
石垣りん「クサイ仕事」[2025年06月24日(Tue)]
◆イスラエルとイランの「停戦合意」。爆撃機B2から馬乗り爆撃するみたいに加勢したアメリカが「停戦合意」を実現させた手柄を誇る奇妙さ。
クサイ芝居が進んで、観客の誰一人、「木戸銭返せ!」と騒ぎ立てないでいるみたいなデタラメさ。
傷ついた人間、死んだ人間が居るのに、全くそんなことなど無かったかのように、花火の映像かCG映画を見せられたようなミサイルと爆発。映像がなければニュースで流してもらえないので、そのために仕組んだような。
プロデューサーとスポンサーはハッキリしている。
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クサイ仕事 石垣りん
クサイ町で
クサイものをかがないという
ほうはない。
これはクサイ
たしかにクサイ
とてもクサイ
クサイ人間がいる。
クサイ間のした、クサイ仕事の臭いだ。
煙突を見ていても駄目だ。
本当にクサイのは人間だ。
クサクない仕事をする人間もいる。
ここにいないだけだ。
石垣りんエッセイ集『朝のあかり』(中公文庫、2023年)
(初出『図書』1971年2月号掲載の「仕事」)