombia que podrían extinguirse - Lanzan SOS por fósiles vivientes de plantas milenarias 効果についてインターネットで調べたところ、情報が殆ど見つからず、根芋の有効成分報告も見つかりませんでした。ブラジルマナオス州の一部とペルーで伝統的に精力剤として使われている情報は稀に見かけますが、細かい内容はほぼ0でした。面白い情報としましては「茎には草食動物から身を守るためのトクシンが含有しており、抽出したものを虫除け、寄生虫剤としての効果研究」が見つかりました。 マエストロのLindolfiz氏に話を聞いたところ、「ウカヤリでは古くからパラパラの根芋を精力剤として使われているよ。強いサトウキビ酒(40°以上)に数ヶ月漬け込んで飲んだり、先住民族の間では根芋を乾燥させ、Mazamorra(フルーツチェやゼリーの様なもの)を作り、サトウキビ酒を保存剤として1:1の割合で使い、土壷に入れて、3ヶ月近く土の中に埋めた状態で寝かせたものを飲んでいたよ。でも最近あまり見なくなったよね。。。」と昔を思い出す悲しい眼差しを浮かべました。「病院や薬局が普及してから、先住民族たちの多くは伝統医療を忘れ、薬に頼る傾向が多くなってきているよ。ついこの間まで、アマゾンの薬草だけで多くの病を治していたのにね・・・それに植物に対する尊敬と信頼が薄れてくると、資本主義社会に誘惑されやすくなり、なんの罪悪感もなく、大量に伐採したり、燃やしたりするんだよね・・・」と付け加えていました。 ここまで分かってしまうと農園にあるパラパラは非常に可愛く見える様になりました。これからは大切にしながらどんどん増やして行きたいと思っています。面白い有効成分が見つかれば、成長が遅いことから、持続可能なアフロフォレストリー栽培モデルの開発が不可欠となります。現在モデルがあるわけではないので、必要に応じて試行錯誤で進めることになります・・・ 面白い情報が見つかればこれからも紹介して行きたいと思います。
マクロとミクロの世界
不思議なビジョンが始まり、まずはマクロの世界を見ることが出来ました。自分の意思(魂?)が身体から離れて行く感覚をを感じ、まず見えたのはメディテーションポーズで座っている自分、周りの環境、農園、村、町の様子、更に離れて行くとアメリカン大陸が見え、地球全体が見え、地球の周りで浮遊する衛星や宇宙飛行の残骸や破片の数々、月、他の惑星、太陽系が見えました。マクロの世界を進めば、進むほど自分の存在が小さく感じて行き、更に、太陽系以外の銀河、星、無限に近い宇宙の広さをビジョンの中で見せられると、頭の中でいろいろな考えが花火の様に飛び交います・・・ 今の世の中で人は長く生きれたとしても100年を超えることは稀であります。長い様ですが、地球誕生は46億年、宇宙誕生はその3倍近くの138億年だと言われていますので、宇宙時間で考えた場合、ホモ・サピエンス誕生の約20万年はつい最近のこととなります。今までの宇宙時間を24時間に置き換えた場合、ホモ・サピエンスが誕生したのは最後の1秒でしかなくなります。更に、人間の平均寿命は70〜80歳ですので、一人一人の人生は0.0004秒(80/20万)となってしまいます・・・ほんの一瞬でしかないと感じました・・・ここまで見せられてしまうと、自分の存在は「無」にしか感じず、宇宙が瞬きするだけで人間の人生は花火の様に散って行く様子が頭に浮かんでいきました・・・お金を持ってようが、持ってなからろうが、社会的に成功した、失敗したと言われようが、宇宙時間の前では関係ないほど、一瞬で終わってしまいます。 誰もが一度自分に問いかけたことがある疑問が飛び交いました: • 人生の意味?成功とは何か? • 人間社会の存在する意味、目的、価値は? • 地球は一つの生命体であれば、人類は何?環境を破壊している病原?などなど 答えが見つからないまま、広大な宇宙から自分がいる場所まで飛んで帰って来ました。見慣れた風景が見え、町、農園、八角堂、自分、そしてそのまま自分の中に入って行きました。宇宙に飛んだときと同じ感覚を覚え、今度は内なる自分を見せられました・・・体内の臓器、血液、細胞、微生物、細胞器官、ミトコンドリア、ゴルジ体、リボソーム、細胞核、DNA、塩基、更に今度は原子レベル、素粒子、クォーク、フォトン、グラビトンなど・・・細胞の数は30兆以上、微生物は100兆以上、一つの細胞に含まれる原子数は1000兆、一つの原子は約50個の素粒子によって構成されているところまで考えてしまうと、ミクロの世界でも数え切れない「何か」が存在し、常に動いて、変化が絶えません・・・この段階でも頭が混乱し、ただ、ただ茫然します。 ここまで来てしまうと、マクロ宇宙とミクロ宇宙の絵は同じに見えてしまいます。臓器をつなぐ血管や神経は町をつなぐ道路や川、仕事をする細胞は人、原子の周りを飛ぶ電子は惑星の周りを飛ぶ衛星、素粒子レベルでも光景が繰り返されます・・・無限に感じられるほど・・・星の数が10の24乗個だと言われていますが、人間を構成する素粒子の数は300穰個(300万倍)になると言われています・・・ マクロ宇宙では「無」に感じられた自分の存在は今度は巨大な「無限」に感じられるようになりました。120日しか生きれない赤血球、数日しか生きれない微生物、マイクロ秒単位で変化する原子、素粒子にとっては人の70〜80年は非常に長い年月に相当します・・・ ビジョンの最後に不思議な声が聴こえ「人はマクロ宇宙の前では無でありながら、全てを含むミクロ宇宙の神的存在でもある。これは生命の大きなパラドックスであり・・・理解しない限り、お前が問いかけている疑問の本当の答えは見出せない。まずはその現実を見て、感じて、混乱し、そして理解する必要がある。そのときが来れば答えは自然の現れて来るはずだ」と言われました。
蝶々の産卵
初めて蝶々が産卵している姿を妻が写真撮りましたので、紹介したいと思います。農園を購入してから8年経とうとしていますが、動物が産卵している姿を見たのは初めてです。
ペルーは蝶々の宝庫だと呼ばれており、多様性においては世界トップクラスに認定されています。全世界には2万5千種類以上の蝶々がいるとされていますが、ペルーには5000〜6000種類生息していると言われています。しかしながら、激しい伐採の末、残念ながら蝶々の数は年々減少しています。 農園の植物の回復に伴い、蝶々の数も増えていきました。今後、周りを注意しながら、いい写真が撮れたらブログで紹介して行きたいと思っています。
Copal
ペルーのシャーマニズム界では砂漠、アンデス、アマゾン地帯を問わず、場や空間を清めるために乾燥芳香植物を焚いています。各地帯で使われる植物は変わりますが、どこ行っても共通に使われているのはPalo Santo(パロ・サント、学名:Bursera graveolens)とCopal(コパル、カンラン科ブルセラ属)があげられると思います。インターネットで情報収集していたら、両植物は同じブルセラ属であることに気がつきました。きっと偶然ではないと思っています。パロ・サントはペルー北部の海岸地帯、コパルはアマゾンでメインに自生しています。ペルーで、これらの植物の利用の歴史は古く、プレ・インカ時代からだとされ、インカ帝国の神とされていた太陽を祭る際、黄金のプレートで焚いて、必ずささげられていたそうです。
プカルパの市場で購入した コパルです。写真で石の様に見えるのは コパルの木の樹液が固まったものです。 この木の伐採が激しく、年々手に入れるのが 難しくなっており、値段も跳ね上がっています。 リマの市場で購入したパロ・サントです。 コパルとは違い、パロ・サントの場合は 木や枝を燃やします。エクアドルやペルーでは、 創造力を高め、幸運をもたらすといわれています。 近年、ワシントン条約で保護対象となり、無断伐採は 出来なくなりました。ペルー政府が認定した企業だけが 正式ルートで販売が出来るとされていますが、 違法伐採はまだまだ続いているようです。 ペルーに帰国した2010年当時から、アマゾン産のコパルに興味があり、ずっと植物が見たいと思っていましたが、殆どが伐採され、どこを探しても長年見ることが出来ませんでした。マエストロであるL氏と「いつかKIZUNA農園にコパルが成長する姿が見たいね」と度々話していましたが、苗や種すら手に入れることが出来ないでいました。手に入れるのがもう無理じゃないかな〜とあきらめかけていたところでした・・・そしてな〜んと、5月の終わり頃、マエストロと農園の森の整備をしているとき偶然にもコパルの木を見つけました!!! KIZUNA農園の2次林を整備している 最中、マエストロがコパルの木を 見つけました。写真の右側の木がそうです。 今まで何度も通った場所でしたが、 見過ごしていました。ま〜僕は見たことが なかったので、マエストロがいなければ ずっと素通りだったと思います。 確認するために、マエストロは 木に小さな切り目を入れ、木片の 香りや樹液を慎重に見ていました。 コパルの木であると確認したら マエストロは今まで見せたことが なかった子供の様な笑顔を浮かべ、 木に感謝しながら、長く抱きしめていました。 コパルの木を見つけた日、マエストロは「僕たちは本当に恵まれているよ、この農園は僕たちの声や願いを聞いてくれている様だよ。今まで欲しいと思った植物は殆ど自然に見つけているよね。農園を購入した当時、一緒に苗を事前に準備していた『Poma Rosa、Uvilla、Sapote』は森を散策していたら見つかったよね。そして難しいと思っていた『Achuni Sanango』も見つかり、そしてあきらめかけていたコパルまで見つかったよ。心の奥から感謝しないとね・・・」と胸の高まりを隠せないで話していました。 それから「伝統医療の目からしてコパルは身体を暖める作用があるとされ、呼吸疾患によく使われているよ。葉っぱや樹液(少量)お茶にして蜂蜜で味を調えたものを飲むといいよ。燃やすことによって身体全体がリラックスし、頭痛を抑える作用もある。昔は固まった樹液を手作りの袋に少量入れて、病気にならない様に子供たちに持たせていたと聞いたことがある」と説明してくれました。 イギリスのカーディフ大学の研究によれば、コパルを焚くと次の様な効果が期待できると報告されています:「血圧を下げる、モチベーション、想像力、自信や集中力を高める、不眠症や頭痛の改善など」。コパルの樹液の有効成分の中でも「インセンソールアセタート」が効能があると言われています。 今のペルーでは勿論黄金のプレートを 使っている人は見たことはありませんが、 缶をリサイクルして、手作りで写真の様に 仕上げます。 まずはパロ・サントを燃やして、炭化してから コパルを入れます。 火を消して、赤く炭化したパロ・サントに コパルの固まった樹液を入れるとなんとも言えない 特有で気持ち香りが漂います。 マエストロに言われた様に、KIZUNA農園や植物に対する感謝の気持ちは日々大きくなっています。
ミミズ堆肥
農園の土壌が回復し始めたお陰で、ミミズも増え、堆肥(コンポスト)が見られる様になりました。ミミズ堆肥とは、生ゴミをミミズに食べさせ、貯まった糞や尿を堆肥や液肥(堆肥箱を使用した場合)として利用することができ、臭いが出ないのが特徴です。更に熟成する必要がなく、植物の根を傷つけることもありません。
みみずを通った糞土は含まれる窒素がアミノ酸態化し、ミネラルが作物に吸収されやすい状態になっています。植物に与える代表的な作用としましては次の三つがあげられます: ●植物の生育に必要な要素を多く含み、発根を促進して根張りを良くします。 ●糞土が団粒そのものですので、保水性や排水性などの物理的な改善に努めます。 ●有益菌の住処を提供し、菌環境を豊かにします。 以前は植物の苗を植えても 枯れることが度々ありましたが、 森のコンポストやミミズ堆肥が目立つ様に なってから定着率が一気に上昇しました。 先月はミミズ堆肥を活用して妻と一緒に ジャックフルーツ、ボロホ(学名Borojoa patinoi)、 ピタンガ(学名:Eugenia uniflora)、 マンゴスチン(学名:Garcinia mangostana) などを数十本植えました。 (写真:橘谷恵) 森が回復して、道を開いてから 娘が楽しんで、一緒にお散歩をしてくれる様に なりました。あまり使っていないデジカメを 渡したら、子供の目線で面白い写真を 撮る様になっています。勿論、テブレしている ものも多いですが、少しずつ写真を上手く撮る コツを掴んでる様に感じています。 個人的には特に、森に対する興味を示している ことが何より嬉しいことです。 ミミズ堆肥と関連するお話ですが、以前、娘に森の循環回復やミミズの大切さについて話したことはあり、当時、聞き流されたと感じていました。でも、今年の1月〜2月にかけて、妻と一緒にブラジルに行き、その際、サンパウロにある子供向けの職業体験施設で、ミミズ箱を見たらしく、帰国後、「家でもやりたい、家の生ごみを堆肥に変えて、農園の植物にあげようよ。もっと元気になって欲しいよ」とねだる様になりました。おまけに習ったことやネットで調べた内容を自分なりにまとめ、見せてきたので、娘の期待に答えるために家庭用ミミズ箱を手作りでやることにしました。 娘がブラジルで習ったことや ネットで調べた内容を まとめた紙です。 小学校の夏休みの自由研究課題を 思い出しました。父親として嬉しかったのは 学校や先生に言われてではなく、ただ 農園の植物を元気にしたいから、自分から 考えて、調べて、まとめてきたことです。 早速、自分でもインターネットで 情報収集して、娘が学校に行っている間に ホームセンターで材料を揃えました。 今回は一番安かったプラスチック製の 収納箱を選びました。 通常のミミズ箱は遮断性のある 黒い箱を使いますが、見つからなかったため、 仕方なく透明な箱で作業を進めました。 使う際は黒いビニールシートをかぶせる予定です。 今後どの様なミミズ堆肥が取れるか家族みんなで楽しみにしています。
Jergon Sacha
以前、毒蛇のヘルゴン(学名:Bothrops atrox)について書いたとき、伝統的に解毒に用いられている「ヘルゴン・サチャ(学名:Dracontium loretense、Dracontium peruvianum、Dracontium spruceanum Schottなど)も紹介しましたが、地中に成長する芋の写真がありませんでした。自分の写真のデータベースを見ているうちに、何枚か見つかりましたので、紹介します。
ヘルゴンサチャの芋です。 この大きさですとだいたい2年ものだと 思います。 Kizuna農園に一番最初に植えた ヘルゴンサチャです。 この大きさになるまで、4〜5年 待たなければいけません。重さは 正確に測ってませんが、2Kg近く あったかと思います。 成長するのに数年かかる上、プカルパでは本格的に栽培している人がいないので、市場に行ってもかなりいい値段します。植物の成長を5年間も見守っていると、可愛く見えてきますので、収穫するとき心が痛みます・・・でもヘルゴンサチャの場合は5年を過ぎた当たりから、腐ることが多いと聞いています。このブログの三枚目の写真のヘルゴンサチャも全体的に良かったのですが、一部柔らかくなり始めていました。おそらくそのままもう一年待っていたら、全体が腐っていたかもしれません。
ジャック・フルーツ試作
数日前にジャックフルーツ(ペルーやブラジルではジャカと呼ばれています)を紹介しましたが、今回は料理専門家の按田さんと試した料理を紹介したいと思います。 青いジャカを植物ミートとして使えるのを 教えてくれた。アメリカ在住の友人です。 彼のお陰でアグロフォレストリー栽培の 新たな可能性を見つけることが出来ました。 青いジャカの仕込みについて下記のリンクを 参照ください: https://blog.canpan.info/pucallpa/archive/875 皮をとってから、1時間半〜時間煮込んだ後の 様子です。特に硬い芯を柔らかくするのに時間が かかります。 種や芯を選別した後に残るジャカのパルプです。 見た目は鶏肉に近いですよね。 味かなり薄いので、多くの料理に使えると 思っています。 プカルパではごぼうは手に入り難いので ジャカ、ニンジン、大根、竹の子のきんぴらを 試してみたら、違和感なく美味しく感じました。 (レシピ按田優子考案) ジャカ、キクラゲ、農園の竹の子、ニラ、 生姜などを使ったお汁です。 10歳の娘も美味しそうに食べてくれました。 (レシピ按田優子考案) ジャカ、レンズ豆、ニンジン、キャッサバ芋の澱粉 サッチャインチプロテインパウダー、オートミールなどを 用いた植物ハンバーガーです。 このハンバーガーが一番評判がよく、リマの実家でも 作ってみました。 (レシピ按田優子考案) ペルー料理のAji de gallinaを似たてた Aji de Jackaです。今回はミルクを入れないで、 農園のウコンで色を整えました。 ミルクを入れた方が味がまろやかになりますので、 評判はいまいちでした。次回は植物ミルクを 作って再チャレンジしたいと思っています。 かなり前に紹介した普通のAji de Gallinaのレシピです: https://blog.canpan.info/heiji/archive/86 ジャカにはオリゴ糖のペクチンが多く含まれているそうですので、日常的に食べることによって、腸内環境が改善されると思っています。腸内には細菌がおよそ1000種類、100兆個も生息していることが知られています。体の健康には、腸内にビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が占める割合を増やすことが重要です。近年、善玉菌を増やすにはオリゴ糖や食物繊維を積極的にとって、腸内フローラと協同して健康を作ることが大切だと言われています。 今後、回復して行く森の幸を活用して、腸内環境を整える料理を按田専門家と一緒に考えて行きたいと思っています。
Ahuihua
Kizuna農園が回復し出してから、訪れてくれる動物の数は圧倒的に増えてきました。農園の周りは牧草地だったり、キャッサバ芋の単作農業だったりするので、餌を探しに:猿、狐、ハゲタカ、鷲、梟、アルマジロ、カワウソ、蛇、蝶々、蛾などなど。
今回は今年初めて巨大な蝶々の幼虫を見つけました。他の植物農園で以前見たことがありましたが、Kizuna農園で見るのは初めてです。この幼虫はアマゾンではAhuihua(アウイワ、学名:Brassolis sp.)と呼ばれ、伝統的に食用とされています。聞いた話では串にさして炭で焼いたり、Patarashca(バナナの葉でくるんだ魚や肉の蒸し焼き、若しくは炭火焼)にしたりして、食べているそうです。 Ahuihuaはチョウ目(チョウもく、学名:Lepidoptera)に分類され、ココナッツやパームヤシの若い葉っぱを大量に食べ、コントロールしないと植物を枯らします。生産農家にとっては大きな経済的打撃を与える害虫です。1匹の幼虫は生きているうちに500〜600平方センチもの葉っぱを食べると言われています。現在Kizuna農園では少ししかないので、特に問題はありませんが、大量に繁殖しだしたら、どうするか考えなければいけません。 チョウ目に分類されている幼虫のタンパク質含有は20〜60%もあるとされ、動物の飼料としていくつかの論文が発表されています。個人的には僕はSuriを何度か食べたことはありますが、このAhuihuaはまだありません。 Suriを食べている様子は次のリンクで見れます: https://blog.canpan.info/pucallpa/archive/37 https://blog.canpan.info/pucallpa/archive/271 https://blog.canpan.info/pucallpa/archive/551 生では勿論食べる勇気はないと思いますが、 料理で出されても食べられる自信はありません。 個人的には形を崩してハンバーガーなどにすれば 食べられると思います。 色も生々しいので 初めて食べた人はかなり チャレンジ精神あったと思います。 今年の4月に撮った写真です。 チャレンジしたい人たちはこの時期に 来れば出会える可能性は高くなると 思います。 皆さんはこのAhuihuaを食べる勇気ありますか?
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