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松下育男「そういうことだよね」[2025年06月28日(Sat)]


そういうことだよね  松下育男


きみには
きみの嵩(かさ)が
あるよね

あたりまえだけど
そのぶんだけ
きみのばしょに
きみがいるんだ

きみは そこから
あらゆるものをおしのけて
あきらかにそこに いる

いきているって そういうことだよね

きみがびっしり つまっている
くうかんには
どんな大気も はいりこめないし
うみがそとから おしよせることも ない

(きみのこいびとだって
きみのうちがわに
すこしはいって くるだけだ)

きみのくうかんに あるひ
とおくから砲弾が うちこまれる

きみは被災
するが
でも と きみは
うでの傷口をみながら
いう
いきているって
そういうことだよね

むすうの ほうだんを
うけつづけて
ゆくこと

そのためのいちまいの
さびしいひょうてきで あること……



 現代詩文庫『松下育男詩集』(思潮社、2019年)より


◆この詩は、声に出して読まれることを欲している。
詩の終わり、「むすうの/ほうだんを/うけつづけ」る「いちまいの/さびしい/ひょうてきで あること……」
と、敢えて書く。ただし無量のメッセージを「……」にもこめて。

そこに向けて最後の三つの連をどう読むか、読者に問うている。
絶望の淵から問いを突きつけていると言っても良い――
〈「むすうの ほうだんを」あなたも受け続けて来たでしょう?〉――と。




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