芥川龍之介「時雨」[2024年11月26日(Tue)]
◆宵から雨模様。時折止むが、夜半にはまとまった雨が降るとの予報。
こたつを出すのはまだまだと踏ん張りつつも、ついエアコンに手が伸びる。
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時雨 芥川龍之介
西の田の面(も)に降る時雨(しぐれ)
東に澄める町の空
二つ心のすべなさは
人間のみと思ひきや
◆ちくま文庫版で8巻ある『芥川龍之介全集』の最終巻には〈紀行・日記・詩歌 ほか〉が収められていて、どんな詩が、と思って開いてみたら、前半は文語詩、後半に散文詩が並ぶ。
上のような七五を連ねた文語詩にも、現代人の葛藤を表現したものがある。
矛盾やジレンマに苦しむのは、一つの解があるはず、と思うからだろうか。
地上を這うように生きている人間は、空を眺めて一息つきたいのだが、その空もまた一様ではない。