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マティ・ステパネク「地球のおわり」[2024年10月23日(Wed)]

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***


地球のおわり  マティ・ステパネク
                廣瀬裕子 [訳]

地球のおわりが
どこか知ってる?
ここが地球の果てって、わかる?
海にいけばたどり着けるかも。
だけど、ふつうはちがう。
なぜ、わかるかって?
ロケットをつかわないで
地球をとびだすんだ。
ロケットをそうじゅうしないで
宇宙にでたとき
そこが、地球の果て。
遠い道のり。
でも、きっとうまくいくよ。
たのしい旅を。
じゃあ。いってらっしゃい。

『ハートソング すべての人のこころに歌を』(PHP研究所、2002年)より

◆「ロケットをつかわないで」ここが「地球の果て」だとわかる、というのはどういうことを言っているんだろう?

「海にいけばたどり着けるかも。」と一度持ち出しながら、すぐに「だけど、ふつうはちがう」と打ち消している。海で知るのは陸地の終わりに過ぎないからで、そこにある海もまた地球の一部なのだから、まだ「地球の果て」とは言えない。海の向こうにも陸地や別の海があることを私たちは(少なくとも知識や情報として)知っているけれど、それらをすべて数え上げたって地球の果てが分かったとは、とうてい言えない。

やはり「地球をとびだす」しかないのだが、ロケットを使わないのなら、一体どうやって?
凡愚は、ここで「想像力」と「霊力」とかを持ち出したくなるのだが、そんな発想ではうまくいくまい。

「きっとうまくいくよ。」は、何度も「地球のおわり=果て」を見てきた者の自信がこめられているではないか。
だから、最後、クルリと身を翻し、「じゃあ。いってらっしゃい。」と、こちらを送り出す側に回るのだ。

それとも、彼は、もう一人の自分に声をかけたのだろうか?



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