◆昨日の中教審、初等中等の特別部会で話題になったものに
ChatGPTがある。
問いを投げかけると、それに文章を生成して応答するAIチャットサービスだ。
ChatGPTの登場によって、官民こぞって旗振りしてきた「Society5.0」はもう現実のものになった、という委員の声もあった。TVもあちこちで取り上げ、東大も基本的見解を発表したということでも俗耳を刺激した。
◆折しも先週
「全国学力調査」が行われ、その問題と正答例が公表された。
同時に教科別の「解説資料集」も公開されており、問題のねらいや、学習指導要領との関係、また解答パターンから児童生徒の学習状況をどうとらえるべきか、詳細な解説もなされている。
出題の意図に照らして解答はどうだったか、予め用意された網目の精緻かち周到なことに正直驚く。何もそこまで情熱と時間を傾けなくても……と、問題作成に携わった方々に同情したくなるほどだ。
◆小学(第6学年)と中学(第3学年)の国語をザッと見た。
中学の問題では、大きな問い4つのうち、第一問は、インタビューに関する問い。
他は、読書について、「判じ絵」について、そして古典教材「竹取物語」について。
目に付くのはどの大問にも記述式の問題が用意されていることだ。
メンドウくさいな、という気持ちが先に立つ。
それとも、今どきの中学生は、臆することなく鉛筆を走らせるのだろうか。
それにしても、本当に文章を書けないとイケナイのだろうか?
内容をまとめたり、文章で伝えたりするのは社会人となった時に必要だろうし、出来た方が良いだろうけれど、それこそAIに任せたらいいんじゃないかなぁ、と思ってしまう。
乱暴な言い方をするならば、「学力調査」の各問題を解くのはAIに任せてしまえばいいんじゃないの?と素朴に思ってしまう。
例えば大問

の記述問題「四」の解答例は下の通りだ。
星野さんのお話を伺い、自分とは異なる考えや見方を生かすことの大切さが分かりました。私も社会で働くときには、仲間と話し合うことを大切にしようと思いました。ソツのない模範的解答になっているように見える。まさにチャットAIが自動的に示してくれたみたいではないか。
(ただし、これって「国語」の問題への解答なのだろうか?「道徳」の問題なんじゃないの?と思えてならない。)
ところで、この「解答例」、実は設問が定めた下記の2つの条件のうち、厳密にいえば〈条件2〉については満たしていないと思う。
条件1 【インタビューの様子】から、星野さんの話の内容を具体的に取り上げて書くこと。
条件2 条件1で取り上げた内容を踏まえ、「社会で働く上で大切なこと」についてあなたが考えたことを書くこと。★
【国立教育政策研究所】のサイトに問題・解答例・解説資料がアップされているのでご参照下さい。
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https://www.nier.go.jp/23chousa/23chousa.htm