• もっと見る
« 2025年05月 | Main | 2025年07月 »
<< 2025年06月 >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
最新記事
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
日別アーカイブ
「学術会議解体法案は、日本の科学の死だ」[2025年06月01日(Sun)]

「学術会議解体法案は、日本の科学の死だ」と題する山極壽一氏へのインタビュー記事が月刊誌『世界』の今月6月号に載っている。
氏が日本学術会議の会長としての任期の終わりに、6名の学術会議会員任命拒否事件が勃発した。
学術会議法案はその説明責任を果たさぬ自公政権が問題をうやむやにするために論点をすり替えてでっち上げた法案である。

(氏が中教審委員であった折に、学習指導要領改訂の議論の中で、観点別評価に言及し、「(そもそも)態度が評価できますか」と、強い疑義を示されたことがある。傍聴していて、場に緊張が走ったことが分かった。教育の根幹に触れる意見だったからだ。賛同する他の委員の意見も続き、文科省事務方の表情がこわばるのも見えた。今思えば、明瞭な未来図を示さぬまま個人の内面に手をつっこむ政治への、衷心からの警鐘だったのだ。)


山極氏へのインタビューから一部を引く――


日本の学術の終わりの始まり

一九九〇年代にバブルが崩壊し、経済が悪化するなか、ほとんどの日本企業が中央研究所を廃止しました。それでまず企業の研究力がガタ落ちになった。これまで自前の組織で研究し、大学を当てにしてこなかった企業が「研究力が落ちたのは大学が企業に協力しないせいだ」と言い始めました。大学改革をしなければ、というので、民営化・法人化が叫ばれるようになり、政府による大学改革が始まりました。その目的は、大学を「経営体」にすることでした。

法人化により、大学は学長の権限を高め、教員の意見を教育研究評議会にとどめるなど、トップダウン方式に変わり、学長を通じて政府の方針が行き渡るような体制になりました。選択と集中で組織間を競争させ、優秀な「成績」をおさめた組織にお金を集中させる。運営費や交付金を削る一方で政府の言うとおりの組織改革を呑めば助成する、といったことが行なわれました。これが組織の脆弱さを生んだ。予算が削られ、人員も削減。報告書をいっぱい書かせられて、研究時間が減る 。結果、研究力が 落ちてしまった。先進国の中で唯一日本は、博士後期課程に進学する学生数がどんどん減っていく事態になった。政府が改革すればするほど、研究力が劣化していったわけです。

研究現場や教育現場といったものは、本来、経営体とは適合しにくい組織なのだと思います。時間をかけなければいけないし、役に立たないと思われていることでも将来大きなイノベーションを生む可能性があります。

裾野を豊かにして、広い分野で多くの場所で、研究者が自由に研究し、それが連携して新たな発想を生み出せる環境を作らなければいけません。その中心にいるのが日本学術会議なんです。学術会議が政府に管理され、政府の言うとおりに動くとしたら、日本の研究者すべてが失望してしまいます。私の次の梶田隆章会長が、この法案は「日本の学術の終わりの始まり」と言ったのはまさにそのとおりです。

  『世界』2025年6月号、p.71より

******

◆今回の学術への直接的な攻撃は、海の向こう、トランプ政権による大学や学生への攻撃と酷似している。政治が直接学術を支配するならば、自由な発想に基づく研究の発展は息絶え、国自身が衰亡に向かうほかない。そうしたやり方を独裁政治と言う。

法案は廃案するしかない。
以下の呼びかけがある。ぜひ参加を。


【2025/06/01発信】
学問の自由を守れ!民主主義を守れ!


(1) ◆署名第2次提出(約7万筆)&学問の自由を守れ!「日本学術会議法案」の成立を許さない緊急院内集会

日時:2025年6月3日(火)17:45〜19:40
会場:参議院議員会館B107会議室(約100名)
◇参加される方は、6月3日5時15分に参議院議員会館ロビーにて入館証を受け取って入館して下さい。 先着順約100名です

主催:日本学術会議「特殊法人化」法案に反対する学者・市民の会
*YouTube配信あり。

【内容(17:45〜19:40)】
○スピーチ
広渡清吾(日本学術会議元会長) 金平茂紀(日本ペンクラブ言論表現委員会委員長) 
竹信三恵子(和光大学名誉教授) 永田浩三(武蔵大学名誉教授) 森達也(映画監督) 
山崎正勝(東京工業大学名誉教授、日本パグウォッシュ会議) 栗田禎子(千葉大学教授) 

○リレートーク
佐野元昭・昭代(東京大学院生) 平良愛香(平和を実現するキリスト者ネット)
江上彰(日本山妙法寺) 片岡洋子(千葉大学名誉教授、教育科学研究会委員長)

○メッセージ紹介
上野千鶴子(東京大学名誉教授) 杉田敦(法政大学教授)
吉田千亜(フリーライター) 明日香壽川(東北大学教授)海外から2名

○閉会あいさつ・行動提起
*集会終了後、国会議事堂前でヒューマンチェーンに参加

(2)<6.3 議員会館前ヒューマンチェーン>◆日本学術会議法人化法案の廃案を!6.3国会前「人間の鎖」

主催:日本学術会議「特殊法人化」法案に反対する学者・市民の会
協賛:「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」;「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」;九条の会




| 次へ
検索
検索語句
最新コメント
タグクラウド
プロフィール

岡本清弘さんの画像
https://blog.canpan.info/poepoesongs/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/poepoesongs/index2_0.xml