2008年度:プロジェクトの趣旨・背景 [2008年05月22日(Thu)]
■プロジェクトの背景
特定非営利活動法人の認証を受けるNPOは、98年12月の制度創設以来、 わずか9年半で3万5000団体に達しています。 ITの普及により、ウェブサイトやメールマガジン、ブログなど、 NPOが情報を発信する手段は急速に多様化し、発信の量も格段に増えています。 その半面、市民や企業などからNPOへの、 会費や寄付といった資金提供は進んでいません。 現状では、 不足しているのは情報の「量」ではなく「質」であり、 NPOが自発的に「出したい情報」を発信するだけでは、 市民や企業など支援者(やその候補者)の「知りたい情報」への 期待に応えることできておらず、信頼と支援を得られていない と言えるのではないでしょうか。 |
また「市民活動への関心・参加が高まらないのは、情報が少ないからだ」
という声に応えるために、 市民活動団体に関するデータベースが、すでに数多く存在しています。 ところがその大半は、登録した団体にとって実質的なメリット (=寄付・売上や会員の増加)に乏しく、 積極的な発信・開示のツールとして活用されていません。 さらに、これらのデータベースを運営する機関や中間支援組織にとって、 開発や情報鮮度を保つためのメンテナンスのコスト(人手、資金)が 大きな負担となっています。 ■GATEプロジェクトの取り組み これらの課題を解決するために、IIHOEでは、 「NPOの説明責任・透明性の向上と助成プログラムの最適化」 を目的に、06年からGATEプロジェクトを発足し、 以下のような取り組みを進めてきました。 (GATE = Grant optimization and nonprofits’ Accountability & Transparency Empowerment) 2006年: 「助成プログラムの申請書・報告書の記入項目調査」 助成機関が開示を求める団体情報は何かを、助成申請書の設問項目を元に分析。 その調査結果をもとに「団体基本情報シート」を開発しました。 2007年: 「地域・テーマ公益ポータル研究会」 (主催:CANPAN 事務局:IIHOE) ・既にNPOのデータベースを運用していらっしゃる6つの中間支援組織に ご参加いただき実施。 ・団体の情報開示と活動記録の蓄積を通じて、 信用創造につながるインフラとしてのデータベース構築と、その運営のあり方、 さらに、これらの情報を地域やテーマというくくりで社会に発信し、 社会からの支援の獲得へと結びつけていく ポータルサイトのあり方について検討しました。 上記の取り組みを通じて、明らかになったことは、 ●NPOが市民や社会から信頼・支援を得るには、ある水準での 情報開示が不可欠 ●団体の情報開示と活動記録の蓄積による信用創造のインフラとして、 データベースは必須であり、大きな可能性がある ●NPOに情報開示を促し、市民や企業・行政との 支援・協働関係の確立へと結びつけるには、 地域ごと・テーマ分野ごとのポータルサイトが有効であり、 中間支援組織からの働きかけが効果的である ●地域ごと・テーマ分野ごとに構築されたデータベースがつながり合うことが、 結果として全国規模のデータベースの拡充や、 日本の公益セクター全体の可視化に結びつく ●中間支援組織にとって、共通のインフラを活用し、 人手や資金などのコストを軽減させることにより、 個別の団体・機関との関係強化や支援に注力できるようになる といったことでした。 ■「地域・テーマ公益ポータル推進プロジェクト」発足へ こうした結果をふまえ、IIHOEとCANPANでは、 情報開示の質的向上に取り組むNPOに、 社会からの支援が受けやすくなる仕組みとして、 物品販売代金や会費・寄付のクレジットカード決済ができる仕組みをつくり、 それを地域やテーマという一定のくくり(範囲)で運用することで、 市民や企業・行政にとって身近に感じられるつながり(コミュニティ) をつくり出すことに寄与する共通の基盤(=「地域・テーマ公益ポータル」)を、 中間支援組織のみなさんとともに開発していきたいと考え、 今年度、18の中間支援組織のみなさまのご参加をいただいて、 本プロジェクトをスタートいたしました。 >プロジェクト参加団体の一覧 についてはコチラ
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