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四國五郎〈どうしてこのような〉[2024年12月06日(Fri)]

◆今朝の朝日新聞『折々のことば』、鷲田清一氏がとりあげたのは、詩人・四國五郎の次のことだばった。

どうしてこのような

四國光 編『戦争詩』の最後の詩篇、その最終行のことばである。
詩全体を写しておく。



無題  四國五郎


高梁畑の高梁は
銃弾で半分なぎ倒されたので
風がよく吹きぬけるね

きみたちは
オネエチャンと弟だったかね
それとも おともだち だったかね

握りあった小さな手と手は
けっしてはなさないでね

きみたちの
草履
(ぞうり)の足でこえてゆくには
とてつもなく ひろくて

灰色にかわいてひろがる この土を
ひと鍬ずつほりかえし
そのほりかえした土に血を注ぎつくして
うごかなくなったお父さんを
きみたちは見はしなかったね

ひと眼でもと
へだてられる距離を 眸でおいすがり
小さな二つの影を最後に網膜にのこして
つれ去られたお母さんを
きみたちは 見はしなかったね

どうしてこのような



四國光 編『戦争詩』(藤原書店、2024年)より



◆最後に置かれた「慟哭のようなこの一行」と、鷲田は記す。
まことに。
この詩を読み、父と母とを失った幼子二人の目撃者となった読者には、次のように問うことが託される――

どのようにしてこんなことが


***

※四國五郎『戦争詩』からは10月に以下の4篇を紹介した。

10/27
「墓」
https://blog.canpan.info/poepoesongs/archive/3209
10/27
「練兵」
https://blog.canpan.info/poepoesongs/archive/3210
10/28
「兵士」
https://blog.canpan.info/poepoesongs/archive/3211
10/29
「ペチカ」
https://blog.canpan.info/poepoesongs/archive/3212



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