
淺井裕介「いのちの木」[2019年08月31日(Sat)]
淺井裕介「いのちの木」

◆開館30年を迎えた横浜美術館で淺井裕介「いのちの木」を堪能した。
TV等の紹介で大作を仕上げたことが紹介されていたが、足を運ぶ機会が訪れず、もう会期は終了していたと思い原三渓展を目当てに出かけてみたら何と、「いのちの木」は未だ観られるようになっていた。
彼の作品との出会いはいつも幸運な偶然による。
最初は箱根の彫刻の森美術館においてであったが、今回の展示スペースはカーブした壁面ぐるりを生かして観る者を包み込む感じがある。
観る者も、四角い展示室とは全く異なる歩き方で作品を観ていくことになる。
歩みを緩めたり立ち止まったり、またフッと先に目を向けて進んだり。
動きに合わせて変化する呼吸がからだを流れる血脈と即いたり離れたりするのを無意識に受け止めながら、生きものたちの誕生に立ち会い、我々の記憶もこの世界に生まれ出る以前までさかのぼって行くような気分になる。
![[いのちの木]DSCN1485-A.jpg](/poepoesongs/img/5BE38184E381AEE381A1E381AEE69CA85DDSCN1485-A-thumbnail2.jpg)
◆シャガールなど同館収蔵の作品40点ほどを壁面やフロアのあちこちに配してあり、それら先行作品へのオマージュの意味も込められているという。
その中に浜田知明の版画「幼きキリスト」もあった。二重の嬉しい出会い。
何になるのかいまだ分明でないが、まごうことなく様々な萌芽を自らに蔵し、すでに若葉を見せているものなど、生成の姿があちこちにある。


*ロビーには制作の様子を早送りで見られるビデオが置いてあった。その画面から。
◆「いのちの木」が見られる横浜美術館コレクション展は明日9月1日までのようだが、ミュージアムショップには淺井裕介作品集「この場所でつくる」(求龍堂、2016年)が置いてあった。
インスタレーションと呼ばれる制作物なので展観が終われば作品は姿を消す。
2011〜15年までの彼の仕事をこうした本で見られるのはありがたい。
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