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谷川俊太郎(かどがあるから)[2026年01月28日(Wed)]


(かどがあるから)  谷川俊太郎


かどがあるからしかくはしかく
かどがないからまるはまる
「ある」がかたちをつくるなら
「ない」もかたちをつくってる

みえるからだがあるならば
みえ「ない」こころもちゃんと「ある」
みえるかたちのそのおくに
みえないかたちがかくれてる

てがうごく てはこころ
くちをつぐむ くちはこころ
からだがたわむ からだもこころ


   『ひとりでこの世に』
(新潮社、2025年)より  


◆「しかく」にしろ「まる」にしろ、線を引いてできる「かたち」だから、ほんとは本質を同じくするんだろう。

同様に、「からだ」と「こころ」も、〈みえる・みえない〉のちがいがあるだけで、ほんとは同じ、というか、在り方がちがっているだけで、おくの方でちゃんとつながっているんだろう。

◆だから「ひとりひとりが日本」(参政党の選挙用ポスターの標語)などと、ことさらに「日本(人)」と「そうでない人」を区別するのは変だし、まして選挙のスローガンにするのはオカシイ。
「そうでない人」を本音では「人」として扱わず、むしろその存在を否定していることばだからだろう。



谷川俊太郎(ひとつ)[2026年01月28日(Wed)]


(ひとつ)   谷川俊太郎


ひとつ
なんでもいいひとつ
それさえあればいきていける
それからすべてがはじまる
そんなひとつ
それがつかめれば
からだはみずのようにうごき
きもちはひのようにもえ
ことばはよみがえる
そんなひとつ
ひとつだけでいい
ひとつが
いい


  『ひとりでこの世に』(新潮社、2025年)より


◆生まれ落ちて以来、身につけるもの、脳の皺に刻み込むことば、いずれもひとつひとつ増やして行って年を重ねて来たのだろうけれど、いつかそれらの重みがうっとうしくなるのか、今度はひとつひとつそれらを心と身から引き剥がしたくなる――そんな生き方=死に方もあるのだろう。

一方で、そんなことは無理、と思ったりもしている。

――それは、初めて見る名前の作曲家のCDをついまた買ってしまった言い訳でもある。
エイヴィソンという18世紀イギリスの作曲家による合奏協奏曲集。聞いたことのある旋律が出て来て、あれっと思ったら、20世紀のピアノの巨匠ホロヴィッツが良く弾いていた、ドメニコ・スカルラッティ(1685-1757)のソナタだった。エイヴィソンという人はスカルラッティの鍵盤用ソナタを合奏協奏曲にしたらしい。)

音楽は、それがなくとも生きていけるものかも知れないが、こんな風に眠っていた記憶をあざやかによみがえらせて、悪くはなかったとからだじゅうに水をしみわたらせるものでもある。

「ひとつ」がまたひとつ、もうひとつ、とよみがえれば、それはまた新しいはじまりでもある。



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