石垣りん「荷」[2025年06月26日(Thu)]
荷 石垣りん
荷を持つと
力が働いた。
「落ちるよ」
あぶない空の崖(がけ)っぷちで
地球がひきとめる
思いやり。
だから重かった。
私たちにとって
いつも
愛は。
ハルキ文庫『石垣りん詩集』(角川春樹事務所、1998年)
◆わずかばかりの水と食糧を、それでも手にできた者はまだいい。
ささやかな荷を痩せた肩に担いで転びそうになったとしても、それは子どもたちや兄弟姉妹の命をしばらくこの地上につなぎ止めてくれるはずのものだと思えるから。
◆銃を放ち、爆弾を落とし、水と食糧をストップさせる者たちにとって、愛の重さなど無きに等しいのだろうか?
それとも、それら命を弄ぶものらの重さに引きずられて、底なしの淵へと落っこちる寸前なのだろうか、彼らは?
いや、私たちも?



