
食の安全保障[2022年12月31日(Sat)]

俣野の山茶花。
ずいぶん長いこと咲き続けてくれている。
***
◆恒例の境川沿いのポイ捨て回収、2022年の集計を出してみた。
ペットボトルが460本、缶が764本、ビンが28本で総計1252本だった。
今年後半は相棒との散歩がめっきり短くなったこともあって、散歩がてらでなく、思い立った時に自転車で回ってみることが増えた。
加えて懶惰(らんだ)を貪る日々が続いて2月は上記3種類の合計が30本、7月に至ってはわずか24本であった。寒さにも暑さにも弱い根性ナシであったことが明白だ。
深く性根を入れ替えて新年を迎えよう。
◆地元を回りながら気になるのは農地へのポイ捨てだ。70リットル入りの大きなビニル袋のゴミが捨ててあることもある。
日々の糧である農を顧みないのは、政治家も役人ももっぱらその方向で動いているからじゃないかと常々疑っているが、暮れの24日、「日本の食と農の危機」というシンポジウムで鈴木宣弘(東京大学・大学院、農学生命科学研究科教授)が緊急メッセージを出していた。それによれば――
日本の食糧自給率は38%で先進国で一番低いと言われているが、実質的な自給率を考えればもっと深刻な状況だと言う。
例えば種(たね)だ。野菜の種の自給率は10%、化学肥料の自給率はほぼゼロ。これらをふまえた実質的な自給率では10%あるかどうかというのが実状だ。
氏はアメリカの大学による衝撃的なシミュレーションを紹介している。
もし核戦争が起きた場合(局地的な核戦争でも)、被爆による死者は2700万人という試算がある。しかし実は一番大変なのは、物流が止まることによる餓死で、世界では2億5500万人が餓死すると予測され、特に日本人に集中するというのだ。2億5500万の約3割の7200万人、すなわち現在の日本の人口の6割が餓死してしまうというのである。
温暖で水も豊富な日本、放っておいても直ぐ緑に覆われるこの国でそんなことが!と思うが、それは食糧を生み出す土地を人が大事に耕し、維持し続けてこそ可能な話だった。
先日も某社会学者が、豪雪地の大雪被害について「大雪が降るような地帯にいつまで住むのかをある種、突きつけられている」などとコメントしていたという。
まさにその雪が水として循環し、米をはじめとする食糧供給を可能にしてきた歴史があることを全く度外視した発言には呆れるほかない。
◆鈴木宣弘氏のメッセージに耳を傾けよう――
台湾有事だ、敵基地攻撃だと言っている場合ではない。食糧を持たない状況で、武器を持つどころではない。食を守ることが安全保障の第一であって、いま日本の農業を守らなければ、国民の命は守れない。
★鈴木宣弘氏の〈12月24日緊急5分メッセージ〉は下記から
⇒https://www.youtube.com/watch?v=5UWCyEN9KrI