オニタビラコ。どしゃ降りに負けることなく、小さな花を開いた。
根元にドクダミの葉が被さっても鷹揚だ。
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新川和江の
「花鎮め」という詩の中に、次のような一節がある。
しょせんはその土地でしか色保(も)ちかねる
花の生の哀しさ美しさは手強いものだ 『比喩でなく』(地球社、1968年)所収。
『新川和江全詩集』(花神社、2000年)に拠った。
このくだりは、異国で目が奪われ手折った花が、たちまち凋
(しお)れたことを歌ったものだが、事情は、道ばたのありふれた草花においても同じだろう。
美しくもろく、そして手強い。