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塔和子「地球で」[2026年01月07日(Wed)]

DSCN4006.JPG
冬の日ざしとスミレ




地球で   塔和子


この惑星の一つにすぎない地球で
そのほんのひとすみのことを知っているだけでも
生きているだけならことかかないのだ
書物からの知識やテレビやラジオの伝えるものを加えても
世界中の人がかなでる出来事にくらべたら
ほんのわずか
私は冬の日
カーテンをしめストーブをたき
冬眠のへびのようにじいっとうずくまって
他人の視野の外側にいる
そんな自分を思うとき
人の知ることそれは
一本の樹が芽生えて古木になるまでに
知った世界にさえ
くらぶべくもないほど小さい


  『記憶の川で』(編集工房ノア、1998年)より


◆ハンセン病回復者の詩人として知られる塔和子だが、紗を通して届けられるような魂の輝きはどこから来るのだろう。
侵しがたい尊厳を感じる。




塔和子「食卓」[2026年01月07日(Wed)]

DSCN4062.JPG

クロガネモチ。去年の箱根駅伝の折に見つけた樹。ことしもたわわに実をつけた。

*******


食卓   塔和子


木の葉が音もなく落ちる
草が立ったまま枯れている
霜が白くおおっている
うたげの後のしずけさに似て
大地はいま季節が喰いちらした食卓
自ら見事に盛りつけした緑の料理に
美しい花やつややかな実をあしらった大地よ
季節はいまそのすべてをたいらげ
やがて降る雪の下で
静かに静かに消化はなされる
そして
苦悩のむれる匂いの中で思考する大地よ
おまえはまた
新たにふき上げる
みずみずしい緑をつややかな実を
そしてやはり
大地は料理人であり
季節は旺盛な食欲である


 『記憶の川で』(編集工房ノア、1998年)より

◆「大地は料理人」を単に擬人法と解すると、大地や自然ぜんたいを軽んじ、人間のおごりを語って恥じないことになってしまう。
本質はその逆、人間は、大地のわざ、自然からの恵みを、見よう見まねで手を加えいただいている、まことに小さな生きものに過ぎない。






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