
モズ+内田るみ「美しく晴れた日に」[2025年03月09日(Sun)]
◆昨夜の雪の名残りもとどめない青空のもと、モズ(百舌鳥)がいた。
モズを顔立ちが分かる姿で撮れたのは初めてかも知れない。
くちばしの曲りが特徴的で、小兵ながらりっぱな猛禽類。
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美しく晴れた日に 内田るみ
こんなに晴れた日に
高く澄んだ空も
見上げないようでは
悲しいではないか
こんなに美しい日に
鳥の囀りにも
川が流れる音にも
耳を澄まさないようでは
寂しいではないか
たとえ
辛いことがあるからとはいえ
こんなに美しく晴れた日に
内田るみ詩集『地に咲く花』(土曜美術社出版販売、2024年)より
◆「こんなに晴れた日に」とその変奏が繰り返される佳品。
なぜこの詩が目に留まったのか考えていたら、舟越保武の随想「水仙の花」が記憶の底にあったからと気づいた。
幼くして召天した我が子を水仙の花で飾ってやりながら「こんなにきれいなのに。こんなにきれいなのに」と妻が繰り返していたという、悲しみの極点を綴ったあの箇所だ。
※[2016年1月31日の記事]舟越保武の随想「水仙の花」 鎌近閉じる日に
⇒https://blog.canpan.info/poepoesongs/archive/246
◆状況は全く異なる。だが「こんなに」という言葉が、こみ上げる悲しみや辛さの流露として口をついて出たことは同じように思える。