大谷恭子弁護士逝去[2024年10月16日(Wed)]
◆大谷恭子弁護士逝去の報。享年七十四。
永山則夫元死刑囚の弁護を担ったことで知られる。
彼の著書による印税をもとにした永山子ども基金の代表も務められた。
心よりご冥福を祈ります。
☆【朝日新聞デジタル10/5記事 金子和史記者】
弁護士の大谷恭子さん死去 永山則夫元死刑囚らを弁護 女性支援も
⇒https://www.asahi.com/articles/ASSBH2J5MSBHUTIL02ZM.html
クコ(枸杞)の花。大粒の涙のような赤い実をつける。
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◆永山氏の逮捕は1969年の4月。彼が中学までを過ごした棟割長屋も、彼が父親と映画を観たすぐ近くの映画館も今はない。
「いのちのギャラリー」で彼の遺品に対面したことがある。
平凡社の哲学事典、彼の字でびっしり埋め尽くされた何冊もの大学ノート……獄中では全てのページを埋めないと新しいノートが渡されないので、どのページも余白をぐるりと字で埋め尽くしてあった。曼荼羅を完成させて行くようなその律儀さに圧倒された。
◆同じように余白を残さないように字で埋め尽くされた手紙をもらったことが二度ある。
一通は小菅の東京拘置所に収容されていた外国人から。もう一通は牛久入管(東日本入国管理センター)にオーバーステイで収容されていた別の外国人から。
いずれも、面会へのお礼を綴った、日本語の手紙だった。
漢字の一点一画もゆるがせにしない丁寧な文字たちは、生きることへのひたむきさから生まれたものだと思う。