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草間小鳥子「廊下」[2025年06月17日(Tue)]

◆夏というものがあるのを忘れていた。
あつい、あつい、ともかくあつい。
車の表示では昼前に35℃。
陽が山の端に傾いた夕方で30℃。

こんな炎熱を詩に書いた者なんかいないだろう。
……でもいるかも知れないと横積みにした幾冊かを読んでみようとする――わけがない
気力も体力もない一日……
――と懶惰をゴマカして過ごした一日。
明日もそうかな……
そうだったらいいかも(そんなんでいいのか?!)

***



廊下   草間小鳥子


「もう何もいらないから
これ以上何もうばわないで」
かすれた鉛筆でなぞる
とめどない祈りの
落とし主は誰ですか
誰も挙手しない放課後 雨
そんな日もあった
たくさんのことが過ぎていって
でも何ひとつ終わらない廊下だ


 『ハルシネーション』(七月堂、2024年)より


◆戦争があるのは戦場だけではない。
渡辺白泉の句のように「廊下の奥に立って」いることもあれば、もの言わなくなった子どもたちの背中に貼り付いていることもある。
若者の「とめどない祈り」にもかかわらず、痩せこけた少女の大きく見開いた目にそれが焼き付けられて消えないことだってある。







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