
「兵籍簿」というもの[2022年10月31日(Mon)]
◆靖国神社から届いた伯父の合祀記録で部隊名まで知りえたのは驚きであったが、さらに詳細に知りたい場合には、として「兵籍簿の取得について」という案内書および「遊就館だより」(2021年8月発行)の写しが同封されていた。後者は徴集からの流れと「兵籍簿」の読み方や所属隊について知る手立てが概説してある。
◆「兵籍簿の取得について」では、陸軍の場合、本籍地の都道府県庁で閲覧できること、伯父の場合は青森県庁健康福祉部が窓口であるとして、その連絡先の電話番号まで書いてくれていた。
(海軍の場合は、厚生労働省である由)
応召してから亡くなるまで、合祀記録以上の詳しいことが分かるかどうか、実際に照会してみないと何とも言えないが、知る手立て自体が貴重な情報であった。
◆厚労省によれば、フィリピンにおける戦没者はおよそ51万8千人(2021年4月時点)。うち収容された遺骨はわずか14万8,530柱に過ぎない。
どこでどのようにして亡くなったか知りたい戦没者遺族の願いに対して、国はどう応えて来たのだろうか。個人や戦史研究者任せで、記録の保持、復原、回想記の収集・公開、それらを電子データとして可能な限り公開して閲覧可能にする努力は怠ってきたというのが実情ではないか。
(頭の中には横浜市保土谷にある英連邦戦死者墓地のことがある。娘のペンパル(オーストラリア在住)のおじさんがそこに眠っているとのことで、墓参を頼まれたことがある。「戦争墓地委員会」というところがデータを管理しており、名前で墓標の番号、没年齢などがネット上で確認できるようになっていた。訪ねてみると、墓地入口に端末が置いてあり、画面から墓所の位置を確認することもできたのだった。)
*戦記・回想記等については靖国の偕行文庫に蔵書目録が公開されている。試みに「ルソン島」で検索してみたら77件あった。
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◆靖国神社に最近できたものに、さくら陶板がある。中央広場から大鳥居〜九段下へと向かう左手の「慰霊の庭」に北海道から沖縄まで各都道府県の土を用いて焼成した桜花型の陶板が照明付きの碑として並んでいる。
上の写真は青森県のもので、土は五所川原市のものを用いた津軽金山焼作と記してある。
台座の銘板に青森県護国神社(弘前公園内にある)および青森県遺族連合会の名が記してあった。戦後、各地の護国神社はそれぞれ独立し、本社と分社の関係にはないはずだが、ここにも何か復活させたいものがあるのだろうか?